新聞に掲載された短歌と俳句 (2016年〜2018年)
《2016年 新聞に掲載された短歌》
蓋開けてズンと広がる秘伝の香鰻大串あとは山椒
《2017年 新聞に掲載された短歌》
殷の羊双つ頭で酒を溜め祝ひし記憶今に伝ふる
ふたつして並び立たないこともある歩きタバコと歩きスマホと
嵩たかくとりどりに盛る花躑躅立夏の庭に匂ひたつ色
こころ和ぐ甘味と生きる詩はケーキ歌は羊羮句は花林糖
峠には雲の融けたる一枚の天うすあをし銀の残月
《2018年 新聞に掲載された短歌と俳句》
【短歌】
押入れに壁紙貼ってあったかなぁそんなうすーいジジイになろう
四十余で隠居せし祖父の口癖は「捨てた命じゃ」インパール遥か
父送る妻は気丈に振る舞ひて拙者はゆふけととのへてまつ
数学の講義のあとに一人ゐて頰杖をつく女子留学生
大枝を刎ねたり精気盛りかへし桜老木冬にむかはむ
蒼天に穂高は照りて聳え立ち渓の流れや翳り始むる
【俳句】
夏の朝白いラジオで風を聴く
青年よバカをしたまへ天高し
朝寒の水屋に明かり灯したり
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?