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[詩]近く遠く

コツコツと歩いてその石畳を聞き
シュッと映る鞄をウィンドウに見る
風の音が空高く響いて
ガラスの高層ビルは白雲を運んでいく
人が訊いても街はこたえず
鳥が鳴いても街は話さない
明るくも眩しいのではない
切れ込む陰に納められるだけ
耳を傾けたのは近く遠く
見ていたのは近く遠く
毎日毎日ここを通って
学校へ会社へいつもの場所へ
声も色も手触りもすっかり変わってしまって
 そして
幾分は腑に落ちた夕暮れをまた歩いていく

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