イリア・マリニン選手の演技構成はどこまで行けるのか
実は私、スポーツに出てくる数字を計算するのが異常に好きで
技個別に点が設定されているような競技は、
「理論上どこまでできるのか」
とか
「どんな構成にしたら燃えるか」
みたいなことを考えて計算しています
だいたい、体操競技とフィギュアスケートがメインなんですが
で、フィギュアスケートの今シーズン世界王者
イリア・マリニン選手
が最近、4回転ルッツ+4回転ループのコンビネーションジャンプの練習動画を上げていました。
https://www.instagram.com/p/C5F0z8ZOEMv/
彼の演技構成は現状ほぼほぼ上限に近い恐るべき構成だと考えていたんですが、セカンドジャンプに4回転がつけられるとするともっとすごい構成にすることも可能だな、と思ったので、何点上積みできるのか計算してみました。
まず今シーズン最強の構成を確認してみましょう
数字は回転回数、アルファベットは
A:アクセル
Lz:ルッツ
F:フリップ
Lo:ループ
S:サルコウ
T:トゥループ
EU:オイラー
です、ジャンプ個別の種類や、本数の制限などについてはルール解説しているサイトが世の中にはいっぱいあるので各自調べてみてください
はい、非常にヤバいですね、4回転6本…
比較のために(おそらく)2番目に高難度の構成を用意していた宇野昌磨選手の予定構成を見てみましょう
実際にはコンビネーションを後半にするつもりだったようで、もう少し上げるつもりだったようですが。
また、3Sは4Sにすることも可能で、その場合+5点程度上がるはずです。
基礎点で17点差が生じるので、PCSも今年はトップ層にある程度対抗できるようになってきましたし、GOEも同等程度あればマリニン選手からすると充分勝確と言える基礎点差だと思われます。
実際にはマリニン選手は回転不足をほぼ取られないので、GOEでもアドバンテージがあると見たほうが現実的ですね。
で、マリニン選手の構成ですが、体力面を度外視すると最後の3Lz+3A seqは3A+3A seqにできるはずでその場合こうなります
その他上積みポイントとして
・2本跳ぶ4回転をアクセルにする…+1点
→彼の4Aは高さを出す分水平速度が残らないのでコンビネーションにするのは苦しいと判断
・3Tを3Loにすると+0.77点
→その上積みのために新しい技術というのも現実的ではない
というわけで、この辺が現在人類の到達上限と考えていました、いました。
と思っていたんですが、セカンドに4回転が入れられるとなるとだいぶ話が変わってきます。3Fや3Tをキックアウトできますからね…
というわけで計算してみたところ更に+8点になりました
4Lz+4Loは流石にリスクが高かろうということで+4Tにしました、あと+eu+4Sはeu+3Fにしても大差ない(0.66点しか変わらない)とは思うんですが、(最後を4S+3A Seqにすれば)
折角なのでできるだけ高くしてみました。
・宇野選手はLzがはっきり苦手で、4A挑戦はしていない
・他の選手はFS4回転4本の実戦投入すらまだおぼつかない
ということで正直、他の選手との差は当面詰まりようがなさそうでこんな無茶をしなくても故障さえなければ彼の王朝は当面安定だと思いますが…
(羽生さんがSPFS合わせて4回転5本投入したプログラムを完遂した時も同じことを考えていたわけですが、現実はそうでもなかったので、この先どうなりますやら…)