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快適な住まい

2018年5月掲載
文:広島工務店 廣島孝夫


 何年振りだろう、懐かしい声が電話の向こうで少し困っている。

「え~!私の家を?汚いし散らかっているし・・・・ん~それでも良ければいいですよぉ~」  やった!感謝!感謝です!

 築8年のお客様に「お宅訪問」をお願いした。注文住宅の弊社はモデルハウスを持たず新規のお客様の希望に近いお宅に訪問させてもらうケースが多いのだ。

 このI邸はオーナーのこだわりが盛り沢山で、こちらとの掛け合いもうまくいった素敵な家。

 新築当時はよく新規のお客様をお連れして訪問させてもらった。 今回もI様は愛想良く私たちを出迎えてくれて、お連れしたお客様も興味津々で私の説明を聞き、満足してくれた様子だった。 帰りがけ、漆喰の壁に掛けられた額に目が釘付けになった。それは8年前に私が書いたその家のラフプラン(手書きの設計図)ではないか!I様が当時の事を嬉しそうに話してくれた。今日のために飾ってくれたのだろう、感謝の一言に尽きる訪問だった。

 注文住宅は本当に大変だ。そもそも土地も人も二つと同じではないのだから、家も千差万別で当然だが何もない状態から作り上げていくには、お客様もそれ相応の根気と努力が必要なのだ。 しかし出来上がった時の喜びは唯一無二のもので、それを共有できることは今回のように本当に注文住宅を続けていて良かったと心から思う瞬間だ。

 2月に1件4月にも1件お客様のご厚意で完成見学会を催す事ができた。スタイルの違う2件だがシンプルで自然素材を使った空間の心地良さに訪問者の共感を得ることができた。また各家のこだわりを垣間見るのも楽しい。

 住まいづくりであなたが目指すものは何ですか。 また何が必要ですか。 今、住宅の性能は進化し続けている。 はたしてそれが私たちにとって良いことばかりなのでしょうか。 大正・昭和初期の家も多数現存し、昔から変わらぬ生活をしている方もたくさんおられる。 住む方が満足であれば、その家を今の基準に合わせる必要は無いと、私は思う。 ほとんどの家は、修繕など少し手を加えるだけで住み続けられる。

 住まいの「住み心地」は洋服の「着心地」と同じで数値化はできないはずなのに、規格化されなければいけない物となりつつあることが残念だ。 その家族、その人らしい生き方を「住」の部分でお手伝いができればいいなぁと思う。

 また機会があれば自然素材、特に木についてお話ししたいですし、たまに里の市で座っている時は気軽に何でも相談してください。


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