響け!ユーフォニアム3 7話感想
ちょっと間隔が空いてしまいましたが7話の感想です。
府大会スキップ。
演奏を聴きたかった気持ちももちろんありますが、溜めておく方針なのでしょう。サンフェスもスキップしていましたからね。
歳をとると涙腺が緩むものなんだという美知恵先生。わかる。
暑そうな夏の描写は京アニって感じしますね。見てるだけでむしむし〜とした夏の温度とまとわりついてくる湿気を感じます。
もなかの由来について釜屋つばめに尋ねる黒江真由。友達がいてよかった。
というかもなかって名前引き継いでいるんですね。
ジャズ屋すずめすき。
久美子をプールに誘うのに手間取る高坂麗奈さん。あがた祭りに誘ったのも久美子の方でしたし(腕掴んだだけだけど)、友達と遊び慣れてない感じが出てます。
部室にやってくる夏紀と優子、ちょっと大人っぽい。
お揃いのヘアピンとかまじなかよし川。
夏紀にも負ける奏、誰なら勝てるんだ。
気楽な立場になった2人(特に優子)の話題の振り方がなんか久美子たちとは違う世界に行ってしまったんだなって少し寂しい気分になります。まあ当たり前なんですけど。
大学説明会に足を運ぶ久美子と葉月。3年になってから行くのでは遅いのでは、という気もしますがともかく回ります。
帰りにカフェで話す2人。このカフェおしゃれでいいですね。
葉月は保育士を目指すようです。久美子はそんなあっさり決めていいのか、みたいな感じですけど、葉月はそんなにあっさり決めてない気もします。
もともと美知恵先生に言われて気になっていたみたいですし、この大学説明会に行ったのももしかしたら保育士になれそうなところを選んで見るためだったかもしれません。
ここで飲み物を写すのもいいですよね。葉月はメロンソーダでまあお子様みたいな印象を与える飲み物ですが、そんな葉月でも進路が決まりつつある。
一方久美子が飲んでいるのはカフェオレ。子供と大人の中間という立場をよく表していると思います。それと同時に滝先生が飲んでいる印象があるのもこのカフェオレという飲み物です。
なんですか、これと言って滝先生風久美子の真似をする葉月もこの2人のシンクロを感じているのかもしれません。
帰宅した久美子を迎えたのは姉麻美子。
麻美子も進路のことで父と大揉めしましたが、入浴剤を父にプレゼントするなど、関係は円満になったようです。
田中あすかの退部未遂の時も麻美子が(久美子にとっては)きっかけとなって解決に導きましたが、なんだかんだ言って久美子にとって姉の存在は大きいはずです。そんな麻美子がなんだかんだありながらも今はうまくやっていけていそうというのは、漠然とした将来というものがそんなに悪くないのかも、と久美子が思うには十分すぎるほどのものなのかもしれません。
お盆休みには入りプールへ。
久美子と麗奈は水着を交換してます。なんですか、これ。親密度高いとこういうイベント発生するもんなんですか。
久美子は真由の元へ。
ほんとに仲良しになれてるのな、と不安がる真由に、久美子はこう言います。
「下級生もみんな真由ちゃんのこと大好きだって言ってるよ。話しやすいし、やさしいし、ちゃんと教えてくれるし。」
これ、地雷2箇所踏んでますよね。OGがいたら怒られてます。
まず「みんな」って誰。あすか先輩がいたら怒られます。
次に「やさしい」っていいところがない人に言うセリフでしょ。晴香先輩がいたら怒られます。
真由は久美子には怒りません。だからといって何も考えていないわけではないでしょう。この後の展開でわかります。
たいていのことはどっちでもいいと思っちゃうと言う黒江真由を見て、久美子は黒江真由に抱いていた苦手意識がどこから来ているのかに気づきます。
それは中学の頃に自分に似ていることから来ていました。
ここからのシーンが今回の1番の見せ場でしょう。
真由はリズと青い鳥の話をします。青い鳥に固執する必要はないのにと思う真由。
飛行機雲の写真を撮る真由。
普通の人はあんなふうに固執する、吹部メンバーがプールで遊ぶ写真、久美子ちゃんだってそうでしょ。
それがないと普通じゃないというのは極端じゃない?と尋ねる久美子。
そうだね、でも私思うの。そういうのが全くない人のこと、本気で好きになることは絶対にないって。真顔で久美子を見つめながら言います。だって私がそうだから。真由の瞳に写っていたのは久美子でした。
そして麗奈とつばめが戻ります。
いやーここのシーン息が詰まりますね。
真由は久美子のことをどう思ってるんでしょう。「みんな」がプールで遊ぶシーンが流れながら久美子ちゃんだってそうでしょ?と話すので、久美子もほかの人たちと一緒だという思いがあると思います。
ただそれは高坂麗奈との関係が「特別」と久美子は思っているが、そのような誰かと特に仲良くしたい(あるいは憎むほど嫌いになる)と思うこと自体が、その執着がみんな持ってるものだよねという話です。特別になりたいという感情こそ普遍的にあるものという考えです。
そういうのが全くない人のことを本気で好きになることは絶対にない、というのは黒江真由自身に向けたものであると同時に、黄前久美子に対して向けたものでもあるはずです。
自分は誰にも執着しない、誰とでも仲良くできるということは裏を返せば誰とでもそれ以上の特別にはなれないということだと真由は思っているのでしょう。
そして部長として誰とでもうまくやっていける、黄前相談所のようなところも含めてうまくやっている久美子を見て真由は似ていると思ったのでしょう。
ここの考えは人によると思うんですが、自分は黒江真由は認めたくないという感情があるのかなと思ってます。
水着を交換している高坂麗奈が、久美子にとっては特別であることを認めたくない。
自分があがた祭りに誘って断られて、プールにも誘ってきてなにか大事な話があるのかもと思ったら初手天気の話から入ってきてそれ以降も特に話題がない、ひょっとしたら部の中に溶け込めきれてない真由に気を使って部長として誘った一種の戦略でしかなかったかもしれないなんてこと認めたくない。
一言で言うなら真由は久美子を拒絶したと言うことになるでしょう。でも真由自身が考えていることですが、誰かを嫌いになるという負の感情もまた執着です。
そしてそれは期待が裏切られたことから起きることもまた往々にしてあることです。
空に走った飛行機雲は、もとは同じものだった空と空を二分する亀裂として走ります。黒江真由と黄前久美子、期待と拒絶。真由はそれをカメラに収めました。
どの缶がいいか選ばせるつばめに、真由は、つばめちゃんはどれが好き?と返します。
自分の好きより他の人の好きを優先させるのは優しさではありますが、今の黒江真由の境遇を考えると選ばない、選べないというのも悩みものです。
最後にみんなで撮った集合写真。久美子は真由も一緒に写るよう呼びかけます。
このシーンで水面が映るのも、久美子にとって真由が鏡のように見えるということなのでしょう。まあ映ってるの後ろ姿だし真由はあんなタコ頭ではないけど。
短い夏休みは終わりました。
久美子と麗奈の何気ない会話ですが、これも親しくないとできない会話に見えます。
真由は写真を持ってきてくれました。
でも最後にみんなで撮った写真だけがないようです。
現像うまくいかなかったそうです。なんや、それなら仕方ないな。
真由は久美子にだけ謎の微笑みを見せます。現像うまくいかなかったなんて嘘だよ、久美子ちゃんならわかるよねとでも言いたげな笑みで。
そして真由はなんで私のこと誘ってくれたんだろと聞きます。
ここの掠れてるえっ、という久美子の何言ってんだこいつ感溢れる声すき。
会って話したいことあるのかなってずっと思ってた、やはり真由はすこし期待をしていたようです。
真由ちゃん、あのねと話そうとする久美子を制して、オーディションはちゃんと吹くからと真由は遮って話し始めます。
久美子の返答は聞きたくなかったのでしょう。気を使って誘っただけだよとは久美子もさすがに言わないとは思いますが、答えを聞くつもりは真由にはありません。
オーディションの話をするのも唐突です。
飛行機雲の写真を置く真由。
それが北宇治のためと久美子が思っていることはわかっていると真由はにこりとしながら久美子に話します。
ここで一瞬高坂麗奈だけがこの2人の方を見るの細かい。
この2人が真面目な話を、みんなの前ではしない特別っぽい話をしていることに麗奈だけが気づきかけるんですね。
この会話は真由の宣戦布告です。黄前久美子、お前を倒して私は関西大会でソリを吹くからな。翻訳するとそう言っています。
府大会のオーディションでも別に手を抜いていたわけではないと思いますが、でも私がソリストに選ばれるのもなあ…と思いながら吹いてはいたのでしょう。それとお前を倒して絶対ソリストになってやるからな、と思って吹くのはやはり気持ちの面で違います。そして気持ちは演奏にでます。
ここで今回の話は終わります。
府大会はカットで夏休み回でしたが、ユーフォの夏休み回は息抜きではないんですよね毎回。
それにしても最後の5分ちょっとが圧巻というか痺れる展開でしたね。
真由は久美子に期待していたが裏切られた、それで憎しみを抱いてソリストの座を奪ってやろうと意気込んでいる、めっちゃ執着してるやん。
大人のふりをしてると息苦しくなるというのは、姉の麻美子が普通の大学に行ったが美容師への夢を諦めきれず父と大喧嘩したことや、あすか先輩がユーフォを吹いて父に会いたいと思う感情に蓋をして一度は退部届を出してしまったことを見てる久美子からするとわかることです。
ただ久美子も久美子で100人規模の部をまとめる強豪校の部長という立場でのポジショントークが上手くなり、いつのまにか大人な対応がうまくなってきています。今回真由をプールに誘ったのも、部長として気を使ったというところもあるでしょう(ただしそれだけではないとは思っています)。
自分の弱さも(久美子だけに)曝け出して挑んでくる真由、次回はオーディションでしょうか、どうなってしまうんでしょう。
そしてまた、次の曲が始まるのです。
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