こころのプレイリスト

2020年、何かしたかと言われれば何もしていないような気がする。

引っ越しをしたり、資格試験を受けたり、家二郎を3回もやったりしたが、それ以外になんかあったっけな…とにかく現場と自宅を往復し、熱い風呂に入りながら一杯やり、飯を食って寝る。そんな生活を繰り返して、マスクをして外出するのにも慣れて、ライブハウスにも行かなくなった。

あんまり音楽が詳しいわけではないけど、今年発表の曲の中でこころにグッときた10曲をプレイリストにした。Apple musicを埋め込むやり方をしらないので、興味があらば順々に聞きながら同じプレイリストを作ってください。いつも勧めた音楽を聴いてくれる友人がいて、これはあくまでもその友人へ宛てた誕生日プレゼントの手紙なので、以下の文章も偏っています。


1.  re:plus「Ephemeral summer」

俺は中2の頃、所謂メロスピというジャンルにハマりかけていた。疾走感のあるギター、速いドラム、壮大な世界観、時に甘いメロディにヤラレていた。そういうバンドのアルバムは決まって1曲目に厳かなインスト曲を持ってくる。速くてクサくて泣けるメタルを早く聴かせてくれよ!という気持ちを抑え、中世ヨーロッパを思いながら、その1曲目を聴くのです。

それとこれとが関係あるかどうかはわからんが、ルールに従い、インスト曲が1曲目です。このre :plusという男の曲はよくヴィレバンや系列の雑貨屋みたいなところにある、若干胡散臭いジャズヒップホップコンピに入っていたりするんだけど、曲は良いです。タグにローファイってついてるけど、全然そんなことないです。10年くらい前にTime Goes Byって曲を出して、これが韓国とか中国とかでも売れたらしいんだけど、それ以来存在も忘れていたので、2020年にこんな良い曲出してんなら教えろや!と思ったので1曲目に選んだ次第です。これが入ってるFloating in the midnight sunっていうアルバムも良曲揃いでナイスだったので是非。


2.  田中ヤコブ「BIKE」

出ました、2020年の真打、2曲目で待ちきれずの登場!長髪、眼鏡、広範囲かつロングのヒゲ。怪しさの塊から飛び出す極上のメロディ、もう強すぎ!これ以上やめて!と言いたくなりますね。俺がはっぴいえんどだったら「令和2年だぞ!?何やってくれてるんだ!」と言ってると思います。失礼極まりないですね、両者に。PVみてると、本当に優しい男なんだろうなと思います。あとこの人は家主っていうバンドもやっていて、それも最高です。迷わず聴け!

3.  Creepy Nuts「かつて天才だった俺たちへ」

正直、Creepy Nutsの曲はたりないふたりくらいしか聞いたことなくて、好きでも嫌いでもなんでもなかったんだけど、なんかいいなぁって思いました。なんかいいなぁに関して自分でもよく分かってなくて、2人が共にそれぞれすごい功績を残したってのがあまりに強く引っかかってて、モヤモヤしてたんだけど、じゃあお前はKICK初めて聴いた時にKREVAがB BOY PARKで3連覇したこと知ってたのかよ?って自分に問いかけると、すっとモヤモヤが消えていって、なんかいいなぁと思いました。もうきっと、そういうことなんだろうな。ただ、かつて天才だった俺たちも、倶知安の神童だった俺も、まだまだヘラヘラしてるし、余裕で当時のアドバンテージ残ってると思うので、ラッキー!って気持ちで、楽しいことやろうぜって思う。弱者に寄り添うような曲調は好かんが、なめんな!と奮起したりもする。PVの最後の方、トヨタの車が意味もなくぐるぐる回ってるのは面白い。


4.  halca「告白バンジージャンプ」

ちづるーッ!俺だーッ!結婚してくれーッ!

彼女、お借りしますのEDなんだけど、当然アニメありきの選曲かと思いきや、これはヒャダインすごすぎる、これ日常の新しいOPだよ?って言われたらなにも知らない俺なら信じてるね。最高の聴きどころは2:49あたり、す、す、す…と言いながら間奏に入るところ。神がかってます。こんなのどうやったら思いつくんだよ、拳を突き上げガッツポーズしたね。このPVはショートバージョンなので、Apple musicで全部聴いてほしい。アニメも見ろ。


5.  ano「デリート」

元ゆるめるモ!あのちゃんのソロデビュー1曲目です。いかにもダークヒロインとして売り出そうとしてる雰囲気が鼻につきますが、さすが「天使の橋本環奈、悪魔のあの」と言われただけあり、可愛さは顕在です。そんなことよりだ!そんなことより、曲が凄いな!なんだこの展開!?なんかそういう関西ゼロ世代的なバンドでも絡んでんのか!?というくらいの爆裂展開!誰だこれ作ったの!?

イノタクだー!!!!!!!!!!

誰だよと思って調べました。札幌市北区屯田出身、開成高校→東京外語大→筑波院という大変お出来になる方で、アイマス、デレステ界隈では有名な方でした。何曲か聴いたけど、全然曲調も違うし、なんでこんな曲つくったんだ?と謎は深まるばかり。イノタクさん、ありがとう。ただ、あのちゃんがリリース時のインタビューで、曲作りのことに触れてて、あたかも自分で作曲したかのような言い方、アーティスト志向の売り出し方をしていて嫌でした。多分何も知らずに読んだら勘違いすると思います。…と思ったらインタビュー冒頭にイノタクさんの記述がありました。あれ?俺が読んだ時にはこんなのは…おや、誰か来たようだ。


6.  クリープハイプ「幽霊失格」

クリープハイプがとんでもない曲を出してきました。歌詞に関しては本人がyoutubeで解説してたらしいので言及するのも野暮ですが、とにかく魅力的な手法をいっぱいもってるなと。ズル。しばらくクリープハイプなんて聴いてなかったけど、現場のラジオからこれが流れてきた時は驚きすぎてなんじゃこりゃー!?って1人で喚いて仕事やめてノースウェーブのツイッターでなんて曲か調べちゃいましたね。とにもかくにも羨ましいです。羨ましい。


7.  銀杏BOYZ「アーメン・ザーメン・メリーチェイン」

https://youtu.be/_--GwXpeyTk

空気階段のラジオに峯田がでたとき、そのラジオでかけた一曲がこの曲だった。俺はいつから銀杏BOYZを聴いてドキドキしなくなったんだろう。正直新譜もDOORの100分の1も聴いてない。高校生、模試抜け出してZepp行ったな。あの時紛れもなく峯田は俺の神様だった。信仰していた。行動指針のほぼ全てを委ねていた。俺は大丈夫だ、絶対に幸せになれる、だって、銀杏BOYZがいつもヘッドホンから流れている。寂しくても、のけものにされても、みんなと違っていても、それでよかった。

ラジオからはあの時のまま、早口でまくし立てる峯田。もぐらは緊張の中になんか照れ臭さみたいなのもあって、俺もなんだか昔の好きだった人にひさしぶりに会ったような感覚に陥った。それっきり。ラジオから流れるこの曲は、長かった。良い曲だった。


8.  田中ヤコブ「ミミコ、味になる」

まーた田中ヤコブかよ!うるせぇ!最高だろ!

この曲、ミミコ、味になる、アルバムの一曲目なんですが、とにもかくにも優しくて、朝がまぶしくて、みんなの人生が大丈夫でありますようにって感じで、子供ができたら聴かせたいですね。なんなら子供の名前をミミコにしたいくらいですね。味になれよ!ってな! は?


9.  crystal-z「Sai no Kawara」

時間は戻ってこない。寿命削って努力したこと、胸張って言えることはひとつもないが、やるせないこと、不条理なこと、抗えないことのその先に光をあてることが簡単なことではないくらいはわかるつもりだ。俺は高校を卒業して1浪し、しこたま遊んだ後、いわゆる日東駒専ってやつに入った。早慶MARCH全部落ちた。当たり前だ。予備校にも行かず(正確には外の喫煙所には行っていた)、好きな女の子の事で悩み、ヤケクソのカラオケ、強引な飲酒、派手なブリーチを繰り返していた。なんとか引っかかって、東京に行くことを決めた。東京ではろくに授業もでず、スナック、ホテルのフロント、塾講師(このバイトはその後7年続けることになり、当時の面接官とは未だに飲みに行ったりする。完全に人生のターニングポイントの1つだった)のバイトに勤しみ、サークル活動を世間とは逆方向に全力で謳歌した。このサークルについてはまた別の機会に書くとして、もちろんこんな生活を続けていたので単位が足りない。それも1年じゃきかないくらい足りない。3年の終わり、俺はモラトリアムを継続するために大勝負に出る。親を説得するため実家に帰った。もちろん俺はズルいやつなので単位が足りてないことは言わなかったが、建築の学校に行きたいと伝えた。もともとこれは親子3人、ひいては家族4人の夢だった。俺は自分の才能のなさを理由に18歳であっさり逃げていた。だいぶ左の方だけ頭でっかちになっちまったが、もう逃げ場もない、ちょうどいい、今なら逃げずにやれる。右の方はからっきしだが、左の方なら十分戦える。親父はやってみろと言ってくれた。そうなることはわかっていた。これは俺たち親子の夢だ。たくさん金はかけさせちゃうが、軌道さえ合致すれば子供のやりたいことをあまり否定せず、時間とお金をたっぷりかけてくれる人たちだった。

「ただし、北大に行け」

え?嘘でしょ?今3月なんですけどぉセンターまであと10ヶ月なんですけどぉ無理無理!なんで?確かに国公立なら私立の半分以下の学費だろうけど、無理じゃない?あんたの息子そんなに頭良くなくない?それなら、タダならいいだろ!?っていうことで、特待生制度のある私立を狙うことにした。入試で9割以上得点すれば学費免除〜とか、センター指定科目で90%以上得点すれば入学金のみ〜とかそんなやつだ。友人や塾バイトの仲間のサポートもあり、過去問の点数は伸びた。制度としては存在しているが、本当にあるのかどうかもわからない特待生制度というものに人生を預けてしまった事に恐怖はあった。点数さえ取れば、受かるはずだ。そう信じるしかなかった。結果は、受けたところ全部特待生合格だった。その中でも1番条件のいい札幌の大学に行くことを決めた。友達、恋人、バンドのメンバーと別れを告げて、俺は飛行機に飛び乗った…

長い自分語り乙です、キモっ、まぁつまり何が言いたいかというと、俺の場合は運良く制度通りの選考により特待生合格することができた。でもこれが年齢によってはじかれていたら…?考えるだけでゾッとする。俺なんかとは雲泥の差の文字通り血の滲むような努力をした人が、見えない基準で人生を変えられ、寿命と引き換えに残したノートの文字が価値のないものになったり、その先に光をあてたりするのはきっととんでもない強い心が必要なんだろうと思う。

曲に関する解説や考察はもうすでにインターネットに溢れているので、その辺はもういいと思うのだけど、俺的泣きポイントは、「なまった頭のバンドマンもなんとか 青から赤に変わっていったチャートが」ですね。この1フレーズに努力が詰まりすぎてもはや逆流していますね。今はどうか知らんけど、昔は青チャが解ければ北大の医歯薬獣以外受かるって言われてましたからね。それが赤に変わっていくんですからあまりに本気すぎる、真っ向勝負すぎる、ガチ泣きでしたね。ちなみに俺は開いたこともないですし、なんなら青も数問でやめました。無理です。

ちなみにこの曲はYouTubeとサブスクでラストが違うので、どちらも聴いてみてください。YouTube→サブスクの順で。※追記です、これはもう各所で言われているので知ってるかもしれないが、YouTubeで見る際はコメント欄を最後まで読まずに聴いてください。


10.  Wienners「UNITY」

しんみりするのもアレだ、最後はパンクでお別れしましょう。2020年で1番聴いた曲かもしれない。とにかくアルバム通して最高なんで、全部聴いてほしいけど、特に1番好きなのがこの曲。俺はSCHOOL YOUTHもリアルタイムで聴いていたわけではないし、思い入れが強いとか、そういう事はないんだけれど、この曲を聴いて、ちょっとずつでもいいからバンドやり続けたいなって思った。もう一年近くスタジオに入ってない、ライブもしていない。考えたら16歳でバンドを始めてから1回もライブをしない年なんて初めてだと思う。いつかまたできますように。


番外編

別に俺がベスト10に入れるまでもなく当たり前に最高だった曲を2曲

(1)  あいみょん「裸の心」

この人はもう凄すぎてバケモンですね。こんなにいい曲ばっかり出して大丈夫?生き急がないで…?心配になっちゃう。身体に気をつけて、健康第一で頑張ってくださいね。

(2)  BTS「Dynamite」

良すぎて笑っちゃいましたね。踊るべ!!


と、こんな感じで佐藤ミツルのこころのプレイリスト2020終わりです。感想戦はまた今度、お誕生日会でやろうぜ。


同情するなら酒奢れ…同情するなら…