洗濯機とパトカー

言いたいことも
書きたいことも
考えたいこともなく
ただ 眠りたくない夜
わたしは 詩を 音読する 書く

―おー い 小さ な 時 計 やさん
 猫 背をのば し
 あな た は 叫ん で いいの だ
 今年 も ついに 土 用 の 鰻と 会 わなかった と―

そうやって好きな詩を
ひととおり 声に 文字に 呼び出して
身体を通っていってもらう
飽きるまで 飽きるまで

―おーい 小 さな 釣 道 具 や さん
 あな たは叫 ん でい い のだ
 俺 は まだ 伊 勢の 海 も みて いない と―

家では洗濯機が動いている
日常を乗せて動いている
外ではパトカーが走っていく
日常でない何かを乗せて

叫べもしない夜に向かって

平和
平和ではないもの
わたしが知るのは
どちらも五月蝿い ということだけだ




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