(過去の連載を転記します)夫が離婚後の養育費の支払いを拒否! 妻が取るべき行動を弁護士が解説

初出:wezzy(株式会社サイゾー) 
離婚や親子関係、親族間の問題など、家族の数だけ存在するトラブル。昨年からは新型コロナウイルスの影響により「コロナ離婚」との言葉も出現。非常時は家族間トラブルが増加すると言われています。

 そこで、読者から寄せられたそうしたトラブルを、夫婦や家族の問題解決を得意とする佐藤正子弁護士に分かりやすくお答えいただく連載をスタートします。

 第1回目は「離婚をする夫が『子どもに会わせてくれないなら養育費は払わない』と主張しているけど、養育費は諦めなくちゃいけない?」という妻からの相談。果たして、妻は自分のため、子どものためにどのような行動をとればよいのでしょうか。

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 法律上、親には強い扶養義務がありますので、未成年の子どもに養育費を支払わなくてはなりません。民法という財産や家族のことを定めた基的な法律に定められています(877条)。子どもに会えなくても同じです。

 離婚前ならまず、婚姻費用請求として妻と子どもの生活費を夫に請求することが可能です。その際、話し合いにならず、家庭裁判所に対して婚姻費用を求める調停を起こすのなら、離婚調停も一緒に起こして、離婚後の生活を安定させるよう努めましょう。

 離婚後にメールや電話などで請求しても支払がない場合は、すみやかに家庭裁判所に養育費請求の調停を起こしてください。本来は、協議離婚をするのなら、養育費が支払われないで生活が不安定にならないよう、事前に公正証書で養育費の支払いがなされるように約束をとりつけることを勧めます。公正証書があったり、調停で合意したりしていれば、夫が支払をしないときは給料や貯金などを差し押さえることができます。

 今回のように夫が離婚前から養育費を支払わない話をしているのなら、離婚調停を起こし、その中で養育費を請求する方がよいでしょう。

 ただ、あなたは子どもを夫に会わせたくないのでしょうか。それはなぜなのでしょう。面会は子どものためのものです。面会交流権というのは親の権利でもありますが、子どもの権利でもあるのです。

 離婚しても、夫も子どもの親であり、夫も子どもを愛していることを子どもにわかってもらえるのがベストのはず。まずはよく面会の条件等について話し合いましょう。住んでいる場所によっては面会の支援をしてくれる団体(FPICなど)もあります。

 なお、夫が子どもに会いたいと面会を求める調停を起こしてきた場合、原則として会わせなくてはなりません。但し、夫から身体的・精神的暴力等の被害を受けるおそれがあるなど、夫と子どもを面会させることが子どものためにならない場合には面会が認められないこともありますので、そのような場合は調停でしっかり争いましょう。
2021.06.19

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