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ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー / メトロポリタン美術館
息苦しい夢
とても怖い夢だった。
夢の中で私は、昔の貧しい日本に生きていて、
今と同じ母と暮らしていた。
近所中がひしめき合うように暮らしているらしく、家から一歩出ると、近所の様子が見えるほどだ。
そこでは、みんな一家に一人(一匹)のヒヒを飼っているのだが、なぜだかそのヒヒを、殺してしまわないといけない命令が出ている。
そこで、皆、仕方なく、檻に閉じ込めて、
しかも、そのヒヒが横になって身動きできない空間に閉じ込め、餌を一切与えないやり方をとる。
その日、ヒヒを一度檻から出すことになる。
近所中の人々がヒヒを出していた。
私はその様子を見るのだが、出てきたヒヒに餌を与える者もいる。
「殺してしまうのに、なぜ餌など与えるのか?」
「ヒヒたちは、助かった、と思っているのではないのか!!それは、もっと残酷なことではないのか!」
私は憤りを感じながら、ウチの家のヒヒが出てきたかどうか、観に行くと、
ウチのヒヒは、よそのヒヒと違って、かなりヒトに近い様子をしている。粗末な服を着ており、髪も切り揃えている。
母は、こちらも餌を与えている!
何で餌をあげているの!!
どうせ殺してしまうのに!!!
ウチのヒヒが顔を上げて目が合いそうになる。
私はそれを避けて家に飛び込む。
目を合わせられない。見ていられない。
母は「ウチのヒヒはお前になんとなく似てるねえ」とのんびりと言う。
母に「ヒヒをどうするの?もう、逃してあげるの?山に逃すの?」と聞くと、
「いや、また閉じ込めるよ」とこともなく言う。
私はヒヒの運命を知り、自分が身動き取れない暗闇に閉じ込められたかのように息苦しくて、たまらなくなる。
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