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2023シドニーマルティグラ/ワールドプライドパレードにサポートメンバーとして参加しました


シドニーマルティグラ/ワールドプライドパレードパレードに参加したのは純粋な興味からでした。Gender Free Japaneseフロート募集をSNSで見つけ、「楽しそう!せっかくシドニーにいるのだから出てみたい!」と友人と盛り上がり申し込み。何か大きな理念や目的があった訳ではありません。しかしオーストラリア国外・NSW州外からの参加が多いとのことで、シドニー在住者は運営も手伝って欲しいとリクエストいただき、サポートメンバとして、広報・シドニーミニツアー、当日のカメラや機材などの運営面もお手伝いすることになりました。
 
正直このように運営に関わる前は「マルティグラはシドニーでやる大きなお祭り」程度の認識でした。なぜならオーストラリアで同性婚が認められたのは2017年と比較的最近ですが、私がワーキングホリデーでシドニーに来た20程年前からずっとLGBTQ+の方は身近にいて、みなさんそれぞれ自分を自由に表現されていましたから。「かつては差別や偏見などがあったかもしれないけれど、今はそんなことをする人はいない。むしろそのような態度を取る人こそ社会理念のない人と軽蔑される対象」という認識でしたから。
 
しかしオーストラリア国外からのお客さんをお迎えする立場となり、「失礼なことを言ってはいけない」とLGBTQ+関係のニュースに意識を向けるようになってから自分がいかに表面しか見ていなかったのかを痛感しました。
 
オーストラリアに来て間もない方がSNSで「オーストラリアは”心が広くて”LGBTQ+の方も受け入れている」のような趣旨の発言をされており、それに対して当事者の方が「この認識は間違っている。LGBTQ+は”心が広いから”存在していいというものではない。誰もが平等に存在していいし、誰もが平等に扱われるべきだ。それこそがオーストラリアの理念である“Everybody should be treated equally”である」と返されていました。このやりとりを見て、私はハッとしました。なぜなら私は最初の「オーストラリアは”心が広くて”LGBTQ+の方も受け入れている」という発言に何の違和感も持たなかったのですから。自分の中に無意識の差別はなかったのか?どこかでLGBTQ+の方を異質の人と捉えていなかったのか?
 
私自身は戸籍上の性別も性自認も女性で性嗜好は男性ですので、この件に関しては完全なMajorityです。男性になりたいと思ったこともなければ、女性でよかったとしみじみと感じたこともありません。正直自分の性に関しては当然のものとして意識することもなく今まで生活をしてきました。しかし一方でここオーストラリアにおいて私は「移民」というMinorityです。どんなに勉強をしても英語はネイティブにはなれませんし、白人さんが多いコミュニティではどうしても萎縮してしまいます。
Political correctnessとして、オーストラリアのある一定上の教育を受けた人達は移民の人を差別することはありません。下手な英語を笑われることもありません。それは差別であり法律的にも社会通念的にも許されないからです。ですので、みんな私に対して気を遣ってくれます。ゆっくり話してくれますし、日本にも興味を持ってくれています。でも私はいつもどこかで違和感を持ってしまっています。だっていつも「優しく“してLGBTQ+の方が感じる 違和感と同じなのだと思います。移民だから優しく“してあげよう”。そうすべきだから親切に“してあげよう”。もちろんそういう意識がない方もいらっしゃると思いますし、私の心の持ちようの部分もあるのかもしれません。しかし移民の間でよく言うのは、「出身国が違っても移民同士は仲良くなりやすい」と言うことです。どこかで引け目があるからこそ、同じ立場の人と一緒にいると居心地が良いのだと思います。
 
 
そのような思い出迎えたマルティグラ当日。パレードの行程数キロ、道の両側に驚くほどの数の人が募っていました。みんな応援してくれて、笑いかけてくれて、こちらのお世辞にも上手とは言えないダンスに全力でこたえてくれていました。
複数のメディアがGender Free Japaneseを取り上げてくれ、また多くのテレビ放送が私たちのパレードの様子を写してくれました。日本で同性婚がまだ許されていないことに対するコメントも各国のメディアがしてくれていました。そして何よりLGBTQ+の方がありのままの自分でいることを肯定してくれているその様子は、私にとってもとても嬉しいものでした。
 
一緒にパレードに出た仲間から最後にこんなメッセージを貰いました。
「シドニーマルティグラ/ワールドプライドは、LGBTQ+に留まらず、国境を越えて全ての人々が仲良く笑い合える世界を垣間見えるイベントだと思いました。」
自分はサポートメンバーだから、と言う思いが最後までありました。パレードの主役は自分ではないから、と感じながら活動をしていました。しかしEverybody should be treated equally.の世界を達成するには、すべての立場の人が一緒にこの思いに向けて努力していかなければいけません。
 
「あなたにとって優しい世界は、きっと私にも優しい」
 
そんな世界を作れるよう、私も努力していきます。
シドニーマルティグラ/ワールドプライドパレード参加の機会をくださり、誠にありがとうございました。
 
2023シドニーマルティグラ/ワールドプライド Gender Free Japaneseフロート
サポートメンバー Satoko
 

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