背伸びをした朝 その1

朝4時半、キー局でもある民放テレビの放送終了を知らせるCG放映が終わった後テレビを消し、朝焼けの光を浴びながら少年は自転車を走らせていた。

夜通しでテレビを見て、生まれて初めての徹夜をして迎えた朝。

向かう先は自転車で約10分のセブイレ。交差点に向かう自転車からは向かい風を感じていた。向かいの車線から猛スピードで走り去るトラック、少年を追い越して去って行くスポーツカー、少なくとも視界に映る全てのものは自分のためにある、そう感じていた。

きっと世界は輝いている、その瞬間に自分自身も出会えると、少年は信じていた。他人からみれば大した事もしていないはずのに、とてもつもなく背伸びをした感覚を覚えていたのである。

背伸びをした朝 その1 完

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