見出し画像

りんごの剪定

季節外れの雨。こんな日はゆっくり休もう。果樹栽培の中でも最も難しいと言われる「りんごの剪定」ですがその剪定方法は多種多様。同じ地域で栽培していても生産者によって剪定方法は異なります。

なぜ剪定するのか?

なぜ剪定しなければいけないのか?これも生産者によって回答は異なります。

邪魔な枝を切る。作業しやすいように切る。ネットやテレビでもこのように言われたりします。消費者に伝えやすいのでこのように伝えられるのでしょうね。

しかし、私が思う剪定とは「木を維持しながら毎年りんごを実らせる」です。まずりんごの木はりんごを実らせることで確実に弱ります。何年も実らせ過ぎると木は痩せ根が動かなくなり病気にも罹りやすくなります。しかし生産者である以上、毎年りんごを実らせなければいけないのも事実。それをうまくコントロールする一つの方法が剪定だと思っています。

剪定することで根を動かし、新しい枝を出し、木を健全に維持する。

新しい枝が伸びるということはしっかり根が伸びているという証拠。枝の伸びや太さ色などから地中にある根っこの状態もしっかり判断することが大事。枝があるから根が伸びる。根があるから枝が伸びる。

木にとって不必要な枝などない

就農した当時、どうやってどの枝を切ろうか?ということだけを考えていた私はある人との出会いで衝撃を受けました。

「どの枝を切るか?」じゃなく「どの枝を残すのか?」という風に考えなさい。

木にとって必要だから枝が出てくるわけなので邪魔だからという一方的な理由で切ってはいけない。

剪定=切るという考えだった私は、木に向かった際にどうやって切ろうか?ということばかり考えていましたが実は逆で、剪定=切らない ということに気づきました。

隔年結果性という性質

りんごは隔年結果性という性質があります。

簡単に説明すると、今年木にとって必要以上に実らせてしまうと翌年、花が咲かず結実しなくなるということです。ただ、我々生産者は毎年のようにりんごを実らせ収穫し生活していかなければなりません。なので剪定が必要になってくるのです。

今年実らせる枝、来年実らせるために準備しておく枝、、、一本一本に役割があります。邪魔だからというで切ってしまっては私の経験上必ずといって良いほど隔年結果します。

剪定の達人とは?

各地域に剪定の達人と言われる人がいます。

そう言われる人たちは、毎年沢山のりんごを実らせているのにもかかわらず隔年結果しない。製品率の高いりんごを生産しています。

私自身も好意にさせていただいてる師匠のような人がいますが、毎年園地を見に行ってもたわわにりんごが実っています。

画像1

一個一個の品質もさることながらこれでもかというほど実っています。この収量を毎年維持するのは本当に至難の技だと思います。毎年剪定の時期には勉強させていただいてますがなかなか理解できないことの方が多く、帰ってきてからも頭の中がモヤモヤ、、、。

その人にも師匠がいたのですがお亡くなりになり、剪定に悩んだら師匠の言葉を思い出すんだそうです。まだまだ勉強中だとも言います。

剪定に正解は無い

りんごの剪定に正解はないと言います。ある程度の樹齢の木であれば誰が剪定してもりんごは実ります。ただ、毎年実らせるというのは先人たちが失敗を重ねて試行錯誤しながら技術を発展させてきた技術。

正解のない剪定技術。ゴールのない道を走っているようなもの。

剪定中、悩むから面白く、沢山失敗してきたからこそ今が楽しい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?