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慌ただしい春の作業とマルチタスク

暖冬小雪だった冬から、あっという間に桜の開花、リンゴの花も開花そして現在はリンゴの花も散り、少しずつリンゴの実も膨らみ始めてきました。


りんごの花の開花までに

4月上旬に剪定作業も終わり、剪定枝の片付けや伐採した木の伐根、そして園内の排水不良だった場所に暗渠パイプをやるなど今年は準備万端に開花期を迎えた。

開花期を迎え園地は花で真っ白、園主の頭の中も真っ白


  • 次年度交配用の花取、花粉精製

準備万端で開花期を迎え、一番先に咲く王林の花から摘花開始。当農園では王林の花から次年度受粉用の花粉を採取するため一つ一つ手作業で状態のいい花を選別しながら摘花しているのだが、これがまた労力と根気のいる作業。例年であれば3日ほどこの作業をすることができるのだが、今年は開花期の気温が高かったため、一気に花が開いてしまい2日しか摘花採取できなかった。

  • 交配作業

一気に各品種花が咲いてしまったため、交配作業も並行しやらなければなりません。中心花の咲いた品種からラブタッチという機械を使用し迅速かつ丁寧に交配していく作業なのだが、これまた気の遠くなる作業で根気のいる作業。
マメコバチを使用した交配方法もあるが、当農園では数年前にすべて人の手で交配する人工授粉に切り替えた。マメコバチでの交配は労力の大幅な軽減になるが、今年はどういう訳かそのマメコバチが巣箱から出てきていないという。研究機関で調査はしているもののはっきりとした原因はまだ解明されていない。この時期にマメコバチが飛んでくれないということは交配作業がうまくいかず、花が咲いても実にならない、、、。

  • 病害虫防除の最重要時期

この時期から上記内容に加え病害虫の防除も始まります。虫は発生初期に殺虫剤を散布することでおおよそは防除でるが、リンゴの病気は目視できるようになってからでは対処が遅すぎるため、発生予察し消毒作業をしなければならない。降雨前に消毒作業をするのが基本だが、毎回毎回降雨前に散布していては経済的にも労力的にもキツイ。薬剤の特性を理解し散布することが大事。

  • 地元のコミュニティと役職

田舎に住んでいるとたくさんのコミュニティが存在していますが消防団がその代表の一つではないでしょうか。私の場合小さな村に住んでいるため、消防団との関わりも深く20代前半に入団、今では部長となっております。今年は雪解けが早く、乾燥した日が続いたため近所での林野火災も多く何度出動しただろう。自分の仕事を投げ出し、火事場へ行く。会社員ではありえない状況。火事場へ来るのは大体リンゴ農家。みんな地域を守るため自分の仕事そっちのけで消火活動している。


マルチタスクからの解放


マルチタスクという言葉を改めて調べていたが、上の図の4つに分類されるらしい。
ただ、開花期のりんご農家の作業はほとんどが①に分類される。
開花期間の限られている時期の摘花花粉精製、交配作業。突然サイレンが鳴り出動要請がある消防団活動。ころころと変わる天気予報に合わせた病害虫防除。作業計画を立ててもリスケ、リスケの毎日で心身共に疲れる日々もようやく終わった。今日は1日雨予報で風も強まるということなので農休日とした。明日からはただひたすらに摘果作業に勤しもう。

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