PAT METHENY "A NIGHT OF DUOS & TRIOS" with LINDA MAY HAN OH & GWILYM SIMCOCK

Pat Methenyの音楽を初めて聞いたのは、もう何年も前のこと。大学時代に所属していたプロジェクトグループの先輩たちがJazz好きで、いつかの夜にYoutubeで”First Circle”をかけて最高と評していたのを耳にしたことから始まる。

「この手拍子たまらんわ〜」

当時の自分は、Jazzを全く知らず、Pat Methenyも知らずだったものの、聞こえてくるそのFirst Circleは確かに良く、自然と惹かれ、その後自宅でYoutubeでリピートして聞く用になりだした。それが、私とPat Methenyとの出会いだった。

それから幾分かの歳月を経て、ついに先日BLUE NOTE東京で行われている来日公演に行ってきた。(横浜で行われたジャズフェスには一度出向いたのだけれど、きちんとした単独LIVEには初めて)

PAT METHENY "SIDE EYE" with JAMES FRANCIES & NATE SMITH  20度のグラミー賞受賞歴を誇るカリスマ・ギタリスト、パット・メセニーの最新プロジェクト“サイド・アイ”が始動する。これは彼が特に高く評価する気鋭を招いて、過去の楽曲の新解釈や新メンバーのための創作を演奏するというもの。

Side Eyeと名付けられた今回のツアー。日本語でいうと横目、流し目とかいう意味になるよう(直訳・・・)。だが、過去の楽曲の新解釈も含まれるという説明文からはファンとして各々の視点で見ることも許されるのではないかと思った。

最後の曲はFirst Circle、LIVEでは決まって演奏されるという楽曲だが、手拍子のリズムが難しい。しばらく手拍子をした後に続くのは、言葉にならぬどこか野性的な歌詞。今リンダ・メイの優しいボーカルがささやくように歌う。遠くへ遠くへ。

今回、一人参加だったので席が相席(6人テーブル)と気まずくなれる感じだったのだが、Pat Methenyのギター音を一ミリたりとも聞き逃したくない!というように、おそらく会場の全員がのっけから演奏に夢中になり、最後にこのファースト・サークルを迎えて見事大円団。一体化したのだった。

Thank you! いつまでも拍手が鳴り止まない。初めて目の前(1mほどの)間近で観て、ベテラン中のベテランである彼らの、そのあまりに楽しそうな姿に胸を打たれた。最後、ステージを後にする彼らをどこか横目で追う自分がいることに気がついた。

もう64歳になるPat Metheny。ファンになったのは最近だったけれど、過去の楽曲を振り返っても、その飽くなき探究と好奇心には、新鮮な驚きと感動を覚えさせられる。

自分も年をとったときこう有りたいと思える姿を目の前でみれた幸せ、この音楽を良いと思える感受性を育めてきてよかったという誰でもない自分の人生への肯定感、そんなことを感じられた連休の初日だった。

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