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伊勢路2〜一日中身体のことばかり考える、今までが集約される感覚

2020年1月14日(火)
朝、若干の緊張と不安を抱えながら宿を後にしてすぐのこと。丁度通学の時間帯だった。自転車通学のたくさんの中学生とすれ違う。グループの子もいれば一人の子も。橋を渡っているときに一人の女子学生とすれ違った。

白いヘルメットを被って自転車に乗ったその子は、私を見ると満面の笑みで「おはようございます」と声をかけてくれた。自分の心と体がすっと解けてゆく。わたしも笑顔で挨拶を返す。屈託のない、ピュアな女神のような少女の笑顔。孤独感が癒え自分の中から活力が湧いてくるのを感じる。挨拶ひとつで救われる何かがあるんだ。

ちなみに、歩いているときの毎日のパターンは大体こんな感じ。

6時半頃に目覚ましが鳴る。でもたいてい鳴る前にとっくに目が覚めている。寝たまま身体の状態を確かめつつ、ストレッチで身体をほぐしてゆく。上体を起こし布団から出たら、ストレッチと身支度を平行して行う。共に身体を動かしでゆく作業。これに30分以上時間をかける。

朝ご飯は大体7時半、ほとんどの場合、宿でご飯をお願いしていた。ご飯にお味噌汁、干物にお新香、小さなサラダなど。いずれのお宿のご飯もとても美味しかった。食べ終わると歯磨きをして、最終パッキング。

8時頃に宿を立つ。日中はひたすら歩く。トイレや給水の為にリュックを降ろすことはあっても基本は歩き続ける。昼食もサクッとパンやおにぎりをほおばる程度でただひたすら歩く。

宿に着いたらまずお風呂を頂き衣類の洗濯。一晩で上手く乾くように考えながら部屋干し。そして5時くらいに夕食を食べてテレビを見ながらマッサージとストレッチをして9時頃に消灯。

歩いている間は、身体のことばかりを考える。どう歩いたら痛みが軽減するか、無理して致命的なダメージを受けやしないか・・・。今まで身体のケアについては色々な方にお世話になってきたけど、基本、悪くなったら全てお任せしてきた。でも今は他人に頼ることはできない。そして立ち止まることもできない。

歩き続けながら過去のあらゆる経験、聞いてきたアドバイスを総動員してトライアンドエラーの繰り返し。前の日はあんなに痛かった膝が今日は全く痛くなくなってたり、またある日は突然別の箇所が痛みだしたりと、段々どう身体をを使ったらいいのか分かってきた。

知識というのは知ることが大事なのではなく、実際に自分で使ってみることに価値があるし、何よりそれがとても面白いのだった。

人とも殆ど会うこともない。そしてなによりも、自分に集中することでしか歩き続けることはできない。歩いて、食べて、ケアして、寝て。ただその繰り返し。きわめてプリミティブな日々だったけど、だからこそ、一つのこと、つまり自分の体ととことん向き合うことができたのだろう。

ちなみに、踏破後いつもお世話になっている先生のに身体メンテナンスをしてもらったら、身体の外側のこわばりがとれ、前より状態が格段によくなっていると言われた。そう、どんなことも本当にやるべきことはシンプルなことなのだ。

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