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CES2020 手詰まりとリアリティ

今年のCESは評判が悪い?

CES 2020は巷でも囁かれている通り
あまりこれといった大きなトピックはなかった印象です。

最近で言う5Gのようなあたらしいキーワードが出てくることはなく
地続きの未来として「いかにして実現するか」「生活に根ざすためには?」みたいなことがきちんと考えられているものが結果的に注目を集めているように思えました。

現地の盛り上がりやツイッターのトレンドなんかも踏まえると
以下の4つのブースは大きなムーブメントを作ってたかと思います。

・TOYOTA Woven city
・SONY VISION-S
・SAMSUNG  NEON
・HYUNDAI×Uber  S-A1

この4つのブースを実際に訪れてみて
記事のテーマである手詰まりとリアリティを感じました。

4つのブースを手始めに、個人的にもっとも良かったと思うQuibi(映像サービス)と諸々の新発表、おまけに愉快なガジェットをレポートしたいと思います。

TOYOTA Woven city

規制大国だと嘆いてばかりいるのはやめよう

日本は規制がヤバいから実験するために街ごと作っちゃえと動き出したのがWoven city

静岡県内の工場跡地に実証都市をつくり、初期はトヨタ従業員や関係者ら2000人程度の住民から暮らし始める想定だそうです。

完全自動運転かつゼロエミッションの乗り物が高速走行する道と、歩行者とスピードの遅い乗り物が共存する道、そして歩行者専用の道。これらが網目のように織り込まれる(英語でwoven)ことから名付けられています。

米グーグルの新社屋を手掛けた建築家のビャルケ・インゲルス氏がデザインを担当します。

ブースの中は巻き貝状になっていて中で都市のイメージ映像を見ることができました。

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コネクテッドカーを各社が発表し、そこそこに手詰まり感が漂うなか、街を作るというビジョンを見せられたのは良かったポイントでしたね。

逆にメルセデスのアバターコラボの微妙さは際立ってました。

SONY VISION-S

エンタメを武器に奇襲作戦

SONYのビジョンをうまく伝える格好の箱を見つけましたね。

生産もしないので、ほんとにエンタメを頑張ってますというアピール以外に何も感じなかったのが正直な感想です。ウォークマンから綿々と続く移動中にエンタメを楽しむという哲学の結晶に思えなくもない。。。

あとはカメラがすごいので暗闇でも障害物を見つけられまっせというアピールにもなってるようです。33個もセンサーつけてるらしいです。

※人だかりがすごすぎて写真撮れませんでした、すいません。

SAMSUNG NEON

新しい時代の「ネオンサイン」になるか?

コンピューターによって生成された人工人間のモデルがリアルタイムに思考し、動き、会話するというものです。

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専門職の知識を学習させて店員をしてもらったり、病院などで会話相手になってもらったりすることができそうです。

しかも単なる便利な「機械」ではなく自由意志を持った「生き物」としての存在を目指しているそうで、見た目もCore R3というエンジンを積んで自然な動きを生成しています。

ただし、実はデモの初期段階でブース内、プレゼンに使われたモデル共に「動画」でリアルタイムに書き出されたものではありませんでした。似たようなバーチャルエージェントから抜け出すコンセプトは素晴らしいと感じました(実現すれば。。。)

HYUNDAI×Uber  S-A1

トレンド×トレンドで手触りのある近未来

ドローンというトレンドとスマートシティというトレンドを思いっきり合体させたのが今回の発表です。

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でっかいドローンとそのハブで街を作っていくという構想です。2020年にデモ飛行、2023年に実用化するという結構近未来のお話でした。ハードとソフトがうまいこと手を組んでイノベーションが加速するいい例だと思いました。eVTOL(電動垂直離着陸機)業界の最大手になりそうですね。

街づくりに関してはいま六本木でやってる展示も参考になるかもです

Quibi

映像業界の新旗手

ハリウッドの重鎮とネットサービスの策士が手を組んで生まれたのがQuibi(クイビー)。ショートビデオ専門のサービスでドラマやニュース、リアリティショー、ファッションや車など幅広い専門チャンネルを用意。もちろん好みを学習してサジェストもしてきます。年間で8500本の動画を配信すると発表しました。

SXSWでもキーノートは世界中で話題になりましたが、今回追加で「スマホならでは」の機能が発表されました。それがturnstyle。

動画を縦でも横でも視聴できます。そもそもネットフリックスを先頭にVOD戦国時代で各社がしのぎを削っている昨今ですが、Quibi的には「ユーザーはスマホ使ってんだからそこにフォーカスしようぜ?」というのが新しい主張です。縦画面と横画面の適正なカメラワークなんかはグーグルが持ってる大量の動画データをベースにやっていくそうで布陣が豪華。

このturnstyleはカメラワークを任意で変えられるためストーリーテリングにも影響してきます。新しいクリエイティビティが刺激される要因になりそうな予感がしますね。一方で面倒くせぇwwwって一蹴されないようにコンテンツのバランスを考える必要はありそうですが。

監督も俳優も超大物が参戦予定で目が離せません

その他諸々新発表

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SAMSUNGの家の中走り回るロボ

愛着わかせるために変にキャラクター化させるのは本当に愚の骨頂で、これは非常に良いアプローチだと思いました。こいつをハブにスマートホーム化させるらしいです。ただし、デモのときにはひっくり返って空転してたので実用化はまだ先かもです。

対して謎のロボたち

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ロボットアームもいくつか出ていました

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食器を整理させたり、コーヒー作らせたりと一本のアームにいろんなことを学習させる考え方です。一家に一本の時代来るんでしょうか?

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アームじゃないですけどこういうのもいました。

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パーツを入れ替えていろんな動きができるように拡張できるらしいです。キャラクターがあるものよりよっぽどリアリティがあるなとおもいました。ルンバに愛着湧くのとおんなじですよね。


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HUAWEIの折りたたみです。やっぱり折り目に少しだけあとがついちゃいますけどめちゃめちゃキレイでした。

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これ結構面白いSONYの3Dディスプレイです。箱みたいになってて少し覗き込むようにして中の3Dが見られる仕様。カメラが頭の位置を認識して左を見るとちゃんと左の奥行きが現れます。箱の中に模型があってそれを自由に見られるみたいなイメージですね。プロジェクションマッピングとか作ってる人にはぴったり。SONYはクリエイターに標準を合わせてる感が強く出てました。地球人全員クリエイターになれる時代なので。ディスプレイ業界はこのリアリティを見習うべきですね、綺麗さばっかり追いかけないで。

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MRグラスこれすごくきれいでした。あと安い500ドルくらいです。機能面もバッチシで、あとおしゃれなのもあって人だかりすごかったです。見た目はサングラスなのでほんとに流行ってる様子が目に浮かびます。日本ではKDDIから販売予定。

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植物系も多かったですね。家の中で育てるタイプと畑に代わるタイプがありました。異なる植物を一つのプラントで育てる「Alpha garden」という研究もあったんですが、やっぱり実用化が近すぎて手詰まり感は否めませんね。すごいですけど。

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P&Gイカれてました。トイレットペーパーの補充忘れてたときにロボットが持ってきてくれるってやつです。しかも一番やばいのが奥の研究者みたいな人がラジコンで操作してるっていう。

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今年からセックス系が解禁らしく自慰用のマシンです。去年のTHE FUTURE2019にも掲載されてました

「より良く生きる」の大波来てますね。長蛇の列でした。

まとめ

手詰まりはリアリティで解決するしかない?

各社の似たような発表が相次ぐ中で少しでもリアリティを描いているプロダクトが光っていました。Quibiがすごいなって思ったのは動画見てるユーザーの核心をついたところで。テレビよりスマホファーストであれと。彼らはライバルとしてネットフリックスではなくてインスタやTikTokを挙げていて、リアリティがあるなとひしひしと感じました。そして圧倒的な実行力がモノを言うこと。僕もとにかくモックを作れる人になろうと思いました。

おまけ

気になったものばばばと列挙します

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レコードもブルートゥース飛ばす時代、アナログ回帰すごいですね

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グランドピアノの電子版ピンクのオネェさんが現代的すぎる曲弾いてました

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スキャニングされて3サイズをさらされている来場者

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海外メーカーの大胆な展示方法を日本は見習うべきっすね。。。

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とにかくマッサージチェア多かったです

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これは脳波を見て酸素を垂れ流す謎装置

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足底のデザインをアプリで変えられる

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腕時計型ドローンでジェスチャーで飛ばせる

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投げられるスピーカー、遊んでいいって渡されたやつ一瞬で壊れました。

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wifi飛ばしてその電波の干渉で人間の侵入を把握するセキュリティのやつ

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タトゥーペイントをかざして印刷できる、フェスとかで。

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めちゃめちゃテクノロジーの祭典で

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最もアナログな箱の使い方

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ポテトと会話できる、熱量がすごかった。