アタック25Next参戦記・補遺 日本一周クルーズ参戦記②出発~旅行編(1・2日目)

第3章 出発~旅行編

第1節 出発日:岐阜→横浜・大黒埠頭

さてあっという間に出発日である。直前に子どもが鼻かぜをもらったり、職場でコロナウイルス感染者が発生したり出発までにもかなりのドラマが発生していた(万全を期すために予定していたライブを泣く泣く欠席したりもした)。夫婦ともに仕事の都合上、出発日の午前まで勤務し、午後から半休を取って行動する。スーツケースは事前に送っていたがそれ以外にも
・チケットやパスポートなどの重要書類
・カメラ
・NintendoSwitch
・水筒
を持っていく必要があったためカバンはパンパンであった(今思えば小さいスーツケース1個でも良かった)。自宅からタクシーに乗って駅へ。ここで活躍したのが「タクシーGO」アプリである。初めて使ったのだが、タクシーをどこでもすぐに配車できる上、どの車がどこから向かっているのかもバッチリ分かる。クレジットカードを登録しておくことで支払いもスムーズ。ビジネスや旅行など様々なシーンで活躍すること間違いなしである。

 駅から電車に乗り名古屋へ、名古屋から新幹線で新横浜に向かう。この時点でお昼寝前に保育園から回収された娘はお昼寝タイム。自分ものんびり読書をしながら向かう。新横浜から電車に乗って横浜駅へ。ここからさらに乗り換えればシャトルバスで大黒埠頭まで向かえるが子供の体力も鑑み、タクシーを選択。運転手によると本日はこれでベリッシマ行きの客は3人目とのこと。時間帯的に混み始めているとの事であり高速道路の使用を提案される。出費がかさむが乗れなければ元も子もないのでお願いする。結果、16時過ぎには大黒埠頭に到着する。到着するとそのまま乗船手続きへと進んでいく。巨大な船が目の前に現れてテンションも上がるが、どうせ寄港地でも写真を撮れるのでここで騒ぐ必要はなかった。巨大なターミナルで手続きを行う。クルーズチケットとパスポートを回収される。パスポートはクルーズ終盤で返却されるが、途中で韓国に入国する際、および鹿児島での下船時にコピーが必要になるので事前に2部コピーして持参する必要があることに注意が必要である(なお、のちのアナウンスによると用意を忘れた場合もデッキ5のカウンターで対応していただけたようである)。そしてここで写真撮影。寄港地での上下船時の本人確認のため、クルーズカードと呼ばれる個人の乗船証内にデジタルデータとして紐付けられる。乗船前の疲れているタイミングで撮られたため、東横インの会員証の写真みたいだなと思いつつ対応。クルーズカードが発券され、手荷物検査の後、いよいよ乗船である。
 ちなみにクルーズカードには、氏名、部屋番号、緊急時の集合避難場所、レストランの座席が確保されている時間が記載されている。また、部屋のカードキー、室内の電源を入れるカードキー(ここも東横インの会員証っぽい)、船内での支払いを代行する記録媒体としての役割も担っている。カードの上から印字されたシールを貼っているもので、娘のものはクルーズ中に端から剥がれかけたため貼り直してもらっている(デッキ5のカウンターに行けば対応してもらえる)。上下船にも用いるため基本的には首からかけっぱなしだが寄港地では恥ずかしいので一括で貴重品入れに収納して持ち歩いていた。一部寄港地では見せることで入場料が割引になったり、土産物が割引になったりしたようだが、自分の行ったところでは残念ながら役に立つ機会はなかった。

 急な階段を登ってデッキ(階のこと)5まで上がる。毎日の上下船がこれだと子供には辛そうだな、と心配していたが、結果的にはこの後は階段も比較的緩やかなものやスロープに変わった他、最終日の横浜下船時もこの急な階段にはお目にかからなかった。船に入るとメインカウンターの前に到着。ピアノの生演奏でのお出迎えである。バーカウンターもあるのでせっかくなので飲み物を注文。娘もオレンジジュースでご満悦である。ひとしきり堪能した後、いよいよ部屋に。メインカウンター近くにはエレベーターが6基あるのだが、来る直前までどのエレベーターが開くか分からない。チーンと音が鳴ったところで全力で見回し、上のランプが点滅しているエレベーターに乗る、という感じだ。エレベーターを降りると両側に細長い通路が出現。右舷側が偶数番号、左舷側が奇数番号の部屋という配置になっている。我々の部屋は内側の部屋のため、この通路をぐるりと大回りしてなんとか辿り着く(2日目にエレベーターホールへのショートカットを発見してQOLが大幅に改善した)。部屋の前には妻のスーツケースを発見。…あれ、私のは?ひとまずスーツケースを1個回収して入室。
 中は狭めのビジネスホテルくらいの部屋にベッドが2つ…と天井から引き出された2段ベッドが1つ。ベッドの初期配置は両側の壁に寄せた状態だったが娘が落っこちるといけないので片側に寄せてくっつける形に。2段ベッドの下は何も考えずに起きると上段に頭をぶつけるため娘用、手前側を妻、上段を私が使用することにした…が、子供の寝相がすごいため結局3人で下で寝ることになった。クローゼットは2つ、金庫は1つ。早速ドレスやジャケットを掛け、必要なものを出す。その後、緊急時の脱出方法の説明をテレビで視聴。この後避難訓練なのだが、出航が20時の関係上、なんと開始が21時30分。娘にはつらい時間帯である。ちなみにこのような避難訓練はSOLAS(海上人命安全)条約により乗船後24時間以内に乗船者全員に受講が義務付けられている。
 とりあえず部屋を確保したので船内を探索する。デッキ7後方のカルーセルラウンジでジャパネットクルーズさんによる船内の説明会が開催されていたので参加。船内で開催されるショーが1回無料で見られることや、クルーズカードへのクレジットカードの紐付け方などを教えてもらう。これだけ大きな船だと内容も多岐に渡るため、これは聞いておいて非常に役に立った。それが終わった後、食事に向かう。レストランとビュッフェは食事以外にも利用できるが、レストランは座席が空いていない可能性があること、ビュッフェは自由席なため席確保の必要があることに留意したい。
 私達は遅い時間の食事時間指定だった。レストランではメニューから選んでいく方式。子供用のメニューは頼めば用意してもらえるがスタッフからは特に提示してもらえず。迷いながら娘のメニューを選ぶ。ドリンクもパッケージ料金だったので遠慮せず頼む。ここで娘は「Calpico」を覚えた(カルピスのことである)。やはり初日はどこもバタつくようで事前の情報通り、食事が全然届かない。子供の時間つぶしグッズはここでも活躍しそうである。
食事後、部屋に戻るが、まだ私のスーツケースが届いていない。廊下にはまだまだスーツケースが残っている。意外と皆さん船内の探索に余念が無いようである。というところで、2個となりの部屋の前のスーツケースに妙に見覚えが…。近づいてネームタグを確認すると…これ俺のだ。やはり外国船なのでスタッフの大半は外国人。海外旅行と同じく、割と雑な扱いを覚悟しておいたほうが良い(実は最終日の積み下ろし作業中にスーツケースは箱の中に山積みにしてフォークリフトで搬入しているところを目撃したのだが、一番上のものが落っこちたりしたところを目撃してしまった)。

 部屋に戻り、シャワーだけ先に浴びてしまう。客室はシャワーのみで浴槽がない。シャンプーや石鹸は備え付けのものが一応あったと記憶しているが、我々は家で使っているものを小分けにして持っていった(100円ショップなどでも購入できる)。荷物置き場がまぁまぁ狭いので注意は必要である。

 子供は長旅で死にそうだが21時30分から避難訓練である。案内放送後に指定されている集合場所へ向かい、船員にカードをスキャンしてもらって終了である。集合場所は客室ごとに定められており、クルーズカードに記載されている。多くはデッキ5-7の多くの人が集まれるシアターやメインホールなどであるが、同時に数千人が動くため非常に混雑する。子供連れの参加者は離れないよう手を握るか抱きかかえた方が良い。
この1大イベントを終え、なんとか帰室。就寝となった。

第2節 2日目:1日航海日

 1日航海日となったこの日。ジャパネットさんによるイベントが2つ行われた。まずは早朝のラジオ体操である。娯楽が多い船上生活での生活リズムの是正と運動不足の解消を目的にプールサイドで行われるイベントだ。朝7時30分とまあまあ早いのだが毎朝6時起床の我が娘には余裕である。しかもなんと参加を志願。せっかくなので全日参加を目標に頑張ってみることにした。中高年の方々に混じってラジオ体操をする娘を周囲の人にかわいがっていただいた。
 そのままビュッフェが隣接しているため、朝食はそこで取ることに。自由席なので混雑時間は席の確保が第一である。船員が案内してくれる、ということも特にないため妻と娘を食事確保に先行させ、座席探し。食器の片付けは非常にスムーズに行ってくれるため、見つけたところに物を置く。カトラリーセットが壁際においてあるのでそれを持ってきておいても良いが最初の数日は備え付けと勘違いして座る人もいるので注意が必要である。飲み物は壁際に水や湯、ティーバッグ、コーヒーがある。ジュースやお酒も船員に頼むと対応してくれる。この時クルーズカードの提示を求められる。プランによっては有料なため端末で読み込んで確認してくれるのだ。ちなみに多くの船員は日本語NG。拙い英語力で伝えている間に隣の老人グループは日本語で気合で伝えていた。食事は何回でも取りに行ってよく、広いビュッフェ内には同じものが2-3つずつくらいおいてあるため近くのコーナーに行くと良い。日本食やフルーツも完備である。

 その後はもう一つのイベント「スタンプラリー」だ。何しろ広大すぎるMSCベリッシマ。客室以外にも様々な施設がある19階建ての高層モール。そこでどこに何があるかを把握してもらうためにこれが企画されている。多くは第5-7層の低層メインフロアと16-19層のプール・ラウンジフロアであり、これを巡ってあっちこっちしているうちに何となくの場所が分かるようになるだろう。なお最終日まで船首方向と船尾方向はちょくちょく間違えていた模様。ちなみにデッキ19のプールにはエレベーターからアクセスできず階段を登る必要があることに注意が必要である。ここであることに気付いた。エレベータの階表示に「PONTE 17(17階)」が存在しないのだ。PONTEはイタリア語で「DECK」に相当するらしい。MSCクルーズがイタリア・ナポリで設立された会社なので一部表記がイタリア語になっている。そこでカウンターで質問してみたところ、こんなくだらない質問に答えてくださった。
ナポリをはじめとする南イタリアでは17が不吉な数字らしい。そこで、17階はMSCクルーズのすべての船に存在しないだけでなく、すべてのフロアに17号室が存在しないらしい(※全フロアではないが、自分の部屋のある階層で本当に17号室が飛ばされているのを確認した)。日本における「4」や欧米の「13」のような興味深い事例であった。
 その後、子どもと妻は屋外プールに出発。海外のクルーズ船にはプールと巨大なウォータースライダーが付いているのがデフォルトなので、クルーズ中に1回は行っておいたほうが良い(ちなみに私達は子供に付き合い、夫婦各2回ずつ、合計4回行っている)。
 ちなみにここで注意しておきたいポイントをいくつかあげる。

  • プール周辺には更衣室やロッカーがない。
    こうした施設の常なのか、更衣室やロッカーがあるわけではないので部屋から水着で移動する必要がある。また、貴重品やタオルを置いて置ける場所もないのでプールサイドにもっていく必要がある。船内のショップにビニール製の小物入れが売っていたのでそちらに入れてプールに入る方法もあるにはあるが、なるべく余計なものはもっていかないほうが良いだろう。また、船内は寒いのでラッシュガードなど移動時は羽織るものがあったほうが良い。

  • 余分なタオルがない。
    事前の案内を見るとプール用のタオルがあるようなことが書いてあるのだが、室内を探しても見つけることができなかった。もしかするとヨットクラブなどの上級会員限定なのかもしれない。バスタオルが部屋に備え付けられているが、多いわけではないので各自でタオルがあったほうが良い。私達は速乾性のタオルを持っていった。

  • 海水プールである。
    当然真水は貴重品なので海水である。プールサイドのシャワーなどでしっかり洗い流すことをおすすめする。

 上記の理由で私はプールサイドで荷物番をしながら水平線を眺めていた。360度何の陸地もない水平線というのも斬新な体験である。ひとしきり遊んだ後は再びレストランへ。前日よりは提供時間はやや早くなったように感じたが後日と比べるとやはりまだ慣れていなかった様子。店員がご厚意でサービスのパスタを出したりしてくれたが…量が多い…。
 午後は妻がスペシャルゲストの細川たかしステージを見に行く。その間に娘はお昼寝。季節にもよるが真夏にラジオ体操→スタンプラリー→プール→お昼ご飯である。さすがに休憩させてあげないと体力が持たない。
 妻が戻ってくると次はデッキ17のゲームセンターコーナーへ。VR迷路やF1シュミレータなど、地方の遊園地顔負けのアトラクションが多数あった。ちなみに1回ごとに支払いが必要(クルーズカードで後で一括で引き落とされる)。

 夕方はフォーマルナイト。1日クルーズの期間中には前回も紹介したドレスコードありのイベントが開催される。カフェテリアゾーンは通常通り利用できるが、せっかくなので楽しむ意味でも参加したほうが良いだろう。
 ベリッシマ名物のスワロフスキー階段は写真撮影で渋滞している。左右に存在しているが、片側は船のスタッフが封鎖している。というのも、彼女は首からゴツめの一眼レフカメラをかけており、おしゃれに着飾ったゲストをスワロフスキー階段でキレイに撮影するためにいるのである。ちなみに当然、無料ではない。今回の旅行に備えて持ってきた一眼レフカメラで撮影をしているとジャパネットのスタッフさんがお撮りしましょうかと声をかけてくれたのでお願いした。iPhoneでも撮影をお願いし、次の方にお譲りした。なお、最近はカメラ自体を取り扱うことも少ないためか「半押し」という文化自体が浸透しておらず、スタッフはカメラのシャッターを半押しで止めまくっていたため、一眼レフカメラでの家族3人ショットは1枚も撮られていなかった

 無料のショー(普段は別料金)は子供には少しわかりにくかったかもしれないが、迫力ある演技で楽しむことができた。
 船内でも充実のアクティビティがあるので、観光地に必ずしも行く必要もないのかもしれない、と思った次第である。ちなみに、MSCベリッシマの特徴としては子供を預かって遊んでくれる施設がある点だ。親がゆっくり過ごせるよう配慮されているようだ。だが、この施設にはとある問題があり、それが後に大事件を引き起こすことになる…

こうして、船は太平洋を北上し、最初の寄港地、函館へと向かっていくのであった…。

(つづく)

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