金融緩和が終わりを迎える

日銀が長期金利の変動許容幅を0.25%→0.5%に12月20日より変更するという金融政策決定会合での決定が報道された。2012年以来の、アベノミクスによる大規模金融緩和の転換点を迎える形になった。

日経平均は19日終値27237円から20日終値26568円と669円安で終わっている。大きく株価は反応して下げた。

俺の浅い理解では、長期金利が0.5%まで上昇するまでは金融緩和政策、つまり市中の国債やETFなどの株式指数商品を日銀が大量に買い取ることで円を市場に大量供給し、

日銀の国債買い取り需要効果で、相対的価値が上がることで、国債の値が上がることが、その国債の償還時に約束されている国債の価格に対する金利による利益を下げることから、実質的な国債金利(利回りが)下がり、

銀行が大量に買付し保有している国債の量とその相対的な金利に基づいて決定されている、長期金利(金融機関が1年以上のお金を貸し出す際に適用する金利)を下げる効果を狙って日銀が円を供給し、

長期金利を下げるという手法が行われてきたというのが、金融緩和というものだと、理解している。

株価が金融緩和によって上がるのは、日銀という巨大な機関投資家が、市場で大量の日本株のETFを金融緩和政策のために買い付けることから、日経平均全体で株価が上がるというのが、アベノミクスの日経平均が上がり、景気拡大、景気浮揚効果を演出する仕組みであり、日経平均が上がることで、経済が活性化し、上昇基調にあると演出する意味で、この金融緩和政策は続けられてきた側面もある。

しかしながら、長期金利が0.25%から0.5%の範囲まで広げたことで、金融緩和政策の出動がその金利までは行われないようになる。つまり、出動が鈍くなるということで、積極的なETFの買い取りの動きが鈍くなるということを受けて、

日経平均がETFが連動させているTOPIXなどの指数に反応して、銘柄の全体が日銀買付の需要減を見て、売りに出される。もしくは日経平均が下がることを見越して、機関投資家が一斉に空売りを入れて下降圧力が働く結果、日経平均が下がるという現象に出るということだ。

長々と理屈を書いたが、要は国債やETFの買い取りを渋ると、長期金利が上がり、株価は下げるということだ。

アベノミクスの問題点は、債券やETF購入によって大量の資金は購入されるが、その供給されたマネーが銀行と日銀間にとどまり、実体経済にマネーが供給されないということが、指摘され続けてきた問題点だった。

金融緩和は長期金利を下げる効果がある。したがって、お金を借りて事業を拡大したり設備投資したりするには、お金を低い金利で借りられるというメリットが生まれ、企業がお金を借りて、設備投資や雇用に投資することで実体経済も活性化させるというのが、アベノミクス、金融緩和の政策の意味であった。

ところが、日本企業は90年代のバブル崩壊の際に、銀行から借りたお金が返せず土地や建物などの不動産が担保割れをおこして不良債権化した結果、貸しはがしなどの記憶があるため、銀行からお金を借りて設備投資するという昭和までの主流の発想から、自社で株式を発行したり、債券を発行したり、自社に蓄えている内部留保によって経営し、銀行からお金を借りない方向になってしまった。

したがって、金融緩和と実体経済の活性化がつがらなくなってしまっているのが、ここ数年の実情だった。

もっといえば、金利が安くて借りやすくなったことで恩恵を受けたのは、中国や、欧米などの外国政府および機関投資家で、日本で低金利でお金を借りて、投資をするようになった。

日本の土地や水源地、不動産などが買い漁れるのも、日本の金融機関から安い金利で外国がお金を借り、そのお金を使って、日本の資産を買い漁っているという側面がある。

今回の金融緩和政策の転換で、今、低金利でお金を借りている勢力が、高い金利の支払い分でこれから苦しむことになる。低金利政策に依存してお金を借りていた仕組みがまわらなくなっていくということで、世界経済にも影響が出るし、その借りている経済主体にも影響が出て、ひいては雇用や、商品、サービスの価格などにも影響が出る。

需要を拡大するためには、国内総生産の6割を占める一般消費者の需要が増えて、一般消費者がお金を自由に使える、可処分所得が増えないことには、需要が上がらない、したがって過剰供給になり価格が下がるというデフレの状態が続いてきた。デフレが続くと企業は投資を控え、リストラを繰り返し、生産設備や人員などを縮小、全体的な供給力が低下する。

そして、一度落ちた供給力を取り戻すのは、ただ単にお金があればというわけにはいかず、人を育て、設備をつくる技術が継承され、それらを成り立たせる企業の存続が条件になるが、高齢化社会やグローバリゼーションの空洞化も含めて、供給力を取り戻すのは至難となる。

今はさらに可処分所得が増えない状態で、ウクライナ戦争や新型コロナによる行動制限という外的要因、さらに、デフレにより企業の供給力が損耗したことでスタグフレーションが起こっているという現状になっている。

日銀の金融緩和政策の転換は、物価上昇と円安による輸入支出の拡大や、金利を上げている米国との相対関係による。

この状況下で、増税政策をかかげて、経済対策を行わない岸田政権は、日本国の運営を投げているようにしか思えない。防衛のための武器購入は日本政府をコントロールしている上からの指示だろうことは、誰でも薄々想像できる。

日本人がおかれている現状に対して、多くの日本人の理解が低く、また、無関心であり、情報も意図的に隠蔽され、支配者の都合よく捻じ曲げられて情報操作をされている状況下で、状況を把握している一般国民は、国や自治体という組織をあてにすることなく、本気で自分たちで生きていける基盤を共に作っていかなければ、デジタル支配や政治的正しさによる政策、感染対策、防衛危機などの誘導などによって、近い将来、基本的人権や行動の自由、言論の自由を失っていくことになる。

どう団結できるか、どう共生できるか、誰と組むか、この辺のことについて具体的な打ち合わせを進めていかないと、この社会に殺されると、俺は本気で思っている。



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