解読探偵

 実家から借りて、床の間に掛けた軸にはこのように書かれていた。
 このように、といいながら読めない。
 軸が仕舞われていた箱には、このような書付があった。

   あ可つきの、よし乃毛里のみひかりを、
   ぁふきてそたつやまと民?

 数年前に預かっていたこの掛け軸の文字を、解読しようとは思っていなかったのですが 今日床の間を見たかたが、
「毛里…?…”けぐろ”だったらねぇ、稲刈りの後の田んぼを焼いた後の色を、"毛黒"っていうのよ。」
 と、仰るのを聞きながらよく見ていると、この文字はあれじゃないかと、推測できるようになってきた。

 毛黒、が田んぼに関係する言葉なら、”よし”は植物の葦のような気がしてくる。すると”乃”の上には木という文字に見えてくる。(葦は木と言っていいのかはっきりしないけどこの際おいておき先に進む)
 ”毛”は、解読したかた、よく読めましたね…その下の文字は”里”ではなく”黒”と思って見れば見えなくもない。”みひかり”は、みひ”可”り なんだろうな…。

 阿ふきてそたつ やまと民(?)

 という書付を見てわたしは、
 「会う来て育つ やまと民」
 と、(意味はよくわからないが)そう書いてあるのだろうと捉えていたが、「あふ」の音は、「アウ」「オウ」のどちらでも捉えられそう。また、濁点のつけどころを変えてみることもできそう。と思って、この言葉は

  あうぎてぞたつ(仰ぎてぞ立つ)

  あうぎてそだつ(仰ぎて育つ)

とも読めそう。で、田んぼや葦など草っぽい文章だから、最後のやまと民(?)の部分は

  やまと民草

 でいいんじゃない?(超適当・超訳←これは昭和に流行った言葉)

   あ可つきの よし木乃毛黒 みひ可りを
   阿ふきてそたつ やまと 民草

で、書付の 「落款は解読不可能です」とあるのは花押のようでもあるけれど、無理して読んでみると

   い う し

または

   い ら ん

 などにも読める。
「いう」は「イウ」「ユウ」ともなるから、

   ゆ う し

または

   ゆ う じ

 となって、書いた人はユウシさん、ユウジさんというかたかもしれない。

または、「有志」にかけているのかもしれない。

南相馬市小高区にある、高村光太郎詩碑。(関連性は全くわかりません。何となく思い浮かんだので)

  「毛黒」という言葉について、ざっと調べたところでは詳細が全く掴めませんでした(Googleで検索のみ)。
 根拠を提示できるものは全くないのでこれまで述べてきたことが 本当かどうかは全くわかりません。

 現場からは以上です。

※以下は2019/3/17に追記しました 

…と書いた後に、再度よくよく考えてみました。”よし”の後の文字を「木」と判別しましたが、小高には「吉名(よしな)」という地名があり、地域に語り継がれる「大悲山大蛇伝説」の中にも出てくる古い地名です。

 試しに「な 古字」で検索、画像カテゴリで見てみると…。
これは誤差の範囲に入れても良いとわたしのゴーストがいいました。

 ということで、”よし木”と便宜上読んでいた文字はよしなということにします。
 そして「毛黒」は書付どおり「毛里」とすると、この読み方を工夫して

 毛里 → もり

 と読めます。地域に対して森というほどのイメージがなくて、あっても林だろという先入観があって、もりと読めても、わたしのゴーストが可能性を認めなかったように思います。いろいろ考えましたが、この軸の短歌は

 あ可つきの よしな乃毛里の みひ可リを
 阿ふきてそたつ やまと民草

 という事なのかなと思いました。吉名の丘に森は無いのですが、丘らしいところにあるのは小高中学校、小高産業技術高校、です。
 かつては森だったのでしょうか。いまはこの解釈でいいかなと思います。
「毛黒」について調査する部分もあります。短歌として音で聞くと、けぐろでは違和を感じる事でもひっかかってはいましたが、「毛黒」というヒントがあったから想像が広がり、読めない文字を推理するモチベーションともなりました。この場合、毛黒というのはアウフヘーベンと言っても大丈夫でしょうか?(アウフヘーベン使いたいだけ)

ひとまず終わり。

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