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音楽も自然の摂理であるように〜笹岡秀旭2ndワンマンライブ「天道と歌」@渋谷WWW X 2022_11_04レポート〜

2022年11月4日、笹岡秀旭くんのセカンドワンマンライブ「天道(てんどう)と歌」が渋谷WWW Xで開催されました。前回に引き続き、主観的ライブレポートをお届けします。

01.draw

機材の調整に少し時間がかかり、10数分遅れて開始したライブは最新曲「draw」で幕を開けた。前回のライブでは笹岡の方が前方に出ての演奏だったが、ここではサポートメンバーのお二人と肩を並べるように横並びになっており、さながらスリーピースバンドのようだ。

前回のワンマンライブは夏真っ盛りの8月。季節も相まってdrawは縦にも横にも乗れるダンサブルな曲という印象があったのだが、今回のdrawはサポートメンバーが増えただけあって音にも厚みが増し、笹岡の声もいつもにも増して幅も奥行きもあるように感じる。

今回ステマネを務めてくださったマツナガツヨシさんがかねてより「ド派手にやります」「かっこよく美しく派手に魅せる」とツイートを繰り返していただけに、今回の演出がどんな感じなのかもうずっと楽しみにしていた。私はこの時のメモに「照明イイ!!」と書き殴っている。つまり1曲目から前回のライブの雰囲気とは一味も二味も違うんじゃないかという感想を持っているのである。

そう思っているのに「こりゃもう派手派手だ」「しょっぱなから派手派手だア」しか出てこない。宇髄天元に頼らなくても済むような、イケてる演出を表す語彙が自分に欲しいものである。

この曲といえばワッシャワッシャと頭を動かすサポートギターの「にわとりさん」が印象的で、若干奥にいる分ワッシャワッシャ具合は前回に比べてなりをひそめていたものの、「Good bye, Good bye」のところでブウン!!!!と腕を振りガッツポーズを決めるにわとりさんは今回もめちゃくちゃクールだった。開始早々ここで撃ち抜かれた笹プは相当数いたのではないかと思われる。カックイイーー!!

そんなイケてる演出とイケてるサポートメンバーを背負って中央にドンと構え、新曲を堂々と歌い上げる笹岡。

君が着ているそのオーバーシャツは、20歳の時から何度も何度も見ているシャツだった。ちょっとぶかっとさせた襟元も肩も、優しい面差しも変わっていないのに、数々の曲を作り上げた自信と矜持が君の横顔に映し出されている。歩みを止めずに進んできた足跡が、そこにある。

ああ本当に、毎日毎日どれだけ成長するんだろう。

02.purple

2曲目は前回のDigital E.P.の表題曲となった「purple」
イントロでの「プシュ!」と缶を開ける仕草も健在である。

笹岡も自分もそれほどお酒に強くないという共通項をいいことに、このプシュ!は透明なおいしさ青春の味、三ツ矢サイダーであると勝手に決めている。部活帰りの笹岡と、蒸し暑い午後に自転車で川べりを走りながら、自販機で買ったほっそい250ml缶をプシュっと開けて飲むのである。これが理想の高校生活でなくてなんであろうか。

実際のところ、purpleのジャケットに映る紫色の飲み物はアルコールっぽさを醸し出したぶどうジュース(確かウェルチ)であることがのちに笹岡本人の口から語られているのだが、アサヒ飲料つながりということで許してほしい。

で、話はpurpleに戻るが、この曲の中に「So singing like La La La La…」という一節がある。ここは通常の場合、おそらく観客に向けてマイクを差し出して観客が合唱するというのが本来の流れであると思う。だがまだまだ声を出すことに規制のある今日、このマイクパフォーマンスは御法度である。そう思っていた。

…しかし、なんとここで笹岡がマイクを向けたり手を耳に当てたり「みんなの歌声を聴かせておくれよ」というあのモーションを見せるのである。
冒頭で笹岡が「まだ声を出せない状況ですが、皆さん心の中で一緒に歌ってください」と言ったばかりである。ライブ慣れをしている訳でもない私は、正直なところ一瞬、何が正解なのか戸惑ってしまった。

あまり息を吐かないように、小さな声で歌うもありなのかとの考えが一瞬よぎったが、そうじゃないなとやっぱり思った。私は首をブンブン縦に動かしながら、マスクの中で息を止めたまま「La La La」の口をしてみた。

おそらく多くの人がそれに近しい動きをしていたのだと思う。笹岡はにっこり笑って、伴奏だけが続く静かな空間の中親指を立てて「いいね!」のハンドサインをしている。

こんなにも多くの人がいるのに、誰の耳にも届くことのない静かな歌声が心の中に広がっている。
どちらも同じ旋律を思い、笹岡は観客に、観客は笹岡に届けようとしている。

胸に拳を当てて見せ、「伝わっているよ」の合図を送る。
笹岡が言う「心の中で歌ってください」はこういうことだったのかと、そのとき腑に落ちたのである。

MC1

「皆さん心の中で歌ってくれてありがとうございます!こんばんわー!笹岡秀旭です!!」
歌が終わったら一気に素朴で誠実な姿に戻る、笹岡のいつもの挨拶である。

ここで今回のライブタイトルである「天道と歌」についての説明がなされる。私はこの説明に大変感銘を受けたので、正確ではないですが記させてください。

ここで皆さんに、今回のタイトルである『天道と歌』について説明をさせてください。

「天道」と言うのは、自然に決められていること、天地の法則のようなものです。例えば、ご飯を食べる、寝る、呼吸など。(生きるために何も意識しなくても)自然に起こる行い、概念のようなものです。
それで言うと、歌や音楽のようなものは、なくても生きていけるものではあります。なくても、誰も死にはしない。

でも実際僕が音楽も歌もない世界に生きたら、それはつまらない、寂しい世界だと思います。
皆さんも、音楽の支えがなかったら前に進めないこともあると思う。

そう考えると歌も音楽も、人間が生み出した新しい天道の一つになっているのではないかなと、僕は思います。
そんな思いで、今回はこのようなタイトルにしてみました。
2022.11.04 笹岡秀旭2ndワンマンライブ「天道と歌」

おひさまを「お天道様」というように、「天道」には太陽が天空を進むその進路という意味がある。笹岡秀旭の「旭」もまた、朝日のその光という意味である。

人類にとっての太陽の光のように、笹岡にとっての命の源、生きるためになくてはならないものが歌である。その衝動は体の中から抑えきれず、今か今かと、外に出ようとする瞬間を伺っている。

「天道と歌」のキービジュアルには
マイクに向かって叫ぶ笹岡の姿が使用されている

「…さて!」と、ここまで一気に話し終わると気分を変えるようにその場を仕切り直す笹岡。

「今日僕がライブ前にですね、Twitterで写真を載せたんですが、それにセットリストも写っちゃって。とんでもないやらかしをしでかしてしまったんですが(ここで「ウフフ…」と静かにどよめく会場)、見てしまった方はどうか忘れてください。でも知っちゃってても楽しめるように頑張りますんで、よろしくお願いします」

「今日は皆さんに、新しい曲を3曲!用意してきました。
1曲めは、「limit」という曲です。
2曲めは、「cosmetic」
3曲めは、「いっそもう」という曲です。
皆さんに楽しんでいただけると嬉しいです!」

03.limit

出だしからベースとドラムのビートがズンズンと体に響き、壮大な雰囲気を持つ曲であることがわかる。あ、なんか宇宙っぽい。ユニバースだこれは。

「息が絶えるその時まで手を伸ばして」
「悠久の愛を君へと捧ぐ」

雄大なメロディーに載せて、自らの生が尽きても、愛を注ごうとする言葉たちが並んでいく。

うまくいえないが、「こういう言葉にはこのようなメロディーがふさわしいよな」というドンピシャのものを作り出してきたなという印象が、この曲ではものすごくあった。

遠い遠い宇宙の始まりから138億年、連綿と続くこの地球の歴史の中で、私たちがどんなに懸命に生きても全ては泡沫の夢の如く消え去ってしまう。

そうだとしても、今日ここで笹岡がこの歌に込めた思いが、この歌を聴いた私たちの心の揺らぎが、何も生み出さないなんてことはない。身体という箱はいつか朽ちて終わりを迎えても、永遠という言葉を信じたくなるような、そんな歌だった。

04.cosmetic

「わたし」の一人称で語られるメロディアスな一曲である。

個人的な話だが、私は男性が作る「わたし」一人称の歌がそれほど得意な訳ではない。なんとなく女性の一人として聴いていると、「こうであったらいいのに」と男性が女性に願うことの具現化なんじゃないか(例えばですが、大変な名曲ですが「木綿のハンカチーフ」とか)と穿った見方をしてしまうからである。また切ない曲調が多いじゃないですか。「ドライフラワー」とか、「愛のかたまり」とか、「Ti Amo」とか(いやこう書くと名曲揃いだな)。

そんな私にも唯一「これには参った」と思った「わたし」曲があって、それがbuck numberの「ハッピーエンド」である。「わたし」一人称の蓋然性というものを感じさせたのは後にも先にもこの曲限りだった。

そんな数ある男性の「わたし」曲の中でも、推しの曲であるという贔屓目を持ってしても、このcosmeticという曲は随一だなという印象を持った。

「ファンデーションのように 恋もうまく隠せたら」

顔を洗っただけでは何もかもは消え去ってくれないから、ファンデーションを手に取り願いを込めるように鏡に向かって、目に見えるもの、見えないもの、いろんな感情を覆い隠す。
肌の疲れも昨日までのジクジクした思いも、心に引っかかる言葉も全て、全て。
そうして色々な気持ちに蓋をしながら、メイクをする朝が何度もあった。

たった一節の言葉だけれども、そんな幾つもの朝をどうして知っているんだろうと呻きたくなるような衝撃があって、手元のメモに急いで書き残した。曲の間中ずっと、その衝撃のままに笹岡が歌う横顔を眺めていた。

そしてこの曲の終わりで、にわとりさんとキーボード高橋遼さんお二人の、サポートメンバーのご紹介。メンバー紹介が終わった後、ギラギラギラっと白く照明がまたたいて、またしても「いやあ派手ッ派手だなあ」と呟く自分。

05.いっそもう

この時代に生きる若者の閉塞感と苛立ちを昇華させた爽快なロックテイスト。「乗せて」に引き続きにわとりさんの作曲だという。カックイイ(2度目)。

目に見えないけど確かにある時代の圧迫感。私が育った時代は女子大生ブーム(それこそニワトリのような前髪とか)と女子高生ブーム(ルーズソックスとか)の狭間である上に就職氷河期にも直面しており、その時はそういうものだと思って過ごしていたが今振り返ってみると結構悲惨な時期を過ごしていたなという印象がある。

なぜ当時「そういうものだ」と他人事のように思えたかというと、それは今のように誰もが時代を語れるようなツールを持っていなかったからである。他人に断じられなければ自らの境遇を悲観することもない。憧れはいつもテレビの向こう側、雑誌のページの向こう側にあった。

「幼くして知った 平等なんてないと」

しかし現代はSNS等の進化によっていくらでも自分と他者の比較ができてしまうのである。自らの立ち位置を知る仕組みが、生まれながらにしてすでにある。どこをどう足掻いても、自分は自分以外のものにはなれない。

「どこへ向かおうと 俺ら地獄に行く定め」

ふとしたきっかけで「あちら側」に行ってしまった、すぐ隣にいたはずの友人。個人のありようが全て可視化され、数値で図られる時代。
俺らを見ているのは、俺らの在り方を笑うのは一体誰なんだ?

「俺はこれからどうすりゃいいのさ」
「笑っていこうぜ 生きていこうぜ」

いい曲書くなあほんと。泣くよ、泣く。

※歌詞は覚え書きなので、間違っていたらすみません

06.大袈裟じゃなくて

ここで一息つき、ベージュのワッフル地のようなブカっとしたVネックセーターを着て現れる笹岡。かわいい。かわいい。
(FFさんによると親指だけを出せる「萌え袖仕様」だったということを翌日知って、ギェ〜〜と身をよじっている)

「えー、私事なんですが」(完全に入籍しましたの前フリで心臓が縮み上がった笹プが一定数いたとのこと)

「9月上旬に引っ越しまして。防音室のある部屋に引っ越したんですよ。ここで機材も揃えたりして、さらに音楽に没頭できる環境を作っていきたいと思いました。これというのも、大袈裟じゃなくて皆さんが日々応援してくださるおかげです。」

そして始まる「大袈裟じゃなくて」

笹岡の22歳の誕生日である今年(2022年)の9月23日に、「ホームビデオのような感覚で見てもらえたら嬉しいです」とyoutubeで公開された一曲である。

わたしは君がいてくれたらそれだけで幸せだよ
大袈裟じゃなくて
君の人生を彩るただ一つになれたならそれでいいかもってそう、
そう思える
笹岡秀旭「大袈裟じゃなくて」

そういえばこの曲に写った背景は、防音設備なのではないかと思われる背景だった。レンタルしたのかと思っていたが、これはおそらく引っ越し後に自宅で撮ったものなのだろう。

笹岡は前回の1st ワンマンライブ後に、ファンの皆さんからもらったお手紙やプレゼントを見返して幸せな気持ちで眠りについているとツイートしたことがあった。この曲の中でも、プレゼントと思しきポッチャマとペンギンのぬいぐるみを手に取り曲に合わせて揺らしているシーンがある。

これも「わたし」曲である。

おそらくファンが書いた手紙の中に、この曲中にあるようなメッセージが本当にたくさん、数えきれなくなるほどにたくさん綴られていたのだろう。この曲は笹岡がファンの立場の視点で作った曲なのではないかと、そう思った。

「笹岡は笹プである」

笹岡が笹プの主戦場であるTwitterで起こる出来事をいち早く何事も把握している様を見て、よく言われるワードである。

どちらかというと軽口のような形で使われる言葉ではあるが、「大袈裟じゃなくて」を初めて聴いた際に「ああ本当に笹岡は、いや笹岡自身こそが、生まれた時からの笹プなんだな」「私たちもまた笹岡の一部なんだな」と心の底から思ったのである。

だからホームビデオなんだと。
家族のようにその人の幸せを願う、何よりも近しい存在だから。

この曲のサムネイルは歌っている画ではなく、笹岡のためにファンが用意した新宿ユニカビジョンの誕生日広告の前で撮った笹岡自身のセルフィーであった。

07.tell me why

暖かなセーター姿のスタンドマイクで、次に歌うのは秋の名曲「tell me why」。

なんというかこの曲を聞くともう実家に帰ってきたような安心感がある。

というのも笹岡がこの曲を発表したのは2021年の10月23日で、オリジナル曲、カバー曲、と交互にほぼ1ヶ月おきくらいのリリースで、ファンにとっても笹岡が定期的に顔を出してくれることのありがたみをじわじわと感じられるタイミングであったからだ。

リリースされた直後、家族が寝静まった後の薄暗いキッチンで、洗い物の残りをしながら「tell me why」を聴いていたことを思い出す。

もう焦ることはない、これからもずっと笹岡は歌と共に私たちの前に現れてくれる。そんなふうに安堵と少しの確信を抱えながら、繰り返し何度も聞いていた。

1stワンマンのセットリストでは二番手に位置していたこの曲。打って変わって、会場がひとしきり温まった後で聴くバラードはまた格別である。笹岡の声にも力強さが増し、会場いっぱいに伸びやかな声がいっそう響き渡っている。

MC2

曲が終わり、笹岡のもとに丸椅子が差し出される。
「座りますね。はあ〜〜」と、腰を下ろして盛大な一呼吸を置く笹岡に小さな笑いがさざめく。

「どうですか?いい感じですか?」(そりゃいい感じに決まっているよね!拍手)
「皆さん、いろんな方法で応援していただいてありがとうございます。」(ペンラありスローガンありぬいぐるみありうちわありで思い思いに応援する会場を見渡しながら)
「もうだいぶ寒くなってきましたね。前回のライブからたった3ヶ月しか経っていんですけど、前回は夏だったですもんね。もうあっという間に年をとってしまうんですけど…」

「とはいえ!最近は嬉しいこともたくさんあります」
「まずはチェンソーマンのアニメが始まりました!」
「そして、HUNTER×HUNTERの連載再開!」
「ポケモンの新作も発売されます!」
(小学校5年生の嬉しいことを聞かされているのか…?)

「年をとってくると、融通が効かなくなってくることがたくさんありますよね。税金とかですね。引越しの時の住所の手続きも本当に大変でした。でも年を取るとたくさんの新しいこと、面白いことが生み出されていって、決して悪いことばかりではないですよね。….って僕はなんの話をしているんでしょうね笑」

「まだちょっと早いんですけど、Xmasの曲を歌いたいと思います。」

(ここで通称笹ペンちゃんのペットボトルカバーをつけた水がテーブルから落下し、ボコっと鈍い音を立てる。そっと近寄り「大丈夫?」と声をかける笹岡に笑いが漏れる会場)

08.クリスマス・イブ

2021年12月24日、クリスマスイブに発表された山下達郎さんの「クリスマス・イブ」である。笹岡がにわとりさんをサポートメンバーとして伴いyoutubeで発表した初めての曲である。

笹岡が今までたった一人で全てを作り上げる様子を見てきたから、確かな技術を持つ頼れる友人と共に曲を発表したことがとても感慨深かったのを覚えている。

再生回数の伸びを狙うなら、クリスマスの1ヶ月前くらいに公開した方が断然に有利である。12月26日以降、クリスマスを歌う曲を聴く人はごくわずかだからだ。商業施設もハロウィーンが終わった11月には早々とクリスマスのディスプレイに様変わりをする。12月26日はもうお正月、セールの準備だ。師走の、特に最後の1週間は文字通り疾風のように走り去っていく。

それでも私は、「クリスマス・イブ」の椅子に添えられたサンタクロースと雪だるまのオーナメントが、映像の最後にふっと現れて消えた「Merry Christmas!」の小さな表示が、それを12月24日の当日の晩に公開してくれたことが、本当に嬉しかった。笹岡がファンと過ごす初めてのクリスマスを、特別な思いで彩ってくれようとしたその心意気に胸を打たれたのである。

時は移って次の年の11月の初旬に、あの日見たにわとりさんと二人で再び「クリスマス・イブ」を歌っている。メロウなギターに合わせて切なく歌い上げる笹岡。二人顔を見合わせて演奏が終わる。温かい気持ちが胸にじんわりと込み上げていく。

09.カバーメドレー

「ありがとうございます。会場がクリスマス色になっていますね」(赤と緑のペンライトを見て)
「皆さん、クリスマスはどうお過ごしでしょうか。私は全くの未定なんですけども…」(ここで漏れる笑い)
「今ね、ゲーム実況配信とかやりたいと思っているんですよね。そのためにね、大きなモニターも購入したりして。ただ本当にやるかわからないので期待しないでくださいね笑」

「さて、ここでちょっと音楽遊びをしたいと思います。世の中には一定のコード進行を使ってたくさんの名曲が生まれているんですけれども、高橋さんが弾いているこれがね、そのコード進行ですね。これをメドレーで歌っていきたいと思います」

1) 丸の内サディスティック
2) 愛を伝えたいだとか
3) 今夜はブギーバック
4) young
5) draw

ヒット曲が数多く生まれているこのコード進行が、1999年に椎名林檎さんが発表した「丸の内サディスティック」にちなんで「丸サ進行」と呼ばれているいうことを、私は今日の今日知りました。いやー、音楽ってほんといいもんですねえ。

確かに同じ音がベースにあるけれども、表に出てくるものはアーティストの伝えたいことによって全く違う。この5曲の中に今日ライブに来た人の思い出に強く残っている曲がきっとあるのだ。数ある名曲の系譜に笹岡の「draw」もまた、連なっている。

10.U.F.O

ここでざっくりふんわりニットを脱ぎ捨ててインナーの白Tシャツのみになった笹岡が、前回使用したSEと共に現れる。青い照明が、笹岡の横顔を照らしだす。「U.F.O」である。

U.F.Oは個人的にとても好きな一曲で、なぜかと言うとラップもファルセットも中低音も地声での歌い上げも全て含まれている、いわゆる「全部乗せ」だからである。インストも笹岡の音作りへのこだわりがたっぷり詰め込まれている感があって、時にインストだけを聴いてしまうほどだ。

加えてライブではジェスチャーも楽しめてしまう一曲となっていて、聴き終わった後の充実感というか、達成感が半端ない。

今回で言うと「この目で見た、いや確かにみた」で手を額に掲げて手を伸ばす仕草であったり、「空へとーーーーーおおーーーー」の部分で片膝をついて歌い上げたり、最後の「U.F.O まだ空前絶後 覆していけ」のところで足をドン!ドン!と力強く踏み鳴らしたり。

そして屈指の箱馬曲でもありました。前回の箱馬のサイズは段ボールで例えるならば80サイズくらいだったのが、今回は100サイズくらいでしたからね。ちょっとした踏み台とミカン箱くらいの差がありました。そんな箱馬を使用しつつ縦横無尽に走り回るのだから、そりゃあもう素晴らしかったです。

11.夏だね。

U.F.Oで会場の意識が完全に「あの夏」に飛んでいってしまったところにダンスチューン「夏だね。」が始まった。前回のライブからお馴染み笹岡のダンスナンバーということで、会場のワクワク度合いはピークに達している。

いやそれにしても、
ダンスがものすごく、ものすごく上手くなっている。堂々としている。
一人でたくさん練習したんだろうなあ…

…と感慨に浸っていたらですよ。

チラッ

あ、今日は赤いベルトつけてんだね!かわいい!おしゃれ!!

チラッチラッ

んん?一瞬チラッとお腹見えちゃったかな?? (p_-) ゴシゴシ

チラッチラッ……..ブワッ

ポカーン(・Д・)

ブワッブワッ ブワッッサァァーーーー(ジャンプした)

はい皆さん伝わりましたでしょうか。これは笹岡の腹チラ度合いを示したんですが、言葉って無力ですよね。あの時感じた衝撃の1/100も伝わっていない気がしています。

お腹が見えないダンスの時は「上手くなったなあ…」って心から感動しているんですよ。ですがひとたび赤ベルトと共にお腹が見えてしまったりすると

腹チラ!腹チラ!\( º∀º )/\( º∀º )/\( º∀º )/

って腹チラ弾幕が頭の中を駆け巡ってしまう。もう情緒が忙しい。

心なしか、この曲終わりの拍手は前回比にして5割増しくらいに感じられました。シンガーソングライター・笹岡の腹チラは貴重なんよ…

12.乗せて 

そんな会場の(見えない)盛り上がりを知ってか知らぬか「いやあ、夏くらい暑くなっちゃいました」と言う笹岡。(我々も気分は常夏だよ…)

「本当に楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、とうとう本編最後の曲となりました。今日発表した3曲や『大袈裟じゃなくて』も、また配信だったりで聴いていただきたいと思っているので、いっぱい愛して聴いてくれたら嬉しいです」

「こういう活動を色々としていると、数字だったり不安になることがあります。でもそれを打ち消すくらい、皆さんがこうしてライブに来て応援したりしてくれるから、僕は毎日前に進めています。その気持ちを乗せて、歌います。」

こうして前回に続き本編最後の曲順で、「乗せて」のイントロが始まった。

「ベタつく吊り革と手を繋いで揺れる」吊り革に揺られて体をコミカルに揺らす笹岡。

「可能性と未来抱えながら」でにわとりさんをバギュンと打つ笹岡。

「連れていくから手を離さないで」で手を前に差し出しギュッと握る笹岡。

何もかもが楽しすぎて、キラキラと煌めいていて、だからこそなおのこと一層、このライブの終わりがすぐ間近に迫っていることを実感する。

目に、耳に焼き付けておきたい。
こんな楽しい時間が一生、続いて欲しい。

EC.I LOVE YOU TOO

ステージをはけるとすぐさまアンコールの拍手が始まる会場。その手拍子に応えるように、今回のライブグッズである「draw」の長袖Tシャツを着てニコニコと現れる3人。3兄弟みたいでめっちゃかわいい。

「いやあ、今回こんな素敵な会場でですね。平日ですよ、言ってしまえば。それをわざわざお休みをとって来てくださった方もきっといると思います。本当にありがとうございます」
「これはですね、今回のグッズ販売をしているdrawのTシャツです。ここにですね、Sasaoka Hideakiって書いてあります。これを着たら今日からあなたも笹岡秀旭。そういうことです」(会場笑い)
「こちらはですね、フレンドパス。これは今日の日付だったり会場だったりが書いてあります。これをどこかに貼ったり、貼らずにとっとくもよしです」
「そしてですね、わたくしのきったねえ字の、手書き歌詞カードです。いやあ…まじか…。よくもまあこれでグッズにしますよね。図々しいにも程がある。まあ字が汚いメリットといえば、サインとかが偽造されにくいってことですかね。いやあ…きったねえ…(しみじみ)」

グッズ紹介が終わると、ここでサポートのお二人のメンバー紹介が入る。

笹岡「今日のライブ、どうでしたか」
高橋さん「今日はですね、笹岡大将、にわとりくんと、お二人の下についてやらせていただいたわけなんですけども、僕一人だけ年齢層が違ってですね。(高橋さんは今年33歳になられたとのこと。十分若い!)
でも、リハめちゃくちゃ頑張ったもんね(ウンウンとうなづく二人)。
いいライブになったんじゃないでしょうか」

笹岡「高橋さん歌も上手なんで、皆さん調べてみてください」
高橋さん「ありがとうございます。二人について行きます(笑)」

にわとりさん「笹岡軍団のにわとりです。……(聞き取れない)……」
笹岡「(笑)声遠くない?」
にわとりさん「(笑いながらマイクに近づいて)ライブ楽しかったです。後半ほとんど記憶ないんですけど。ちょっと喋るの下手なんで(これで終わりにします)」

そしていよいよ本日最後の曲。
「皆さん、愛してくれてありがとうございます。僕も皆さんを心から愛しています」のメッセージで始まった、「I LOVE YOU TOO」。

みんなクラップで大盛り上がり。笹ちゃんも手を腰に当てて首をフリフリとかわいい仕草を見せ、最後の最後まで幸せいっぱいのラストでした。

笹岡に釣られてみんな座ったり、後方のお客さんがやっぱりで立ち上がったりして、わちゃわちゃしながらも笑顔溢れる写真撮影が終了すると、
「本日は本当にありがとうございました!笹岡秀旭でした!バイバーイ!」とはけていく笹岡。

舞台袖まで進みつつもバイバイが長すぎて、なかなか捌けていかないものだから、業を煮やしたのかにわとりさんがチョップを食らわせていました。笹岡のステージ終わりの名残惜しげなバイバイは「弁当少年団」で見たそのままだなあと、頬が緩みました。

本日のセットリスト
やらかしたものとは見た目ちょっと違うらしい

終演後のお渡し会

今回ありがたくも最前列上手で見させていただいたので、物販の並びとしては最後尾になりました。

今回歌詞カードは何度も並んで良い形式となっていたので、まずは歌詞カードのお渡しの列に並び、その後Tシャツの列に並び直し、それから2度目以降の購入をしたい人はまた歌詞カードの並びに連なるといった感じ。

もうね、歌詞カードのお渡しはビカーっとそれこそ太陽のように輝いているんですよ。発光してる!発光!!

私の番になると既にTシャツのS,Mは売り切れており、MかLかで迷っていた私は当初の予定通りLサイズを購入。ちょっと大きめにゆったり着たいからよかった。リモートワークだから仕事中も家でガンガン着るんだーい。

一度歌詞カードの並びに並んだ後にTシャツの列に並んでいた時には、いやもうあの笑顔を目に焼き付けておきたいから一回だけにしておこうと思っていたのだけれど。
私は本当にほぼ列の最後だったので、Tシャツ待ちの間に歌詞カード待ちの人もすこーしずつ、人が減っていくんですね。あ、ほとんど待たないで、もう一回、もう一回あのビカーっとした笑顔が見られるんだと思うと、誘蛾灯に誘われる蛾のように(例えがよくない)フラ〜っと吸い寄せられましたね。

なんかもちろん、自分の時も嬉しいんですよ。でも列待っている間、顔見知りの笹プさんが笹岡にカードを手渡されている景色もまた格別なものがありました。みんな本当に嬉しそう。そして笹岡も嬉しそう…。

最後の最後に最高の笹岡の笑顔を見て、今日のライブは終了。
皆さん、ほんっと楽しかったですね!!ありがとうございました!!!!


サイズ感はばっさ〜&さっさ〜が教えてくれた


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