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笹岡秀旭から生まれるクリエイティブ

現在PRODUCE 101 JAPAN SEASON2 に出演中の笹岡秀旭(ささおか・ひであき)は練習生の中でも特に濃厚なファンダムを持つ練習生として(主にTwitterで)知られている。

これは私も実際に感じたことだが、笹プはとにかくいいねとRTが早い。「笹岡」とつぶやく数分後にはいいねがつく。しかしいいねRT以外に笹プに特徴的なのは、とにかくTwitterのTLに毎日のように笹岡をモチーフとした作品が上がってくることである。スローガンや布教シート、ファンアート(FA)はもちろんのこと、動画、漫画、ロゴマークなど日々高クオリティの作品が流れてくる。ニコニコ動画にMADがアップされた練習生(しかも本放送前)はおそらく笹岡が初だろう。

底辺にあるのはもちろん笹岡への愛だが、愛情だけに留まらず笹岡の順位を上げるために猛スピードでクオリティの高いプロダクトを産み、そして猛烈な勢いで布教する。

日プ2には多くの練習生がいるが、笹岡ファンダムはその中でもプロ意識を持って動いている人が比較的多いように感じる。それは何故か。その答えは笹岡自身がクリエイター気質であることに他ならない。笹岡の各供給が緻密な考えのもとに生み出されたことを直感的に感じたからこそ、同じような気質を持つファンが笹岡に惹かれたのだろう。ここでクリエイター笹岡秀旭が生み出した「作品」を時系列で振り返ってみたいと思う。

オンタクト能力評価「1分PR」

練習生としての笹岡秀旭の第一作目、「投票しないなら国民プロデューサーをやめてもらう」の名言を残した伝説的な作品である。注目すべきはやはりあのサングラスであるが、本放送前に笹プにジョインした私がTwitterアカウントを立ち上げる頃には既に多くの笹プのアイコンには青いサングラスが飾られていた。正直青いサングラスの皆さんに続々といいねを押されると猗窩座集団に周りを取り囲まれもう逃げられないような気分になったのも確か(注:笹プみんな優しいのでご安心ください)。

見た目のインパクトだけでなく、背景で流れる曲が笹岡が「本家様に似せて僕が作った」ものであることもさらっと告白して「君は作曲ができるのね...?」と期待を持たせることも忘れない。そして猗窩座サングラス、カチューシャを二つくっつけて改造した猗窩座チョーカー、黒の手袋を半分にちょん切ったような猗窩座グローブ。そんな念には念をいれた小道具を足元に捨て去り「はいっ冗談でーす!はじめまして!僕は埼玉県出身20歳笹岡秀旭です!」といきなり好青年風の挨拶が始まってしまう。

そんな彼の初々しく一生懸命な喋りを見ているうちに猗窩座だった記憶は忘却の彼方に飛んでいくのだが、最後の尺あまりで窮してしまったことが彼の表情からありありと伝わり「あら...大丈夫...??」と見ている人の母性を引き出すことに成功する。苦肉の策として繰り出した連続ダブルピースの手元には猗窩座グローブがまだ鎮座しており「あっそういやこの人猗窩座だったわ」と思い出させる。約1分とは思えないスリリングな展開がそこにあるのだ。

れみふらチャレンジ #1 TikTok

笹岡秀旭れみふらチャレンジ #1

オンタクト公開後まもなくしてTikTokに上げられた動画。この自己紹介の形式としては同じ曲に合わせて画面上に現れる名前・年齢・身長・出身地・ニックネームの5項目を順に指さしていくものである。

指差す順番が多少異なるくらいで、全ての練習生が同じフォーマットなので、見るものの記憶に残すにはより個別化を図ることが必要とされるが、ついこの間まで普通の生活を送る男の子たちにとってはなかなか個性を出すのが難しかった様子も見受けられた。あくまでも私がざっと目を通したまでだが、
・それぞれの項目を指差す時に全て表情を変える
・項目と項目とのインターバルでカメラ目線に戻り(画面の向こう側の視聴者に)アイコンタクトを毎回行う

この両方を満たしている練習生は片手に収まる程度であったが、そこに笹岡は含まれているのである。

さらに笹岡はこの5項目が終わった後、画面の右側に対して手を差し向けている。これは単なるミスではなく「意図的にTikTokのいいね・コメント・リンクコピー欄を指差しているのではないか」と笹プの間で推測されていた。指差すことでそれらのボタンに誘導しているというのである。当初はあくまで推測だったように思うが、今までに笹岡が関わった全ての供給を目にした今では、確固たる意図を持って指を差したと考える方が妥当であろう。

れみふらチャレンジ #2 TikTok

笹岡秀旭れみふらチャレンジ #2

続くTikTok企画では恐らく全員同じスケッチブックを渡されているのであろう、自由に書き込みをして自己紹介を行う。ざっと見た感じは自分の名前やキャッチコピー、ニックネーム、絵が得意な子は絵を描いている。大半は視聴者に向けての語りかけスタイルであるが、そこで1人独自性を放っているのが笹岡である。

「さあ!PRODUCE 101 JAPAN season2最終順位の発表です!」威勢の良いハキハキとした喋りと同時に急にランキング番組が始まってしまうのだが、冒頭ではピラミッドが隠されている。そこを開けると......という、こちらも笹岡の練習生生活を代表する名プロダクトである。画面右のグループ名は「SH1」。言わずと知れた先輩グループ「JO1」と笹岡秀旭のイニシャルを引っ掛けたグループ名だ。これは後に笹岡ファンダムのファンダム名にも採用された。

1位から11位まで笹岡秀旭・SASAoka・ひで・hideAki....と日本語ローマ字ハングル文字の表記とともに様々な表情の笹岡の写真が並ぶこの動画はその後の笹プの創作意欲を大いにかきたて、関連動画やFAが数多く作られた。笹岡の愛する少年ジャンプの「ボーボボ・ボーボボ」を彷彿とさせるこのランキング形式の衝撃はその後もじわじわと広がっていき、つい先日歌詞・音楽メディアUtaten様のツイートでも取り上げられた。いよいよ笹界から世界に見つかった感がある。


mystaで1pick! #1 自分の好きなものをプレゼン

mysta企画第一弾もスケッチブック企画である。スケッチブック企画といえば書いている内容の差はあれど、アクションとしては縦にめくるか横にめくるかの違い程度というのが定番であるが、そこでも笹岡は独自性を発揮する。笹岡がプレゼンを行っているのは「スマートフォン」なのであるが、笹岡はスマートフォンを模した黒枠の中にもう一枚を紙芝居方式で横にスライドさせ、コンテンツの移り変わりを模しているのである。これを笹プは「PRODUCE101のもう中学生」と表現している。

内容自体も非常によく練られており、「自分の好きなもの」と言いながらもGYAO!のアプリ説明に始まり最後は自分の投票に誘導するという策士っぷりが浮き彫りになるのであるが、途中のGoogle Earthの画面で謎の天動説を唱えはじめ、視聴者の心を置いてけぼりにすることも忘れない。スケッチブック企画はあまり画面に変化がないゆえに一回目以降あまり見ないものとなってしまう可能性が高いコンテンツだと思うが、複数回でも楽しく見られるのが笹岡の作品の特徴だ。

ちなみにこの際の服装も私がこよなく愛する白黒シャツ(笹シャツ)なのであるが、ゴムストレッチのズボンにシャツインしている笹岡を見られるのはこの動画だけである。笹岡は放送回を重ねるごとにどんどん垢抜けていっているのだが、その朴訥さを求めてついつい定期的に見に行ってしまう愛すべきコンテンツだ。

TikTok 国プに全力愛嬌!

笹岡秀旭 国プに全力愛嬌!

ここまでである意味先進的なプロダクトを生み出してきた笹岡だが、この「全力愛嬌」のコンテンツでは比較的等身大の笹岡が見られる。とは言え一筋縄ではいかない笹岡。なぜか「動物のモノマネで愛嬌」という新ジャンルを生み出しているのである。

「くま!」「いぬ!」「とり!」と3種類の動物のモノマネをする笹岡。笑顔もポージングも可愛らしいのだが、特筆すべきは最後の「とり」のモノマネである。唇の両端を吸い込むあの形、それ自体は誰しもやったことがあるとは思うが、いまここでやってみてくださいと言われたらどうだろう。意外と会話の中で瞬時に行うのは難しいのではないだろうか。そんな難しいことをやってのけた後、ちょっと視線を下にずらして照れ笑いして、そこは普通の男の子に戻るのである。

ところでこの全力愛嬌、冒頭の挨拶が「こんにちは!SH1の愛嬌担当、ひであきです!」というものなのだが、SH1とはれみふらチャレンジ#2のボーボボボ・ボーボボ形式ランキングに出てきたあのJO1の弟分、SH1である。愛嬌担当ひであきは、恐らくランキング5位のひであきのことだろう。笹岡は前のコンテンツを自分のファンが見てくれていると全幅の信頼を寄せて、挨拶文に盛り込んでいる。全力愛嬌は笹岡から笹プへの特大のファンサービスなのである。

mystaで1pick! #2 お題でお絵かき!自画像選手権

mysta第二弾は自分の自画像を手に練習生が話すスタイルであり、ここでもまた笹岡のマイワールドが炸裂している。今回はフリップ芸はなく珍しくスケッチブック一枚で完結しているのだが、熟練の笹プたちもその理解にしばらく時間がかかる案件となった(まだ消化できてないかもしれない)。それが「ホクロ一周事件」である。

笹岡は口の周りに4つのホクロがあるらしいのだが、「今日メイクさんに一個ホクロを増やしてもらいました。それを(自画像にも)描いてます。なんでかっていうと、4つだとホクロが一周しないんですよ。でもせっかくだから一周したいってことで、1個増やして、無理やりホクロを一周させました。それがこだわったポイントです!バイバイ!」
......君のことは大好きだけど、流石にどうしてメイクさんに頼んでまで一周させたかったのかわからないよ。mysta第二弾は笹プの頭の中を「???」でいっぱいにした珍コンテンツとなった。

またmystaではファンが「ギフト」と呼ばれる有料スタンプを送るシステムを採用している。笹プはこのギフトで笹岡とコールアンドレスポンスを行っているファンダムとして一時話題となった。
笹岡「こんにちは!」笹プ「こんにちは」
笹岡「似てますかね?」笹プ「Good」
笹岡「ホクロを増やしてもらいました」笹プ「おめでとう」
笹岡「無理矢理ホクロを一周させました笑」笹プ「笑!!」
動画が始まるや否や「こんにちは」で埋め尽くされ、ギフトで会話をした練習生は恐らく笹岡1人だろう。

れみふらチャレンジ 練習生オリジナルGIF

現時点で最新の笹岡プロダクトの「練習生オリジナルGIF」。ここでも笹岡はオリジナルな供給を怠らない。先日池﨑理人くんにもらったばかりのあの金縁丸メガネをかけて登場したのである。振り向きざまにくいっと眼鏡を下げて笑い、最後にこちらを指差す笹岡。

私たち笹プはもちろん笹岡が1番、どんなに画面の端にいても笹岡を見つけに行き笹岡の歌が最高だと思っているのだが、世間は優しい笹岡くんとして認識していただいているならまだ良いほうで、興味関心がない方もおられるであろうことは十分承知している。ただし、そんな中でも「メガネ岡秀旭」は明らかに一定数の方には刺さったように思う。これ笹岡くん?笹岡くんのメガネいいじゃん、そんなツイートがたくさん流れてきたのだ。

笹岡はいつも私たちの予想を超えてくる。

昨日始まったポジションバトルでは笹岡属する「さよなら青春」チームは残念ながら後半組となって票数的に不利になるであろうことが予測された。また最後に公開された一部順位発表では、表示された順位の中に笹岡が見当たらなかった。恐らく昨晩は、多くの笹プにとっては応援していて最も辛い夜となったであろう。

しかし本日の未公開シーンで、笹岡属する「さよなら青春」チームが高らかに歌い上げるシーンが一部公開されたのである。笹岡は冒頭で得意の中低音を活かした伸びやかな歌声を聴かせ、リーダーらしく饒舌にカメラに向かって話し、仲間と笑い合っている。「元気にやっているから心配しないで、来週を楽しみにしていて」とでも言っているように。

推しの前では私たちファンはあまりにも無力だ。しかし推しがひとたび姿を見せると、それがどんな姿でも私たちファンを先へ先へと進ませる原動力になる。たった1フレーズ、数十秒の動画でも、宝物のように慈しみ何度も何度も繰り返す。そこからたくさんのイマジネーションを得て、笹岡をテーマにした多くの作品が、今日この瞬間にも生まれている。

笹岡の生み出す供給は、私たちファンへのメッセージだ。何事にも沢山の愛情を持って、一つの企画をとことんまで考え抜き、予想を超えるものを手渡してくれる、彼は真のエンターテイナーだ。どうか彼の人を想う真心が、彼の歌声が、もっと多くの人に伝わりますように。



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