遅ればせながら『フォーチュン・クエスト』完結に寄せて①

2019年に『フォーチュン・クエスト』がシリーズ完結していた。

『フォーチュン・クエスト』といえば、いわゆるライトノベルの走りの代表作。30年続いた異世界異世界ファンタジーの人気小説です。

知らない人のために簡単に説明をしておくと、ファンタジー小説といってもモンスターたちを華麗に倒していくような”カッコイイ”ファンタジーではなく、

キャラクターたちは冒険者としても人間としてもひよっこ。

でも愛すべき魅力がたっぷりの6人と1匹が繰り広げるドタバタファンタジーなのです。

方向音痴のマッパーに、エルフの幼女、不幸なイケメンファイター、トラブルメーカーのシーフ、記憶喪失の農夫、気の優しい巨人、子犬みたいなホワイトドラゴン

こんなパーティの物語、他にどこで読めます?笑

詳しくはこちら


自分の年齢が上がるにつれ一時期離れてしまったものの、

この作品の世界観が大好きで、一時期は寝ても覚めても

「あ〜フォーチュンの世界に一度でいいから行ってみたいなあ」

って何年も胸をときめかせてもらった作品。


主人公のパステルたちと一緒にハラハラドキドキ

笑って、泣いた作品がついに完結・・・・!

これは何か書き残したい。。。


もしかしたら、同じように時を経て読んだ読者さんが

ここに流れ着いて「そうそう、俺も!私も!」と

ジタバタしたい共感を噛みしめる相手になれるかもしれない・・・

と思い、遅ればせながら感想を書いております。

(ちょっと悲しいことに、FQの最終刊についての感想を求め

 ネットの海に潜ったのですが、私的にもっと。。。もっと供給を・・・

 という感じだったので)


『フォーチュン・クエスト』に出会ったのは小学校高学年の時。

『ドラゴンクエスト』も流行っていたのですが、もともと

少女マンガ・小説派だった私はあまり興味なかったものの

友達にすすめられて読んだらすぐはまってしまいました。


何と言ってもイラストの魅力はフォーチュンを語る上で欠かせませんよね。
迎夏生さんの絵は男女ともに好かれる絵なのではないでしょうか。
何より「フォーチュン」という世界観にぴったりでこのコンビネーションは、マリアージュの域だと思います。


フォーチュンの世界に欠かせない、食事シーンやお料理メモの挿絵も

本当に美味しそうで、迎さんほどフォーチュンの世界を理解し

解像度高く拡張し、なおかつ深沢さんをインスパイアできる

イラストレーターさんはいなかったのではないかと思います。
(あと、迎さんは美男美女だけじゃなくて、中年や老人、人外も

魅力的に描くことができる本当に才能溢れる作家さんだと思います!!!)


そして!

フォーチュンの魅力といえば、キャラクター。

これに尽きるわけです。

脇役も魅力的なのですが、特にメインの6人と1匹は

一度読んだことのある人なら、パラレルワールドの友人といっても

差し支えないくらいに親近感を抱いているのではないでしょうか?


文体が主人公パステルの1人称というところも「親近感」を抱かせる

大きな要素になっていたと思いますが、

初版が出された角川スニーカー文庫は

おそらく小〜中学男子をターゲットに想定したレーベルだったと思うのですが

女の子の1人称というのも実験的だなあと思います。

(でも、男キャラが多いので中和されるのかも)


そういうわけで、私から見た6人と1匹のここが魅力!というか

色々言いたい!ところを書いてみたいと思います。

(途中ネタバレも含まれますので、全巻読まれてない方はご注意!)




◇パステル

スニーカー時代は私自身がパステルよりも年下だったせいか

ドジはするけど男の子と肩を並べて冒険に挑んでるカッコイイお姉さん、という感じで見てましたが

電撃文庫になってから、なんだかうじうじしてきて

思春期の頃は自信の持てない自分に重ねて、いじけるパステルを「わかるわかる」とも思えたのですが、

面倒臭い女要素が強くなって、私自身もパステルの年も超えてしまい

共感できないことが多くなってう〜〜ん。。。と思っていたのですが

最終刊を読んで「あ〜、この人の長所はつまるところ『母性』だったんだな」と合点がいきました。


ひょんなことから冒険者になってしまったけど、

そもそも文系女子ですし、結構いいところのお嬢さんなんですよね。

両親が死んでなければ、そのうち普通に誰かと恋愛して結婚して

ルーミイみたいな子供とシロちゃんみたいな犬を可愛がって

毎日お料理・洗濯、その合間に書き物をしてという

(何ならお手伝いさんがついてるかも)

悠々自適な専業主婦(+書き物)生活が似合う子なんです。


つまり、電撃になってから本人が悩んでいるように基本的に

冒険者適性は限りなく低かったものと思われます。

(結果的に、今後小説を書いていく上で実体験があるっているのは強みになるし、いろんな人脈もできて結果オーライでしょうけどね)

弱いながらも自分より小さき者を、パステルなりに健気に守ってきたって

いうのはとっても魅力的ですよね。
(あと、たまに出る主婦的なおケチ発言もw)


あと、フィクションにマジレスするのもどうかと思いつつ

パステルはもうちょっと同性との関係をどうにかしたほうがいいですね。

リタとか、旅先で出会う魅力的な女の子(&向こうから好意的に接してくれる)場合は問題ないのですが

シルバーリーブの女の子たちにパステルだけツンケンされるのは日頃の態度が気が付いてないけど

ヤベーやつなんじゃないかと心配になりました。(新FQ16-17)

まあこういった具合に、主人公を「あんた大丈夫ぅ??」的に

つっこめるところがパステルの魅力かもしれません。


◇クレイ

イケメンで育ちが良くて人格者っていう超超超優良物件です。

家事もやってくれるイケメン。。。(サレブル・・・?)

ちょっと不運なところがたまに傷ですが。

でも、こんな近くにいるパステルが親愛の情は抱いても、惚れないのもなんとなくわかります。

「自信」がまだないのですよね。

男の魅力は何と言っても「自信」ではないでしょうか。

仕事への、自分への。

クレイは最終刊でも、まだちょっと残念なイケメンの域を出ないのですが、10年後とかは相当いい男になっているでしょうね!

マリーナからの矢印が向いてますが、個人的にはマリーナとはないかな〜と思います。(余計なお世話ですが、マリーナは新FQ3で出てきたストロベリーハウスの男みたいな、インテリヤクザとかが合う気がしますね)

クレイはいい男に成長したのちに、王家とも繋がりあるくらいの良家の子女と結婚するんじゃないですかね。何か功績を納めて気に入られて・・・って流れで。

(けど、不運なので妻の実家の厄介ごととか発生しそう・・・w

 王家がらみだとなお面白いなあ。大人になった6人と1匹が

 そのクエストで再集結とか見たいなあ)

※追記:これを書いたときは、「消えたマリーナ」読んでなかったのですが、王家とも繋がりのある良家の子女ってマリーナですね。笑。
(なんだけど、、、クレマリ派の方には申し訳ないのですが、私はあまりピンと来ないのです。。クレイからの矢印を全く感じない。。。というかクレイの女性の好みとか恋愛モチベが想像つかない。なので、周りから勧められて、とかそろそろ歳だし世間体もあるし、とかって感じでお見合い結婚しそうだなと思いました。)

あと、クレイ⇨パステル説もありますが、

私はうっすらあったとしても(年頃の男女が常にそばにいるわけですから)

なんとなくトラップの気持ちを察して、張り合うほどの気持ちはないし

早々に引っ込めたんじゃないかと思います。

あったとしてもごくごく淡い気持ちかなあと。


しかし、これで自信があったらクレイは早々にこのパーティを

抜けて出て行ってるでしょうし、いけすかないエリートキャラになっていたかも??

本当にFQのキャラクターは欠点が最大の魅力です。


◇トラップ

トラップ推しだった女子多いんじゃないでしょうか。

かくいう私もその一人です。


『赤毛のシーフ』って時点で優勝でしょう。

迎さんの絵がまた魅力的で。

すらっとして運動神経が良くて、口は悪いけど根は優しくて

トラブルメーカーだけどいざという時頼りになる。

はい、優勝!笑


ティーンの頃は特にこういう男の子に弱いんです。

かまってちゃん欲が(擬似的に)満たされるんでしょうなあ。

クラスの人気者も大抵このタイプですよね。

先生に軽口たたくんだけどなんか憎めないという。


ただ、新FQに入ってからパステルへのあたりが強くて

「え、そこまで・・・?」って思うところもあったり、

途中読んでない刊のレビューとか見ても「モラハラっぽい」

とも評されているところは気にかかりますが・・・


トラップは無印5-6の『大魔術教団』の時が本当にかっこいいんです。

どんでん返しのプランニングとアクションができるって本当最高。

あと新FQの3。

ああいう悪巧みするクエストは特に光りますね。


トラパスフィルター有りの個人的な意見ですが

(最終刊であれだけ書いてくれたらそう読んでもいいでしょう。)

トラップにとって、パステルって多分、初めから「どタイプ」

だったんだと思います。(本人か自覚できてるかは別にして)


なぜか構いたくなって、からかいたくなって

性格とかイライラするところもあるけど(これはトラップの職業に対するプロフェッショナリズムとパステルのマッパーへのプロ意識の低さが相入れないことに対するイライラと思います。文章にはプロ意識あるんでしょうが)

なぜか気になる、他の男といるとムカつく・・・

って感じだったんじゃないかな。笑。


パーティっていう関係性があるからその気持ちは見ないようにしてたけど

なんとなく、無印7巻くらいから自覚的になってる気がしますね。

(迎さんが察してるのか、8巻の最後の挿絵でクレイがパステルに

 ブーケを渡すシーンでなぜか面白くない顔してるんですよw)


またパステルが鈍感すぎるのも、押すに押せない要因だったのでは。

(あんだけ、最終刊で「俺んとこ来ないか?(CV:綾小路翔)」ってやってる のに、「仲間の親切」としてしか受け取ってないですからね。

不良の純情、さらっと流さないでえええ〜〜)

ちょっと疲れますね。。。


というか、最終巻のラストの描写を見ると、結局パステルはトラップのファッションセンスが

一番引っかかってたのか?(え、そこ・・・^^;?)と思ったり。

もう少し早く大人っぽいファッションにしてたら展開違ったかもね?


FQのキャラクターはみんな好きですが、一番大好きなキャラクターでした。

▼トラップへの餞の曲として



ちょっと長くなったので続きは②で・・・


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