友達が使ってるものを次々奪い取る娘

夫の学生時代の先輩のお家にお邪魔してきた。娘と数日違いの、同じ月齢の女の子がいる。発達段階や背格好、楽しいと思うことや興味など遊び方が似ていて、楽しそうによく遊ぶ。
おもちゃがたくさんあるのも我が家と似ている。でも物自体は少しずつ違うし、もの珍しさもあるのだろう、娘は端から次々に気になったおもちゃで遊ばせてもらった。

遊びながら娘は、お友達が手に取ったおもちゃを次々に奪い取っていく。お友達は気に留めず、取られたら他のもので遊び、子供用椅子を譲り、娘の言動を真似しながら娘の後を嬉しそうについて回る。そんなお友達の様子を見て娘も嬉しそうにしていた。
もちろんこれを見ていて大人として気になるのは、娘がおもちゃを奪い取ることだ。
様子を見つつ、お友達が抵抗した時には仲裁に入って話をしていたが、キリがない。
終盤に夫が言った。「仲良く遊んでるけど、お友達がやさしいんだよな〜。娘の我が強いところ、気になるなぁ。」
私は、少し悲しかった。正確に言えばその瞬間はモヤァっとした感じだ。じわじわと時間をかけて、何を感じたか紐解いていった。

まず、娘の前でそれを言って欲しくないというのが1番だ。2歳とは言え言葉のよく分かる娘が聞けば、ニュアンスは汲み取れる。これからどんどんはっきりと分かるようになる。少し離れたところで他の人に対して親がネガティブなこと言っている、ということを感じとって欲しくなかった。
そしてもう一つが、我が強いのを悪いこととして言っていることだ。私は、我の強さが良くないというのは大人の思い込みだと思う。同時に、友達になんでも貸してあげられるのが優しいというのも、思い込みだと思う。
大人の世界は比較的形がはっきりしていて、私も油断すると杓子定規で子供をはかってしまいそうになる。でもきっと本来は違う。子どもはそれぞれに気質があってそのどれもが強みで、課題もあるが本質はそのままで十分素敵なのだ。
娘は友達のものを取っていく。これが悪いかどうかは、友達がどう思うかによると思う。嫌がるのに無理やり取るのは良くない。でも別にいらないならもらっても全然いい。取る前に使いたいことを伝えられたらもっと円滑に貸してもらえる。上手に立ち回るほど他のものも貸してもらえたり、お互い嬉しい気持ちで遊べて楽しかったりいいことがある。それを少しずつ経験して、積み重ねて、子供の言動は変わっていけばいいと思う。
これを奪えば悲しむだろう、と企んで取るのは意地悪だから絶対ダメだけど、欲しいと思った瞬間手が出てしまうのは悪いところではないのだ。
先に言えないなら後から取ってごめんねと言えばいい。取ってしまうこともあるけど、それに勝るくらい魅力的な遊びを思いつく人であれば友達はついてくる。自分を怖気付かずに出せる娘の我の強さは、娘の強みで、長所だ。

それをすぐに言葉にできなかった自分と、短所であるかのように言った夫が腹立たしかった。

私たちはいつも理想の子供像に子供を近づけようとしてしまう。子どもはいつもそのままで十分素敵なのに。
特性を長所にしてあげられるような関わりを心掛けてできる大人になりたいと、強く思った夜だった。

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