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Finding Water 基本ツール 本文要約
アーティストになるということは、格付けが何番目とか幾ら稼いだかとかではない。樹木のように成熟することだ。樹木は樹液でないとダメということはなく、春の嵐の日にもしっかり立ち続け、もしかして夏が来ないかもと憂えたりしない存在だ。 Rainer Maria Rilke
0-0.はじめに
私(ジュリア・キャメロン)は創造性について何度も文章にしてきた。改めて執筆することで、その必要性を再度発見した。重要度が高く、省略せずにもう一度書くべきと感じる物事もある。私は25年間講義をしてきた。その間、私は生活や人生を豊かにして発展させていくのに常に有効なツールがあるのを発見した。
そのツールは持続的に効果を発するので、何度も説明し直す価値がある。私が提唱する創造性のワークでは、そのツールの多くを毎年使用している。貴方が既にこれらのツールに精通しているならば、この説明を楽しみながら読んで使い方の基本を確認して頂きたい。
もしこのツールに全く新しく触れるのであれば、そこなら得られるものは貴方の人生を盤石にしていくだろう。
この本は12週間かけて取り組むように構成されている。自己探索に繋がる文章と、実践的な課題(原本ではDevining Rods ダウジングに使う棒の意味)が交互に出てくる。
往々にして忙しく困難なことが多い日々の生活に於いて、これらの文章や課題に取り組むことで、実は地下水のように潜んでいる創造性(living water of creativity)を探し当てて噴出させられるようになるだろう。
この本の文章は私自身(ジュリア・キャメロン)が地下水脈を探しあてるために行った日々の行動を辿っている。これから紹介するツールは私の長年のお気に入りで、さらなる霊的成長の道を探し当てるダウジングのように機能する。
0-1.モーニングページ
自分の創造性や霊性を見出すには、まず自分の現在地を把握する必要がある。大いなる創造主は、現在自分のいる場所で確実に繋がることが出来るが、時には見失う。
無意識のうちに自分の人生を導いてきた存在に関連して、まず自分がどこに居てどんな状態なのか、それについて自分がどう感じているかを示してくれるツールが必要になる。
これが正直さ(honesty)の始まりであり、正直さは創造性を高める第一歩だ。
1日間という時間は、私たちはより成長するにも、より衰退するにも充分な時間の長さだ。
その霊的な現在地を見出すのに最も役立つツールはモーニングページと呼ばれている。それは霊的な目覚めの基礎となるものである。
モーニングページは、私たちの”今ココ”の意識を正確に映し出してくれる3ページの記述である。起床してすぐに書くことで、自分の好きなもの好きではないもの、もっと沢山欲しいもの減らしたいもの、望みごとや期間が示される。自分の暗黙の願いは魂の声である。朝一番に魂の声を聴くことで、大いなる創造主と自分を一致させることが出来る。
人間が存在する於けるあらゆる瞬間に於いて、ある者はより成長して、ある者は後退している。人生は常に少し成長するか、すこし死に近づくかのどちらかだ。
モーニングページは理性や理屈などが割り込んでくる前に、目覚めてすぐに書き留める。モーニングページに書いた内容が文章として整ってるとか、肯定的な内容になってるとかは滅多にない。
実際、モーニングページを書き始めてすぐの時期は、一連の不満、心理的ないし肉体的な不快感に関する列挙にしか思えないかも知れない。そのため、私(ジュリア・キャメロン)はモーニングページを「ブレインドレイン(脳の排出)」と呼ぶことがある。
1オンスの行動は、1トンの理論よりも価値がある。
わめいたり泣き言言ったり、愚痴や不平を言ったりする。モーニングページは自分の持っている否定的な要素を拾い上げるのに役に立つ。
モーニングページによって、1日の始まりに自分に立ち込める憤りの雲を見る。何に憤慨しているを具体的に気付く。何が不愉快でやりがいがないかを正確に知る。
モーニングページがなければそのような事を無意識下に押し込めてしまうだろう。何が好きになれない事があっても見える化されてないから、「頑張れ」と自分に言い聞かせたりする。もっと大人になるべきだと自問自答するかも知れない。
瞬間瞬間に気を配り続けるなら、人生そのものに気を配れるだろう。
初めてモーニングページを書いた時に、悪い事ばかりだと驚いてしまうかも知れない。自分のネガティブな感情を認めることで、それらを正当化してるのではと心配するかも知れない。しかしそれは事実とは程遠い。
そこには白黒両方の側面がある。以前はあえて見ようとしなかった不愉快な物事に、正面から向かおうとしている。モーニングページを書いていくにつれて、自分は一方的にやられっぱなしでは無いと気付く。どのように対応するかの選択肢がある。モーニングページを書くとその追加の選択肢が見えてくる。
自分が利用されていること、あるいは自分も加担していると「気付く」かも知れない。事実と向き合うだけで自尊心の大きな変化を経験するかもしれない。
モーニングページはスピチュアルな意味でのカイロプラクターのようなものだ。自分の進むべき道を正してくれる。虐げられても自ら立ち上がる術を学ぶ。より熱心に取り組んでいることをさらに深掘りする。もしかしたら初めてバランスの感覚を体感するかもしれない。より本来の自分自身を取り戻していくのはエキサイティングだ。
独自性とは、これまで誰も言ったことの無い事柄を言うことではなく、自分自身の考えていることをありのままに言うことだ。
モーニングページはシンプルだが奥が深い。書くことを通して神に語りかけると、神は直感として返答してくれる。「静かに囁くような声」をより聞き取りやすくなる。自分の不満について正直に神に伝えることで、神は働きかけられるようになる。ますます自分自身のために前向きな行動をとれるようになる。
モーニングページは心の親友だ。時には自分自身をダメにしている習慣や癖を明らかにしてくれる。例えば、ある日は「昨日飲みすぎた」、別の日に「昨日も泥酔しすぎた」、そしてまた別の日に「ふらふらで動けない」と書いたとする。モーニングページを書いていくと、自分自身に責任ある行動を取るよう促されるような感じになる。
そして以下のように書きたくなるかもしれない。「私は自分の飲酒のあり方について何かするべきだ。」「AA(アルコール依存症から立ち直るための自助グループ)を検討してみよう。きっと出来る。」
モーニングページは私たちをより優雅にしてくれるが、その恵みは極めて具体的だ。すすむべき道を外れると、もやっとした意識を感じて対応する行動をとるようになる。行動しないなら、モーニングページはその行動をとる必要性を示唆し続けるだろう。モーニングページは些細で遅々たるように見えるが、実際には根本を覆すような変化をもたらす。
モーニングページが変化の開始をもたらし、その変化とともに寄り添ってくれる。私たちは冷静に対応出来る。余計なものを削ぎ落とし、共依存関係を弱体化してくれる。
タイプライターは私と詩との深い親密な関係を引き離した。そして手書きしたら再びその親密な関係を取り戻せた。
モーニングページに浮かび上がる事は悪い内容ばかりではない。時には洞察が浮かび上がる。突然明快な突破口が見えてくる。今までいかにして自分をブロックしてきたかが正確に見えてくる。
時には新しいアイデアが降りてくる。「あんな風ではなくこんな風にやってみよう。」モーニングページは全く新しい創造的なプロジェクトを提案することがある。これまでの意識の外にでた流れを楽しませてくれるかも知れない。
モーニングページによって素晴らしい新しいアイデアの流れに触れることが出来れば、同時に流れにのるためのボートも与えてくれるだろう。リスクを取る時も十分な安全性を感じさせてくれるだろう。
ジュリア・キャメロンがモーニングページを書いて15年たった時、突然作詞作曲してみようと思い立った。当時45歳。「次はどうしよう?」モーニングページで尋ねた。「きっと輝く曲を作るだろう」「マーリンに関するミュージカルを作るのは楽しいと思わない?」
思考の周りに座ることは出来ない。記述の周りに座る必要がある。
もし私がもう少し音楽に造詣が深ければ、とっくにやってただろう。私は音楽一家に育ったが自分には音楽性が無かった。ピアノを習ったが6ヶ月しか続かなかった。それでもモーニングページには「輝く曲を作曲するだろう」と出てきた。
案の定、1ヶ月もたたないうちに突然作曲することになった。自分には音楽の才能が無いという思い込みが間違ってるかも知れないと、モーニングページが示唆してくれた。それから10年。3本の長編ミュージカル、童謡アルバム2編を送り出した。
今は文章執筆と同じくらいの頻度で音楽を作っている。遅咲きに音楽の才能は、モーニングページがもたらした果実だ。
その教訓は、人間は皆、自分が思ってるよりも遥かに大きな存在で才能が溢れているかもしれない、ということだ。日々のモーニングページを地道に信頼し続ければ、それらは奇跡的な方法で開かれるかも知れない。
大成功をおさめたブロードウェイの俳優の事例。モーニングページを書き始めるまでは弁護士だった。モーニングページを書いていくにつれて、弁護士の仕事の辛さから抜け出し、演劇のキャリアへと導かれた。
生まれながらの俳優に見えるが、実際には「作られた俳優」である。モーニングページはその「作る」を可能にする。
行動は個性だ。
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