ダイナサツシユ (Family#1-t)

血統 

1979 Dyna Sash 


父 1971 Northern Taste ⁃ CAN
 父父 1961 Northern Dancer ⁃ CAN
 父母 1962 Lady Victoria ⁃ CAN 
母 1966 Royal Sash ⁃ GB
 母父 1951 Princely Gift ⁃ GB
 母母 1957 Sash of Honour ⁃ GB 


Lady Angela 3*4
Nearco 4×4*4
Pharos = Fairway 5×5・5*5

父 Northern Taste ⁃ CAN

そろそろ説明不要なところまでやってきている気もしますが、猫を愛し日本人に愛された御大 Northern Taste[ノーザンテースト]。背は低くて脚も短め、インパクトがありすぎる大きな顔からは想像できない穏やかさ。彼の血を持つ流星の栗毛たちが「似てる」と言われがちなのも仕方ないくらい印象的で全方面からキャラクターが溢れる個性派でした。

カナダで生まれ、アメリカのセリで落札されたのち、フランスの厩舎へ。吉田善哉氏がオーナー名義の競走馬となりました。英国のクラシックレースにも参戦し、競走成績は 20戦5勝2着2回3着3回。強者相手にも善戦してみせる「重賞クラスの常連」的なイメージ(失礼)です。

1976年に日本で種牡馬入りすると、現役時代を遥かに超える堅実性を発揮。頑健で成長力に富む産駒が多く、20世代連続というとんでもないスパンで重賞勝利馬を輩出します。ブルードメアサイアーとしてもリーディングを17年獲得する大車輪。彼なくしては三冠馬オルフェーヴルが出現することもありませんでした。

血統的には Lady Angela 3×2が代名詞。​
Lady Angela は Canterbury Pilgrim 4×4を持っていて、Canterbury Pilgrim は Banter 5×6*5 と名牝のクロスを重ねに重ねて彼へと辿り着いています。

画像6

彼女の四代母 Pretty Polly は、デビューから驚異の15連勝を飾った英牝馬クラシック三冠馬。2歳から5歳まで第一線で走り続け、一流の牡馬相手でも長距離でも戦い抜いて3着以下なしという天下無双の女王でした。

Northern Taste はこの牝系から生まれた母を持ち、世界的な大種牡馬として君臨し今でも大きな影響力を持つ父 Northern Dancer を通じて近い世代でその血を交わらせています。競走馬としては頂点に立てなくとも自身に秘めた配合の力を先々の世代へと色濃く確かに遺伝させた名種牡馬となりました。

やや遡りすぎかもしれませんが、Pretty Polly のお母様 Admiration の血統表を。名牝のクロスが幾重にも連なり(七代まで含めると Banter もたくさんあります)其々が近似な構成で組まれています。

画像5

Northern Taste × Royal Sash

戻りまして本項の主役ダイナサツシユの血統です。この父を持ったならば当然の Lady Angela 、四代目に揃った Nearco 三本が主な取扱説明書。

Canterbury Pilgrim

シンプルに「味付けが濃いよね」で終わらせたいところをめげずに少し掘り進めてみましても Lady Angela における Canterbury Pilgrim クロスはもちろん Chaucer と Swynford 兄弟経由ですから要するに Sylko から通算三回目の恒例行事。やはり先々代でスルーを決め込んだ  Prince Chevalier の希少性が際立っているんだよなあという感想しかないです。

画像5

Gainsborough と Abbots Trace

そして母母 Sash of Honour は Lady Angela 内において Canterbury Pilgrim を含まない位置に鎮座する父父 Gainsborough と母父 Abbots Trace を放置しません。手を抜くという言葉を知らないのか。

画像5

こちら側の関係性から眺めた場合という条件付きではありますが、あれだけ賑やかだった Princely Gift が完全に黙りこくっています。余白って大事。

* その Abbots Trace ですが、血統表の中身はかなりとてもえげつない。
そもそもまず父 Tracery が《St. Simon = Angelica》の全姉弟3×3です。
自身はこれまた全姉弟の《St. Marguerite = St. Honorat》4×3 で仕上げておりまして、父父と母父には《Stockwell = Rataplan》がてんこ盛り。
ついでに《St. Marguerite = St. Honorat》を持つ父父と母母、両者共に彼らの父父である Newminster のクロスを持っています。

画像5

とりあえず Pocahontas と Touchstone ですよね。うん。数えたくない。

Dyna Sash (1979)

早来 社台フアーム
社台レースホース
募集価格総額 1600万円
栗東 田中良平

ダイナサツシユの競走成績は、京都1600のデビュー戦と阪神1400で走った芝で大敗。阪神1800ダートでは4馬身差をつけられ2着。1700と1800の京都ダート戦に切り替えて惜しい2着3着があったところで未勝利時間切れとなりました。ちなみに入着時の全てが不良馬場。泥んこ大好きだったようです。

競走馬としては先頭でゴールを切ることが出来ませんでしたが、直仔は7/10の高確率で中央競馬勝ち上がり。サツカーボーイに留まらず父が異なる息子もなかなかの走りを見せており、娘たちは繁殖牝馬となってから大成功。母としてのポテンシャルを発揮したダイナサツシユの系統は、血を拡げた異父三姉妹のなかでも不動の主軸となります。

濃厚×濃厚な彼女だったからこそ直仔世代だけでなくその先まで強い影響力を持ったのだということは其処此処で活躍馬が生まれている現状からも疑いようがありません。ただしそれは Dictus[デイクタス]との出会いによってもたらされたものでもあります。順番が違った妹のダイナホツトからも結果が出たことを考えれば、Royal Sash と Northern Taste と彼のトライアングルこそが今の牝系を容作ったのだと思えるからです。

Progeny

1984 白老 牝 栗毛 ダイナクローネ
Dyna Krone by Dictus ⁃ FR
社台レースホース
JRA-8[1-1-3-3] 1100.0

1985 白老 牡 栃栗 サツカーボーイ
Soccer Boy by Dictus ⁃ FR
社台レースホース 1300
JRA-11[6-0-2-3] 21993.2

1986 白老 牝 鹿毛 ベルベットサッシュ
Velvet Sash by Dictus ⁃ FR
社台レースホース
JRA-10[1-1-1-7] 917.0

1987 白老 牡 栗毛 タタールプリンス
Tartar Prince by Dictus ⁃ FR
JRA-14[1-2-3-8] 1763.2

1988 白老 牝 栗毛 ゴールデンサッシュ
Golden Sash by Dictus ⁃ FR
JRA-5[0-1-0-4] 310.0

1989 白老 セ 栗毛 ミスターゼット
Mr.Z by Dictus ⁃ FR
未出走

1990 白老 セ 栗毛 パーフェクトゲーム
Perfect Game by Real Shadai ⁃ USA
社台レースホース
JRA-24[4-4-1-15] 6565.9

1991 白老 牡 黒鹿 ハルパストゥム
Harpastum by Real Shadai ⁃ USA
社台レースホース
JRA-6[1-0-2-3] 1318.0

1992 白老 牡 鹿毛 ビークァイエット
Be Quiet by Sunday Silence ⁃ USA
JRA-20[3-3-1-13] NAR-30[6-3-5-16] 7502.3

1993 白老 牡 黒鹿 ウエルカムサンデー
Welcome Sunday by Sunday Silence ⁃ USA
社台レースホース
未出走



いちいち調べながら試行錯誤して書いていることが多いです。 新たに気が付くこともあるので加筆修正はわりとすると思います。 どこまで続けられるかは気力と体力と時間次第です。