劇団6番シード「なまくら刀と瓦版屋の娘」観劇感想

 今回の舞台感想からnoteで書かせて頂きます。

 11/9(土)の13:00と18:00の2公演を観劇しました。劇場は中野にあるテアトルBONBONさんです。丁度3年前のクリスマスに上演された夢麻呂さんが主演の「ロストマンブルース」を若林倫香さん目当てで5公演観劇しに3日間通った以来の劇場です。その後にも隣の劇場の「ポケット」でも観劇したこともあって何度かこの場所にはよく行ってたので、道順も確実に憶えてました。中野駅からレンガ坂を駆けて劇場へ向かうルートが大好きです。冬はライトアップもされてます。

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 今回の主演は6番シードの椎名亜音さんですが、そういえば、その3年前の「ロストマンブルース」で若林倫香さんの「結果的に母親役」として共演されていましたね。確かその時が初共演でしたでしょうか。

 なお、以降の内容はネタバレが多くあります。ご了承願います。

あらすじ

登場人物 ⇒ http://www.6banceed.com/namakura/chara.html 

 日本の江戸時代が舞台の時代劇。街で起こる事件や事象をかわら版で発行する「瓦版屋」の看板娘店主のお話。

 様々な事件を追うのと同時に色んな男から求婚されると、かわら版に取り上げた事件をきっかけに女郎屋の女将から金を巻き上げられようとする店主。襖ひとつ、あっちそっちで起こる出来事が多少の勘違いを交えて物語がドタバタと展開されます。

それからそれから

 で、その襖ひとつの2つの場所で物語が展開されますが、前半看板娘を始点にした内容。で、同じ時系列で起こる、もう一つの場所で起こる展開を後半店主を始点にした内容で展開されます。

 前半部分から襖の向こうで行われている状況をチラ見するような感じで観ることが出来て、その向こう側こっち側勝手な解釈で可笑しさが発生する。多少謎な部分も残しながらこっち側の前半部分を締めて、「同じ時刻の裏側をお見せしましょう」と看板娘の口上と同時に、ステージセットも演者さんが向こう側の奥座敷のセットに変更させて時間を巻き戻して裏側を見せる。

 その裏側を見せることで双方で起こってた全容が解明されて一気に伏線回収&疑問解消するといった内容です。

個人的に

 全体的な内容が良い感じの勘違いがきっかけで可笑しさや笑いが発生して、演者さんの演技も役によってはテンション爆上げ、または数割増しを感じましたので、更に可笑しさが増す。ピンからキリまで笑える要素が多かった内容だなと。

 高嶺の花みたいに担がされてる遊女「結果的に兄」である仮の姿のお侍のほっこりエピソードが出て、しっかりと人情劇にも落とし込めている。事前には100%コメディと聴いていたのでその部分が無いと思ってましたが、いい裏切りを感じて良かったですね。その部分も伏線回収してほっこり出来てて美味いなと。

 ただ、舞台が上演して4日目。私は4日目のお昼で初見でしたが、お客さんの中にも何度かリピートして観ていることもあり、前半部分で笑いがあることで、初見の私にとっては変な疑問や疑念が生じてきて。モヤモヤした感じで観て、スッキリしてピース埋めしたような感覚じゃない後半だったなと思いました。なので、初日の完全に真っ新なカタチで観たかったなと思うのは個人的なちょっとした気持ちです。

 あと2回目の観劇で前半で答え合わせが出来た時点で後半が若干ピース合わせの部分で退屈でしたというのは事実で。その退屈さをしのげたのは赤ふんどし三兄弟ゴリゴリの金ふんどしの皆様始めの全力コメディ部分かなと思います。

 そこのモヤモヤ部分を抱えつつ、だったなと思いますが、コメディは全力あって、私も全力で楽しめたのはそれもまた事実でございます。

 最後の最後のシーンでお紙が「誰と結婚する」というシーンは軽く流した感じで、なんかこの先にシリーズ化を感じてしまったのは私だけでしょうか。若干の設定を継承したり、逆にシチュエーションや仕掛けを全面転換したり、新しい事件を取り上げて椎名亜音さん主役「瓦版屋お紙シリーズ」みたいな感じで続けて別のお話が生まれそうな予感と個人的妄想を展開しちゃってる私です。(笑)

 ここから先は個人的に印象に残った演者さんのお話です。全員ピックアップ出来ていませんが、ご了承ください。皆様リスペクトです。

舞川みやこさん(楚々 役)

 実は初見の上演終了まで舞川みやこさんと思っていませんでした。(笑)

 子供っぽい役柄と舞川さんの今まで舞台観劇した役柄と結びつけることが出来なくて、全然吹っ切れすぎて演技されているなと感じられました。世間でのインフルエンサーとしての女郎の楚々の外見と、子供っぽさの本名・お妙。落差がすごかったですね。ふんどし見てのじわじわ来る「いやあああああ」の嫌悪感の叫び方がめっちゃ気に入ってます。(笑)

服部美香さん(お芳 役)

 中盤での親子喧嘩のエスカレートの勘違い辺りの演技というか、顔芸祭りがめちゃくちゃ凄くてお気に入りです私。あの驚き顔の連続スローモーションみたいなのからの、義次の足に至る、心の声が漏れていない慌てっぷりがめちゃくちゃ良くて。もう最高でした。あの流れ好き。

 楚々が将軍(という名のエロ町奉行ハゲちゃびん)のスキンシップ危機に耐えかねて、お芳がその代わりをするとこは驚きでしたし、巧く白粉をつけて酒で紅を塗って対応したのはめちゃくちゃ面白くて。

 ちょい役な感じを受ける町娘役と思いきや、ストーリーの重要な軸となっているのが面白くて最終的には遊女にスカウトされる。面白い役柄だなと思いました。個人的にすべてのキャストさんの中でMVPです。

佐藤修幸さん(新元 役)

 命と金、というか命の瀬戸際に立たされる慌てっぷりが最高で。主役は椎名亜音さん演じるお紙ですが、もう一人の主役として個人的には感じて見てました。とぼけ方やウソの付き方で何とか乗り切ろう乗り切ろうというのが可笑しくて。

 かといって、用心棒の刀が先が錆びた「なまくら刀」と知って立場逆転した様がめちゃくちゃ面白くて。楽天っぷりというか悪いとこ見えてますというか。色んな表情が見れて凄く面白い演技でした。

最後に若林倫香さん

 若林倫香さんお目当てでの観劇でしたので、最後にちょっと長めで書かせて頂きます。今回、若林さん自身が十八番のコメディということでしたが、面白くて楽しいのはもちろん、更に演技として幅が出たんじゃないかなという吹っ切れ方をされてたなと思いました。今回の役柄は町娘の「お玉」という役柄で、何故か主人公のお紙に求婚する材木屋の「寸止」の元カノという設定。幾らか経験してるわよと言う感じですね。

 特に今回の女性陣の演技っていつもいろんな場所で見る演技よりもテンションが高く演技されていたように感じでして、若林さんも更にギアをひとつ上げたようなコメディの演技。表情がヤバすぎるし、動きがハンパないと思っちゃって感じちゃって。ここ最近は声優さんとして活動のスキルとして声色を変えたりの演技もされていますが、どちらかと言えば地に近い声で動作所作でキャラを作り上げてたような気がします。いや、あのキャラの声色も変えていたのかも。あまり最近私の方から演技の取り組み方とか面会で聴かないので想像ですが。

 ホント純粋に見ていて色んなキャラを作り上げてるし、毎回毎回の公演で纏いあげているし、演技する人としてのスキルも上げているんだなと感じまくってます。

 若林倫香さんはホントに面白い。伸びしろがどこまであるんだろう。底がないと思う。毎回の舞台を観て役を感じるのが毎回楽しい。今はそういう部分でファンとして楽しんでます。演技者として最初から見守ってますし、今後も見守りたいです。

 ともあれここ最近は今年から本格的に活動を始めた声優さんとしてのお仕事もありますので、なかなか舞台出演に至ることが無くて。去年から客演として出演の場を与えて頂いている劇団6番シードさんや、宇田川美樹さんにはホントに感謝だなと思ってます。隅っこの腐れファンがしゃあしゃあと言うことじゃないですが、2015年からの舞台活動の続きとして繋がる場所を与えて頂けてるというのがホントに嬉しく感じまくってます。

 声優の活動も含めて、舞台での演技活動も今後も楽しみにしてます。あたしはただ劇場に行って観て成長してるな~。面白いな~。楽しいな~。嬉しいな~。愛しいな~。と思うだけです。今年は12月に6番シードさん以外での舞台出演がありますが、2020年の舞台出演もめちゃくちゃ期待したいところです。

ということで

 舞台の感想ここまでになります。最後まで読んで頂いてありがとうございました。文章の方いかがでしたでしょうか。こんな感じで今後noteで舞台の観劇感想書きます。