風の又三郎

風の又三郎
三度笠を被ってる
御辞儀深々とマント翻している

風の又三郎
水たまり飛び越して
見据えたわびしさを人知れずに悔いている

また会える日まで
きっと私は待つでしょう
愛ではない恋でもない
つむじ風に巻かれて消えなさい

風の又三郎
シクラメンの香りがね
好きだと聞きました
真偽のほどは定かでない

何にも無かったの
隔たりなんて元々ね
自ら築いていた
塀も壁も乗り越え着地した

風の又三郎
見比べんのはよしなって
諭してくれたのは
いつかの夕暮れ時でした

また会える日まで
きっと私は厚化粧
愛ではない恋でもない
この感情に名前などはない

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