楽曲解説「brain dirt」

世を乱した。
そんな罪垢を抱えた。

自分にはないウサギの耳を与えられて、
自分じゃなくなるまで、
自分じゃない役柄、をやってのことだ。

与えた夢は嘘に変わった。
人々は離れた。
石を投げるように、責苦を受けた。

咎人として扱われたが、
言い訳が出来なかった。

言い訳があった。

人が良すぎたんだ、
と、守ろうとしてくれた人たちは言った。
認めたくなかった。

悪ぶりたかった。
それが一番弱かった、俺の欠落。

救いたい意志、
そうすることで救われたかった意志、
この二つは、
今でも間違いなく、当時の自身に認めている。

ただ、
稚拙にすぎた。

救えた人がいた。
少なからずいた。
それもいまだに恩恵がある。
ありがたいことだ。

俺は、弱さを振り回していた。
近年、言われた言葉だ。

真摯に受け止めるのに、
すごい時間がかかってしまった。

正気を保っていたのは、
大学一年くらいまでだった。

フレネミーって言葉があるけど、
当時そんな概念は理解されてなくて。

誰が信じるに足りるのか、
距離感をどう取ればいいのか、
愛の享け方、はたまたいなし方とは、

そういうことについて、
理解するツールさえ見当たらなかった。

ネット黎明期、
ひたすらに考えて、
指標を作りたかった。

しっかりやれれば、
確かに出来たって思っていた。

ただね、
振り返ると、
無謀の極致だった。

突出した猪武者が、
敢えなく大勢に囲まれた。
それが、いま読み取れる事実だろう。

そういう意味でも、
歴史の分岐点で、世を乱したんだと思う。

人々は、
俺の中の歪を、
醜いものとして打ち据えた。

生きたかった。
活きたかった。
発病した。

世を乱した、
双方向についてだ。
仲間を詰り、
仲間に売られた。

敗軍の将、とは、
そういうものだと知るのは、
それから20年の後だ。

以下、歌詞になる。


青き欲
拙さばかりの過去
飽く程に
重ねた愚かな言質

勇壮さを履き違える
繰り返す焦燥の日
愚鈍なまでの振舞い
道行きの至らなさを識る

藍出でる
色を備えたかった
荒ぶるは
想像を放棄した業

地獄にて修羅となる
斯様にも呑まれるか
然りとて演じ続ければ
幕が降りるは舞台なりと

最早我が身など
解けてしまわんばかりの

刹那

総てを
知りうる
赦し

包まれた慈愛
蔑みの声は消え
ぬくもりが蘇る
心象が晴れてゆく

脳を洗う
奴がいたんだ
大層な振る舞いに怒気を焼べた

罪垢を嘆いた


フレネミー、にまた触れるけど、
俺というバカに鋭利なハサミを与えた人が、
幾人かいた。

おかげで随分刹那的な人生をやった。
生きているのが不思議だ。

やり直しは、
仏さんを拝んでやった。
この歌詞には、夢に見たシーンが含まれる。

発心、という仏教用語がある。
何のために行動をするかの動機付け、
みたいな意味で捉えている。

救いたいし、
救われたかった。
方法を間違えた。

長年わからなかった、
失敗の理由が、
確かに独善性に依る、と理解できた。

大きな夢は、
夢と呼んでいたものは、
雑に願われた大欲だったんだ。

人類史で出来たことがない願いを、
抱いて、流布した。

俺にある罪垢、
世を乱したものごと、は、
それに尽きるんだ。

最近引いたおみくじを貼っておわる。

仏法も世法も理解せずに、
自分と、仲間の弱さを振り回していた。

悲しかったんだ。
人並みの人生が欲しかった。
それだけが理由だった。

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