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気合いで衣装を作った話

注意
この記事では筆者が初めて衣装を作る話をしていますが、服飾を学んでいる方やプロの方に絶対怒られる独自のやり方で作っています。怒らないでください。





私は「Insert Your Answers」という大喜利会をからすみうどんさんと共催で行っている。(主にからすみさんに全部やってもらっている)

そこでは各回ごとに、何かしらのゲームをテーマにして企画内容を決めているのだが、世界観を作るという意味で我々主催もそのキャラの衣装を着るようにしている。

第2回も某ゲームの某シリーズの某双子姉妹で併せをしようとなったのだが、
なんせコスプレ衣装って海外からの発送が多いので、注文してから届くのに時間がかかる。(キャラによる。人気コンテンツは在庫も多く、すぐに届いたりする)

幸い、からすみさんが着るキャラの衣装はどうにか開催日までに到着が間に合うのだが、私が欲しい衣装は間に合うものが見つからず。

「でも、せっかくだから着たいですよね〜」という話をからすみさんとしながらインターネットの海をかきわけて色んなサイトを探すも、最短で届く商品は全て開催日を過ぎた日程のものしかなかった。
「ご相談いただければ早急な配送承ります」と書いていたサイトがあったので、なんとか早めに届けてもらえないかと無理を承知でお願いしたが、それは叶わなかった。
国慶節が重なってしまっていたからである。

国慶節…中国の建国記念日。この日は「黄金週間」とも呼ばれる1週間の長期休暇の始まりであり、多くの中国人が旅行や観光を楽しむ時期でもある。
(引用元:https://jp.trip.com/hot/articles/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E3%81%AE%E7%A5%9D%E6%97%A5.html)

困った。
「諦めればいいのでは?」という意見も聞こえてきそうだが、世界観にこだわりたいという気持ちは捨てきれなかった。
そんな時、この考えが浮かんだ。

服が無いなら作ればいいじゃない。


今回の衣装はかなりシンプルなデザインなので、中の白いトップスとスカートは既製品で代用できる。上に羽織っている緑の服だけなら、なんとか構造を理解すれば作れるのではないか。

からすみさんに伝えた
かなり無謀な判断に驚くからすみさん


私は昔、好きなキャラの公式ぬいぐるみが可愛くなくて気に入らないという理由で、見よう見まねで型紙を作り、自分で自分好みのぬいを作成したことがある。さらにはそれに着せる衣装もいくらか作っていた。狂っていた。
でもだからこそ布で何かを作成することに抵抗はなかった。

まあ、今回もいけるだろう!

無謀な決断は早く、やる気だけはある私。そうと決まれば早速制作開始だ。
この時、会当日まで残り1週間。
刻々と迫る時間を横目で見ながら、私は衣装作りを始めたのだった。
 


型紙作り編

早速、衣装作りスタートということで、私は布を買う前に型紙を作ることにした。

私が探す限り、今回の衣装の型紙など存在しなかったので、これも自分で作ることにした。
とは言っても服の知識が無い私がさすがに1からは作れないため、似た形のものから加工することにした。

使用させていただいたのは、ロングコートの型紙。⬇
【型紙・作り方】簡単ロングコート / https://yansewing.com/2018/02/blog-post_9-2.html/

サイト主の方の身長も私と大体同じくらいなので有難かった。

これまた怒られそうなことをするのだが、型紙用の紙を用意するのがめんどくさかった私は新聞紙を利用した。広げた新聞紙をテープで貼り合わせて、大きな紙にする。

そこにロングコートの型紙を書いていき、ジョキジョキ切り取って服のようにテープで貼り合わせる。その状態で一度自分で着てみて、丈の長さや体のフィット感を調整した。また、衣装デザインを観察し、それに合わせた加工をした。

実際のもの。左右で長さを試してみて、画面左側の形を採用した。



材料購入編

調整に調整を重ねてやっと納得のいく形が出来たので、次に布を買いに行った。ユザワヤで参考程度に布を見ることは何度かあったが、まさか衣装を作りに買いに行くことになるとは思ってもいなかった。この日、初めてユザワヤの会員に入会した。

せっかくなので布にも拘りたい。布を一つ一つ触ってみて、質感や厚みなどを比較する。この生地が良いと思っても欲しい色味がなくて惜しい思いをするところもあった。

公式のイラストと比較しながら1番近いと思う色味の布を選んだ。あらかじめ型紙を作ったおかげで必要な長さは把握出来ていたのだが、私のことだから予想出来ない失敗をしでかすことを考慮して必要分の2倍の量を購入した。

ユザワヤの袋に入れられた、これから私の手により服となる布たちはずっしりと重く(2倍買ってるからそりゃそう)、その重みすらもちょっとだけ嬉しくなるくらい制作にワクワクしながら店を出た。

この後、絶望を与えられることも知らずに。



裁縫編

帰宅した私は、早速布を広げ型紙にそってチャコペンで型取り、布を裁断した。ジャキジャキと裁ちバサミで切られた布の端はどんどんほつれてしまうので、ほつれ止め液をべしゃべしゃと塗りたくった。

全てのパーツの裁断が終わったら、今度は仮縫いをする。本格的に塗ってしまう前に、本当に身体にサイズに合うのか、長さは大丈夫かなどの確認を行う。トルソーはもちろん持っていないので、縫っては自分で着て確認をし、縫っては着て、縫っては着て……の繰り返し。


仮縫い


大体の調整も終わり、形も素人ながら理想的になった。ここまできたら後はミシンでダダダーッと縫うだけだ。

確かミシンは物置部屋にあるはず。いつも母がここから取り出していた。

のだが。

ない。
記憶を頼りに探すも、見当たらない。

きっとどこか別の場所にしまったのだろう、と思って母に尋ねた。

 「ねえ、ミシンってどこにある?」
「……ミシン?
ああ、もう古いし使わないから捨てたけど」 


「捨て…?????」


絶望の音がした。
ミシンを動かしていた昔の母の記憶しかなかったので、あるだろうという思い込みをしていたのだが、いつの間にか捨てられていた。

手縫いコース決定。
会は残り4日を迫っていた。

「4日あるんだからいけるやろ」
と思ったそこの貴方!

残り4日はすべて平日、さらには衣装以外にも作らなければならないものはそれなりにあったので(これは自己責任)わりと時間が無かったのである。

どうして作るなんて決断したんだ……! 
過去の自分を憎み、唇を噛み締めてももう遅い。
今から衣装購入したって到底間に合わない。


もうやるっきゃない!


そう自分を奮い立たせ、私は縫い針に糸を通した。


私は縫った。
来る日も来る日も縫った。
夜中は道場を行いながら縫った。


ちくちく

時には裏表間違えて縫い付けて、泣く泣くやり直した時もあった。
「ミシンがあったら秒なのに」という雑念は捨てた。

縫い合わせの部分は内側に隠れて見えないのでいいのだが、布の端は縫うと表面に見えてしまい、私の雑な縫い跡が目立ってしまう。そのため「裁ほう上手」(布用の接着剤)で処理をした。
普通にくっつけても充分効果はあるが、接着力を強化するためにその上からアイロンをかける。裁ほう上手がジュウウウと蒸発する音が響いた。


ぺたぺたジュウウ

縫い終わったのは会前日だった。


装飾編

形になってきたら、今度は細かい装飾部分の作成に取り掛かった。今回の衣装は胸元から腹部に掛けてスニーカーの靴紐のような形で紐が通されている。
では、それと同じように作っていけば良い。というわけで私は服に穴を開け、ハトメを付けて紐を通すことにした。(ハトメ…ひもなどを通す穴の補強やアクセントに使うもの)
本来ハトメの穴はハンマーと専用の道具を使って釘打ちの要領で穴を開ける。
しかし、穴を10個程度、しかも今回開けるためだけにこれほど大掛かりな道具を用意するのはちょっと気が引けてしまった。 (値段もあまり可愛くなかった)

ので、

もうカッターを使って気合いで穴を開けた。

カリカリ…

穴が小さすぎても通らないが、大きすぎるとハトメが外れてしまうので少しずつ少しずつ穴を開けてギリギリを狙った。
穴が開けられたらそこにハトメパンチを使ってガシガシ留めていく。

ガシガシ


無事に全て付けることができ、そこに紐を通した。カチューシャと腰巻も作成した。(もうこれはほぼ布を縫い合わせただけなので省略)





そしてついに、

衣装が完成した。

ふと窓を見たらカーテンから光が差し込んでいて、外は明るくなっていた。

無事に当日を迎えられた。よかったね。

中の白いトップスとスカートは公式の衣装に似たものを探して購入した。

理想はもっと腰周りをキュッとさせてスカート部分を広げさせたかったのだが、これが限界だった。仕方なし。


衣装自体は義務ではないので別にやらなくてもよかったことかもしれないが、会のこだわりを捨てずに出来たのは良かったなと自己満足している。(ただ、これに時間を費やして他の作業が遅れてしまったので、からすみさんにはご迷惑をおかけしていた。申し訳ない…)

また、初めて衣装作りに挑戦してみて、自分もやれば出来るのだと少し自信がついた。人間気合いでやれば、案外なんでも出来るのかもしれない。

もし衣装がまた見つからないことがあったら制作をしてみたいと思う。
その時にはミシンを購入しておきたいけれど。




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