今さら、2018年面白かった本


もう年明けて1ヶ月たつけど、今さら。
2018年読んで面白かった本を挙げてみる。
全部で7冊。リンクつけるの面倒だったので興味ある方は検索してみて下さい。


■ファクトフルネス / ハンス・ロスリング

世界の変化をデータで読み解く本。この一年で読んだ中では一番良かった。
「暗い世の中だと言う人も多いけど、データで見ると世界めっちゃ良くなってるよ!」
という激アツなメッセージをビシバシに感じる。

格差社会だ!
→極度の貧困はこの20年で半減。これは人類の歴史上最も早い速度での改善。(相対値としての格差問題はあるが、絶対値としての貧困は改善してる)

環境破壊で自然災害が多発!
→自然災害による死亡率は100年前の6%になった。自然災害の増減よりも、世界全体が豊かになりお金のかかる防災対策を実行できるようになったことで「自然と調和した生活を過ごし死ぬ人」が激減。

テロや内戦の多い不穏な世の中だ!
→超大国の間での戦争は起こらなくなった。紛争の数、死者数は過去最低を更新しており今が最も平和な時代。(ちなみにテロの死亡率は全死亡数の0.05%で死因としては酔っ払いに殺される1/50。)

などなど膝を打つようなデータが次々と出てくる。
そして「悪いことが存在する」と「良くなっている」は両立するということが繰り替えし主張される。
いやほんとそうですよ。
胸を痛めるような理不尽や暴力は世界中に多く存在するんだけど、それでも人類は前に進んでいってるよなと。

自分自身も失われた20年 改め 失われた30年=人生という年代なので散々暗い話は聞いてきたんだけど、そういう話聞くたびに「いやいやどう考えても絶対今が一番便利で快適で最高だろ!」と思っていた。

なんせ民主主義や人権という概念から、日々の生活を支えるテクノロジーまで「あって当たり前」になるまで先人が勝ち取ってきた。その世界の上で生きてるのが2019年の我々である。
そんなことを感じさせてくれる素晴らしい本。

圧倒的人間賛歌!!


■物語シンガポールの歴史 / 岩崎育夫

この本が面白いというよりは、シンガポール自体が面白すぎ。

・200年前は人口150人のほぼ無人地域。イギリスに支配されて歴史スタート!

・イギリスから独立後はマレーシアの州になるも、マレーシア中央政府から突如見離され50年前に泣く泣く独立国家に……(比喩ではなくリークアンユー初代首相は本当に記者会見で泣いた)

・水もエネルギー資源も何もない弱小国家過ぎたので、イデオロギーとかどうでも良い!生き残るためには経済発展が全て!という超アナーキー路線を突き進む。

・国家運営は一言で言うと「エリートによる独裁」。全て経済合理性で判断するし、いちいち利害調整とかやっていると生き残れないので実質一党独裁。逆らうやつは許さないかわりに、経済は絶対発展させる。

・エリート選抜の試験は小学校から連続し、敗者復活戦はない。これはリークアンユーの「人間は才能ある者とない者に分かれ、成績の悪いものにはこれ以上の教育は無駄。」という哲学による。強烈すぎだろ笑。

・国民はそんな政府に不満をもちつつ圧倒的実行力と実績は評価しており、選挙すると与党が圧勝。

かつて社会主義が壮大な社会実験であった(そして失敗した)ように、シンガポールはリークアンユーがたった数十年でゼロから人工的に国家を創り上げた社会実験のように見える。
そしてそれは今のところ成功している。
基本的には時系列で歴史を書いていっている本なのに面白いのは、シンガポールの歴史と特異性であり、このリークアンユーという一傑の圧倒的キャラ立ちぶりによるものだ。

歴史以外で個人的に面白かった指摘が二つあったので最後におまけでメモ。
1.シンガポールには「シンガポール文化」と呼ばれるものがあまりない。文化は余白や無駄(あるいは退廃)から生まれるが、超合理主義国家なので余白ゼロすぎた。
2.普通は社会が先にあって国家が生まれる(国ができる前からそのエリアに人々と暮らしは存在し後付けで国境が生まれる)のだけど、シンガポールは国家が先に生まれ社会を後から創った。これはめちゃくちゃ珍しいし成功しているのがすごい。


■世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事 / 津川友介

いわゆる健康本。
以下の点に同意できる人にとっては有益な本だろう。

・大多数の人にとっては「至高の身体」を手に入れることではなく「健康が人生のボトルネックにならない」ことが大事。平たく言うとそこそこ健康なら構わない。
・大多数の人は医学的な判断をする専門知識はない。いくらでも説得力ありそうな「最新の研究」とやらはあるがプロでも判断は分かれる。よって医学的ではなく疫学的(統計)に正しそうなものを選ぶ方が正解に近づく。
・大多数の人はあまり自分に厳しくない。複雑なことは出来ない。

先に言っておくと、この本はマジで驚きがない。
○○の成分で△△が起こるからXXに効く!!的なメカニズムの話は一切なく、
「統計上はこれを食べると身体に良いです。理由は知りません。」
「統計上はこれを食べると身体に悪いです。理由は知りません。」
という話が延々と続く。

結論も極めて面白みがなくシンプル。
シンプルだからこそ実行できるし、自分も以下をやってる。

実行すべきこと
-白米を玄米に変える
-油はオリーブオイルに統一
-野菜とキノコとフルーツもりもり食う
-出来れば肉より魚食う (ここはあまり実行してない)
-甘いものは控えめに、特に飲料は100%フレッシュジュースでも健康にはマイナス側

実行しないでいいどうでもよいこと
-オーガニックほにゃらら (農薬使用と有機で有意差なし。)
-グルテンフリー (ごく限られた病状を持った人にのみ意味あるが基本不要。)
-セレブに話題のスーパーフード (たった一つの「最新の研究結果」より、数多くの信頼できる研究で実証された確実に効果ある上記打ち手をひたすら実行した方が良い。)


ふとそろそろ食事を気を付けるかと思った時、個別の食事法を見ても医学知識がない限りは「科学的に見える情報」に振り回されて終わるだけだと思ったので、取り敢えず信頼できそうなメタアナリシス(統計的に正しい可能性が高い研究を複数集め、更に答えを導き出す)を用いた本を3冊購入して読んでみた。 *ちなみに読んだのは「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」「ハーバード医学教授が教える健康の正解」「医者が教える食事術」の3冊。

んで、多少のバラつきはあれど結論は3冊ほぼ一緒だったので、100%正しいかは置いておいて方向性としては間違えてないはず。

上述の「実行すべきこと」を見て分かる通り特殊なことは何もしていない。
よって簡単にできるしストレスも特にない。食材の比率だけ変えてあとは普通に食うだけだ。
僕は何事も80点とれりゃだいたい満足でそれ以上労力かけたくないたちなので、健康や食事もあまり突き詰める気はない。
そしてこれは80点に近づける、そんな本だ。


---面倒になってきたので以下足早に---


■マーケティングとは「組織革命」である / 森岡毅

いわゆるビジネス書の中では2018年で一番。
数学マーケティングで有名な森岡さんですが、改めてこの方いかれてますね。
凄まじくドライなんだけど、そのドライな頭を使ってウェットで人間的な世界を攻略していってる感じが個人的にはすごく好き。
文句なく面白い本。

■3億人の中国農民工 食いつめものブルース / 山田泰司

役に立つか置いといて読み物としてスゲーなというタイプの本。
これを読むと上海の肉体労働/サービス業で働いてる人が全員安徽省出身に見えてきてしまう。

■人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まる / ふろむだ

タイトルが全てだけど、その通りという感じ。
ちょっと冗長なところもあるけど読みやすい。
良いとか悪いとか、そうありたいとかありたくないとかじゃなくて、ほんとその通り。

■反応しない練習 / 草薙龍瞬

仏教の思想は非常に合理的なんだなと。
一種のハックですねこれ。

■不格好経営 / 南場智子

大昔読んだけど再読。
なんかわかんないけどこの方の文章が好きだという結論に達した。
基本的にはDeNAの歴史を時系列で書いていってるだけなんだけど、全く自分にベクトルが向いていない感じが読んでいて心地いい。


以上!
積ん読本がなくなってきたので、オススメ本あったら是非ご紹介お願いします。
小説以外は雑食でなんでも読みます。


読んで頂きありがとうございました!