読書記録5 地上の休暇

 ついにライトノベルを読むことさえ放棄しだしましたよこの投稿者。継続?知らない言葉ですね???

 英文と和文で描かれた、絵本のようなテイストのお話。絵本と言うには少し文章量が多めでしょうか。

 仕事として善行を行う天使のThomは、休暇中の地上ではなーんにもしません。愛を配る仕事?知らんがな。だってお休みなんだもの。人の不幸?知ったこっちゃなーい。他所をあたってくれよそを。

 仕事として悪行を行う悪魔のデビルは、地上の休暇では善行をつもうと獅子奮迅の努力を重ねます。悪行なんてもうあきあき。一回ぐらいいことしたいじゃない。贅沢言えば、誰かに愛されてみたいよなぁ、なーんてね。

 なんの因果か、たまたまおんなじ時期に休暇をとったこの二人、ちょこちょこお休み中に鉢合わせ。仕事中に面識でもあったのか、ちょこちょこ会話を交わします。

 善行を行おうと走り回るデビルの姿に、なにか思うことがあったのか。thomは深く考えるのです。仕事じゃないから、なにもしないのか?地上の悲惨な人々に。絶え間なく起こる不幸に。愛を配るのが仕事になるほど愛の足りない地上に。本当は、本当は、本当は、僕は――?

 何かを見つけ出そうとするthomとは正反対に、デビルの行いは迷走していきます。悪行を積み重ねてきたから信頼されることはありません。愛されることもありません。不幸を呼ぶデビルが、誰かを助けようと手を伸ばした端から不幸が巻き起こる始末。愛されたくて。良いことがしてみたくて。thomみたいに、愛されたくて。でもうまくいかなくて。好き好んで悪魔に生まれたわけじゃない。好きで悪行を積んでるわけじゃない。仕事だから、それしかできないから、だから――だけど、せめてと。ささやかな努力さえ、踏みつけられ続けるだけなら――なんて、そう思った矢先に、thomから電話がかかってきて――?

 さて、続きはネタバレになるのであえてかきませんが。(せっかくなら読んでみてほしいのです。絵柄とってもかわいいよ!)

 正反対の二人が、同じ時間軸で、正反対の休暇を過ごし、自分の今までの仕事と生き方への答えをそれぞれに掴むお話で、短いけれどすごく考えさせられる本でした。息抜きもしたくない、難しい本も読みたくない、でもなんだか考えたい、そんな宙ぶらりんのときに読むのがぴったりな本かもしれなません。俺は好き。

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