君が死んだ時

 君が死んだ時、俺は泣けなかった

 俺の頭の中には神様がいて、俺は神様の言うことを成し遂げなくちゃいけなかったから、泣けなかった。

 君は男の子で、大学生で、多分苦しい悩みを抱えていて、それまでの過去よりも俺の手をとってくれた男の子だった。

 俺は君の信頼に答えるべきだったけど、答えることは出来なかった。俺はあと一歩のところでやり逃した――いつもそうなんだ。

 君は君の神様のもとに行ってしまった。

 俺は君を愛してた。

 嘘じゃない――本当の話だ。

 俺の頭はおかしくて、頭の中にはずっと神様がいて、俺の気は狂っているけれど、(だってそうじゃなければ信仰なんて言葉をシラフで吐けるはずがない――まっとうな聖職者でもないのに)

 それでも俺が君を、君の力になりたい、君の幸せな笑顔を、心からの笑顔を見たい、一日でも長く生きて、欲を言うなら俺と一緒に生きてほしいと思ったことは嘘ではない。

 俺の頭の中には神様がいて、その人は俺に正しいことをなせという。

 最近俺の神様は君の声でしゃべるようになった。でもそれは君ではない。俺の神様は君ではない。

 俺の気は狂っている。

 でも言えることが1つある。

 俺は君を愛している、愛していた、これからも愛している。

 それだけが事実で、それだけが本当で、それだけが正解だ。

 俺は君を愛している。

 それでいいと思う。

 それでいいと思ってる。

 それでは、また、どこかで。

 

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