カードを切る順番

 ビジネス環境が大きく変わってきている昨今、まず箱さえつくれば入居者は集まる、という従来方式の考え方で進めてしまうと結果として墓標を産み出してしまう。ついてはこれを逆算で考えて、まずリスクとれる入居者を探して、その後に、その入居者をベースとした箱をつくる。これは、敬愛してやまない、オガールの岡崎さん、AIAの木下さん、の教えである。(あくまで私がそう解釈している、ということ。)

 よくよく従来方式と比較してみると、手持ちの札が変わっているのではなくて、カードを切る順番が変わっているだけなのだけれど、実はその順番というのが死活的に重要なポイントで、そのことによって本質的な意味合いが全く変わってしまうのだから、清々しいというか、そういう気分になる。

 世の中にあふれている企画も昨今においてはすべからく上記の逆算方式を意識すべきだなと昨今、感じることが多い。
 例えば、街づくりの現場でも、突然、目の前に企画をもってやってくる落下傘兵のようなケースがあって、近くに住んでいるからとか、そのイメージに近い活動をしているから、という理由で、プレイヤーとしてやってもらえませんか、みたいな話が出てくることがあるのだけれども、よくよく見てみると、その実行に対してのリスク分担は 100:0 で実行犯側、特に援助は無し。お手伝いはします、みたいなケースである。

 それでも納得して取り組めばそれは主体となりえるだろう。世の中の様々な出来事はアイディアから始まるわけで、そのアイディアが内側からこようが外側から来ようが、共感して自分でリスクをとって動く覚悟ができるかどうか、そして実際に動く、というところが大事なわけである。
 しかし大抵のケースは、何でそんなあなたの思い付きに私が100%のリスクを負って行動しなければならないのか。であればあなた自身がまずリスクをとるべきではないか、となる。特にも企画者本人から、リスクをそもそも取るような、そういう雰囲気を感じない場合。これは気持ち的に共感のしようがない。

 ここから考えるに、まず企画ありき、ではなくて、「まず」は、リスクをとる覚悟がある人が前提としてあって、これを軸に据えた形の企画をたてる。そういう時代に来ているような気がする。
 以前のリソースが余っている状態の世の中であれば、属人的で水平展開できない企画ってどうなの、と言われそうだけれども、こういうご時世、むしろリスク取って動こうとする人の方が稀有で、水平展開など地域事情も考慮すれば夢のまた夢、ではないか。

 であれば、やはりこれは、先んずべきはリスクをとる覚悟がある、実施際に動く人の確保であって、その後に、これを生かす形での企画、という、そういうカードの切り方に変えていくことが、少しでも企画を実現させる確率を上げるのではないかと感じてくる。

 本当にこういう書く環境があると朝からこういう考えをまとめるのに時間を使ってしまって目の前の仕事が進まないわけである。苦笑

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