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MIKUEC2022 フォニイ制作の思い

どうもこんにちは。sAsAKiといいます。
今回はMIKUEC2022でフォニイを制作した経緯とか思いとかを語っていきます。


はじめに

ナニモンなんじゃ、sAsAKiです!!!!!(流行りに乗る)

電気通信大学メディア情報学専攻学部二年、VLL映像班所属のsAsAKiです。
去年からVLLおよびMIKUECに関わってきて、いろいろと積もる話が重なったのでnoteを書きたいと思い作りました。

VLL内部だけでなく、MIKUEC2022を見てくれた観客の皆さんにもこの思いが届けられればいいなぁ…と思います。

(MIKUECとは何か、的な話から始めるとキリがないので「存在は知ってる」「見てくれた」前提で話を進めます)

一日で書いたので文章が拙いですが許して( ;∀;)


2021年の話

千本桜

時はさかのぼり、MIKUEC"2021"の話になります。
一年生だった私はMIKUEC2021で「千本桜」の映像を制作しました。

図1 千本桜の下映像

MIKUEC2021から、モデルが映る所謂「下映像」の演出を凝るというベクトルに映像班が動き、そのムーブメントを作った第一人者という自覚があります。2021リハーサルでこの映像は生えたときは、先輩から「やべーやつ」認定されたと思います。

私がMIKUECに関わり始めてから、「下映像を凝る」というアイデア自体はずっとあって、完全に超パの影響ですけど。「断頭台を"飛び降りて"」で上映像から下映像に飛び降りる演出は、超パ2015のヒビカセから着想を得ました。

図2 超パ2015で上から降ってきたミクさん

千本桜でも色々凝った部分やアイデア面のこだわりもありますが、話してるとキリないんでこの辺で。今回の本筋は「フォニイ」です。


フォニイを知る

MIKUEC2021時点では「フォニイ」という楽曲に対してマジで何も知りませんでした。歌ってみたがサジェストに上がってきてるなぁ…っていう印象しかありませんでした。

この曲、MIKUEC2021の入れてほしい曲アンケートで入ってるのを見て、それで初めて聞いて一目惚れしたんですよね。逆に言えば2021のアンケートが存在しなければ、私がフォニイに出会うことも、2022でフォニイを担当することもなかったと思います。


実は…

実はMIKUEC2022で流したこのフォニイの映像、MIKUEC2021が終わった

「一週間後」

にはほぼ原形ができていたんですよね。

つまりどういうことかというと、MIKUEC2022の制作がガチになってくる本番数カ月前まで、9-10カ月くらいずっと寝かせてたんですよね。

と言っても、最初に狐面をかぶってたり、飛び降りたり、花束上から落としたりという演出はなかったのですが。

図3 (間奏)

下で可不ちゃんが踊ってる根幹的な映像自体は、本当に半年以上ずっと触られずに放置されていました。

まあモデル変わってるし、モーションも一部手打ちで修正したし、全く別の映像と言えば別なんですけど。



演出面の話

こっからは演出の話をします。

"横"映像の存在

今回のMIKUEC2022のフォニイで一つ大きな演出として、横映像(左右の壁に投影される映像)の存在は非常に大きいと思います。

図4 講堂の壁に映る可不ちゃん

横映像というもの自体はMIKUEC2021の時点で存在はしていたのですが、これが生まれたのがMIKUEC2021本番一か月前のリハーサルで初めてできたんですよね。

制作面の話とかぶりますが、私は性質上数カ月前には映像をほぼ完成させるような人間なので、「横映像を使う」という発想自体がありませんでした。でも2022から、この横映像を使った演出を考えようと思い、このような形の演出になりました。

基本的に私の演出は「ふと考えた→やってみる」の工程が秒なので、一つ一つの演出にこだわりがあるかと言われると、「そこまでない」というのが本音です。もちろん破綻がないような映像にするというこだわりはありますけど。

でも後になってから、横映像を使った演出によってこの"MIKUEC2022"というライブに引き込まれるような印象があって良いなと感じました。(他人面)


観客を驚かせること

去年のMIKUEC2021でのフィードバック、私が思ったこととして、

「観客を驚かせること」

が一つあります。

これまでのMIKUECでやってこなかったこと、どんな人が見ても「すごい」と思えるような映像を作りたいと思い、ここ一年間MIKUECへ思いをはせていました。

正直2021の千本桜でも十分に「観客を驚かせること」自体はできていますが、その年のライブはKINGとか大江戸ジュリアナイトでも同じような演出があったので、見ている観客側での新規性はあったと思いますが、制作サイド的には「俺"だけ"の演出」という印象は薄かったです。

図5 千本桜上映像に鎮座するミク

そういった意味で、今回のフォニイでの演出は全部「俺"だけ"の演出」と言い切れるようなものに仕上がったと思います。


下映像を凝る

下映像を凝ることに関しては、部内で私が最初に考案してそのアイデアがいい感じに伝播していったなと感じています。

そもそもマジミラは基本的に黒背景でモデルが踊るだけであって、ミクライブをめぐってる人からするとこういうベクトルの映像は目新しいものを感じると思います。私が最初にミクライブに影響されたのが超パというのもありますが、MIKUECにおいてこんな映像を作ってみるというファーストペンギンに私がなりました。

今回のMIKUEC2022はどの映像も「下映像に演出を入れる」といったことを考慮した制作をしており、Hatsuneで背景に映像が流れたり、エゴでラスターのようなものが出来たり、本当にいろんな曲の下映像および横映像のクオリティが上がったなと感じます。


部内ライブ

2022年6月、部員向けに部内ライブを行いました。そこで「フォニイ」「神っぽいな」「ヒアソビ」「ポジティブダンスタイム」「Prhythmatic」「1000年生きてる」の映像を制作し、部員に披露しました。

図6 神っぽいな
図7 ヒアソビ

フォニイ、神っぽいな、ヒアソビに関してはしっかり凝って、ポジティブダンスタイムとPrhythmaticは黒背景で多少エフェクトをつけた程度でした。

ここで重要なのは「1000年生きてる」の映像での反響でした。

図8-1 1000年生きてる_1
図8-2 1000年生きてる_2(上半分が上映像、下半分が下映像)
図8-3 1000年生きてる_3

作っている当時は前述した凝った3曲と同じくらいは凝ってみましたが、制作期間的には2日とか3日くらいで作ったもので、出す前までは「まあこんな感じかなぁ~」みたいな気持ちでした。

ですが、この映像がまぁ部員に刺さりまして、「『1000年生きてる』すごかったよ!」「『1000年生きてる』の映像優勝」などといった声をいただき、うれしかったわけです。

この映像がほかの凝った映像に比べて部員に刺さった理由として、

上下見境なしにミクさんが飛ぶ

といった映像構成が刺さったんじゃないかなと思います。

部外の人に直接映像を見せるのは色々あれなので無理なんですけど(権利とか怖いし…)、とにかくミクさんが上下いろんなところで踊ったり振付したりしてます。3分11秒という曲の中で、

上 → 下 → 上 → 下 → 両方 → 上 → 下 → 上

という風にめっちゃ動き回ります。

このフィードバックがあって、「モデルを上下左右をめちゃめちゃに移動させる」というアイデアが生まれました。これがなかったら、横映像で踊る可不ちゃんも見れなかったでしょうね。


アイデア

先ほども同じことを言って復唱にはなりますが、私の演出は基本「ふと考えた→やってみる」なので、一つ一つの映像演出に対する思い入れは他の人に比べると劣るんですよね。ですがまあ一つ一つの演出を拾わないわけにもいかないので、ここで紹介させていただきます。

図9 狐面を被る可不

はい、原作再現です。

私は全体を通したモットーとして、「本家を意識する」ことが第一にあって、「フォニイ」という曲が流れたという印象をつけたかったために最初は原作再現と心の中で決めていました。

まあ実際は、「フォニイが流れた」ということよりも「可不が来た」ということ自体で困惑している観客が大半でしょうけどね。

そもそも原作再現をするとなると、下の実在感あるスクリーンでは映せないってなって、となると必然的に上映像になりますね。

でもこの後普通にメロディが始まるしどうするか~って思ったとき、

「そうだ、飛び降りよう」

図10 今にも飛び降りる可不
図11 着地後に飛び散る破片

ってなったんですよね。

去年の千本桜と同じ演出での制作者匂わせも含めて、いい演出になったかなと感じております。

後は、これからやべえ映像が来るぞっていう布石にもなったと思います。

これに関しては最初のMC明けにこの曲を配置してくれたセトリ班の方に感謝しかありませんが、MC明け最初に上から下に飛び降りるという演出で「観客を驚かせる」ことが出来てよかったです。

図12 可不が飛び降りる前の横映像

ここ配信には映っていませんが、可不ちゃんが飛び降りる前の「デンッデンッ」の部分。原作再現でロゴが降ってきてるんですよね。現地で後ろの方に鎮座していた人は気づいたと思います。

実は原作通りの「☔」とか「!」とか「◎」を表示させた後、「MIKUEC2022」ってコマ送りで登場してるんですよね。気づいた人いるのかな…

この後は歌詞が出てくるだけなのでしばらく割愛します。

図13 横映像に移ろうとする可不

「自らを見失なった絵画メイク」の後、今にも横映像に移ろうとする可不ちゃんです。

こういうエフェクトは「フォニイ」という無機質な曲だからこそ許されている演出だとは思いますが、今思うとそもそもこの瞬間をちゃんと見れた人はほぼいないと思います。

私の意図としては、急に横の映像にパッパッと移ったらどこにいるのかわからなくなるため、視線誘導として可不ちゃんを粒子化させたんですけど、あまりに時間が一瞬だったかなという反省点があります。

実際最前列の人は「最初気づかなかった」と言っていたので、気づける演出という意味でももうちょい分かりやすくするべきだなとは感じました。

でも、そもそも上下映像から横映像までって、想像を絶するレベルで離れてるんですよね。

図14 下映像(赤丸,モデルがいた場所)と横映像(黄丸)の距離

そもそも下映像ってかなり横長で、その横に風船と照明、その横に壁掛けのスピーカー(多分?)、そしてようやく横映像が見えます。

後ろの方から見ると横映像が視界に入るので存在に気づけますが、最前列は90°首を横に傾けないと視界に入ってこないので、気づかないのも仕方ないよなぁ…と感じました。

まあ最前列ど真ん中に来るような人は基本"ガチ勢"なので、気づかなくてもどうせ全通するやろの気持ちで考えています。

気づかなかったらそっちが悪いってことで…

図15 (間奏)
図16 ???????

間奏って歌詞が出ないので、単に下映像で可不ちゃんがほぼ黒背景の中踊ってるだけだと、"私的には"物足りないなと感じるんですよね。他の映像はそれでもいいんでしょうけど。これは単純に私の映像制作者としての思いです。

ってなると間奏もまた上映像で原曲再現ってなるんですよね。考えることはイントロと同じです。

図17 お面を持って立ち去る可不

でも本当に原曲PVをまねただけだとマジのパクリになるので、こうやって下映像に戻る最後にこういうカットを入れて、あくまでそこに可不ちゃんが実在しているという"ライブ感"を演出しました。

図18 風船

原曲でもここは風船が映ってるんですよね。なのでとりあえず風船飛ばしました()

この発想自体は先ほど言った10カ月ほど映像を寝かせた前の状態ですでに入れてて、正直この演出を入れたころの記憶は定かではないです。単純に原作再現という意味で入れた(と思います)。

でもこれも偶然なのか、左右の照明のあたりに置かれてる風船とマッチしてるんですよね。

これは完全に偶然で、舞台装飾班が「風船付けたらいい感じじゃね?」で付けたものと、私が「原作再現で風船飛ばすか」という思考が生まれただけです。

偶然の産物でいい感じの演出が生まれてよかったと感じます。

図19 クソでか「パ」
図20 原曲の「パ」

ここのクソでか「パ」は原作再現でもあり、かつおもしろ要素として楽しめていただければと思います。配信を見ていた人はここが協調して映ってたのでより印象深いと思います。

これ原作での「パ」の一文字を再現をしたというのもあるんですけど、可不ちゃんが下にいたままで「パ」を出すってなった時にこれが思い浮かんだんですよね…

図21 パンダヒーローの「パッ」

そうです、みなさんご存じハチ氏(現:米津玄師)のパンダヒーローです。

いま改めてみると「パ」じゃなくて「パッ」だったんですけど、「パ」の「°」の部分が顔にかぶさるっていう演出が、下映像の可不ちゃんの顔のサイズだとやりやすいなぁと感じたために盛り込みました。

実は元ネタはパンダヒーローからでした。フォニイとも今回のセトリともなんも関係ないけど。

図22 DANCETIME(上:上映像, 下:下映像, 左上右上:横映像)

つみきタイムです。原作再現です。

ラスサビに向けて畳みかけるという意味でも、ここでこれまでよりも演出にこだわりを入れて盛り上げを高めようという意図もあります。

図23 ノイズがかかるDANCETIME

原曲PVでも地味に字幕にノイズかかってるんですけど、私が作った映像でも"フレーム単位で"合わせました。

もっと言うとノイズをフレーム単位で合わせたのはここだけじゃなく、

「誰しもが見間違った虚像フェイク」の「虚像フェイク
「パッパラ…謎々」の「謎々」
イントロのロゴがいっぱい出てくるとこ

など、原曲モチーフどころかフレーム単位まで合わせに行ってます。

図24 花束を握る可不
図25 落ちてくる花束としれっと登場する可不

ここの演出好きだった人多いと思います。

実際の話、「よし花束持たせっか」→「花束落ちて下映像に可不登場」が思いつくまで数分もかかってないんですけどね。

私にとってはこういう類の演出そこまで特殊に思っていなくて、部内ライブの1000年生きてるであまり思い入れがなかったのもそうですが、技術的にはそこまで難しいことをしているわけでもないので、私が卒業した後もこんな演出が生えてくれると嬉しいなと感じます。

あと下映像をよく見ると雨が降ってるんですよね。「絶望の雨は止まないわ」って言ってるくらいなのでまあ降らせようかなと。原作再現というよりかは単純に演出として黒背景のみは寂しかったので。

この後のサビに対する緩急という意味でも雨の演出はいい感じに効いたと思います。

図26 ラスサビ
図27 暴れる映像内照明

ラスサビは本当にやりたいことやりました。

ここだけ切り抜くと演出が大変なことになってますね。特に映像内に埋め込んでる疑似照明に関しては本当にごちゃごちゃしてますね。

でも正直これくらいごちゃごちゃしてる方が会場のボルテージも上がると思ったので、いい演出になったと思います。

図28 クソでか「愛」
図29 横映像にもはみ出るクソでか「愛」

とにかく歌詞をでっかく表示させて上映像だったり横映像にはみ出るような字幕を付けて、曲の存在感を観客に強くアピールできたと感じます。

図30 しっとりエンド

こんだけ暴れといて、最後は簡素に。

ほぼ黒背景、字幕も小さく、サビとの緩急と曲調に合わせた演出にしました。

最後「秘密のフォニイ」と歌いきると、可不ちゃんが字幕や背景とともに真っ黒にプツっと消えていきます。

絵画メイク」とか「虚像フェイク」、「造花」などといった偽りのものを上げた後に、可不が背景ともども消滅するという演出も、解釈の余地が残って私的に良かった演出だと思いました。



制作面の話

この辺はVLL外部には出ない話(知りようがない話)ではあるので興味ない人もいるかもしれませんが、私としてはこの作品を作るにあたって非常に大きなファクターとなっているため話をさせてください。

プロセスの違い

そもそもVLL全体として、MIKUECは基本的に

モデル → モーション → 書き出し

という流れ作業の元、映像ができています。特に下映像はこの核となるフローチャートがないとできません。

ここにモデル案を出す人が居たり、モーションキャプチャで撮ったモーションを修正したり、書き出し後に演出を入れたりなど、いろいろとやるべきこと、できる演出はありますが、基本的には別の班が画一化されたフォーマットに沿って映像ができます。

上映像を担当している映像班員に関しては、After Effectsを使ったりAviUtlを使ったり、人によってはBlenderを使ったり、結構人によってやり方は違いますが、下映像の"書き出し"、モデルが踊っている黒背景動画を作るという面では基本同じソフトで作っています(一部違う人もいますが)。

で、各言う私はどうなのかというと、MMDAviUtl基本自分一人で演出考えて創作しています。

はい、一人で演出を考えました

モデルはVLLの友人が作ってたり、照明は照明班に委託していたり、元モーションは配布のものですが、映像案を考えたり、モーションを修正したり、アクセサリーを配置したり、映像を最終的に編集しているのも私です。

他の曲は複数人(多いところは5-6人以上関わってる)で話し合ったうえで演出を考えるのが普通なのですが、私はMMDでの書き出しからAviUtlでの映像編集を一貫して自分一人でやっているため、かなり自分勝手な演出を入れることが出来ました。


一人で創ること

制作自体には私以外にもモデル班や照明班など、もっというとセトリにこの曲を入れ、ここの曲順に入れたセトリ班も関わってきます。その人たちの中で「フォニイ」のセトリとしての演出が初めて完成します。

ですが、演出案を考え、自分がやりたいと思った演出を入れたという意味では「一人で"創った"」とはいえると思います。

一人で"創る"ことによって、自分のペースで創作ができ、いろんなアイデアがわいてくるんですよね。

今年のVLLは部員に対するタスクの降りかかり方が異常だったため、その中で私だけ前もって映像を仕上げることが出来たので良かったと思います。


最後に

MIKUEC2022で新たなことに挑戦し、「観客を驚かせること」を実現できたと思っております。

次はMIKUEC2023をお楽しみに!


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