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ある日突然大腸ガンになってからの徒然日記vol.10


突然のガン告知から大学病院での1回目の手術、その後の抗がん剤治療、さらに自分のガンのまさかの特性。そして現実を突き付けられた会社の対応等、同じ様にガンで頑張ってる人や、同じ様に普段健康であまり自分の身体のメンテナンスをしない方へ少しでも励みや参考になって貰えればと思って素人の大腸ガンサバイバーが書いてます。
月1程度で今までの奮闘日記を残して行こうと思ってますのでよろしくお願いします


《2度目の手術》

2回目の手術へ向けての入院の日。

入院する病棟のナースステーションでの受付の事務員さんもベッドに着いてから入院の案内をしてくれる看護師さんも前回の入院から数ヶ月しか経ってない事もあってみんな見た顔(笑)

まぁ向こうからしたら知った顔の患者でしょうけども(笑)

なので一連の流れは至ってスムーズ。

病室に案内されて一通りの入院時説明を受け終わると、ありがたいことに見覚えのある看護師さんが代るがわる顔を出して明るく歓迎(?)ムードを出してくれました(笑)

入院が金曜日で手術が週明けの月曜日なので、心の準備が出来るのと同時に緊張感もジワリジワリと....

1回目の手術の時と同様、麻酔科の説明を受けたり回診の時に先生から冗談を交えて勇気づけて頂いたりとあっという間に2日間が過ぎてもう手術当日。

8:00に手術室の看護師さんがお迎えに来てくれていざ出陣。

エレベーターホールへ行くと既に嫁が待機しててくれて、病棟の看護師さんから出陣のエール?を受けながらエレベーターで手術室のある3階へ

嫁とは手術室前でお別れして、手術用の帽子を被り説明を受けてから手術室へ案内されると前回の時よりも大きい部屋でちょっと前回よりも緊張感がありました

消化器外科の先生の他に泌尿器科の先生も居て見ていても大掛かりだなぁなんて思ってると麻酔科の先生からの声掛けでまずは背中を丸めて脊髄への麻酔の管を入れて酸素マスクを口に当てられたらもうすぐに意識が飛びました(笑)

覚えてるのは記憶が無くなる前に名前と生年月日を伝え、消化器外科の先生に頑張りましょうって声を掛けられたとこまで....

うーん麻酔恐るべし.....

かと思うと頭の周辺がガヤガヤしてて色んな人の慌ただしい雰囲気を感じ始めた時に

「..........さん。」

「〇〇さん、終わりましたよーお疲れ様でした。」

「いやぁ凄かったよー、よく頑張りました」

って看護師さんが声を掛けてくれながらそのままICUへ移動

『今って何時なんですか?』

「今ね、2時。夜中の2時過ぎだよ」

『え?2時?』

「16時間だよー。大手術(笑)」

事前の説明などでは最低8時間掛かるだろうとは言われてたけど、まさかその倍も掛かるとは.....

この時点でこの病院の今年の手術時間レコードだそうです...まだ夏ですけどね(笑)

こんな時間まで病院で缶詰になっていた嫁がベッド脇まで面会に来てくれて

「看護師さんが手術室から出てきた時に「長かったぁーー」って言ってた」

って笑いながら教えてくれたけど、いやいやそういう貴方も18時間も病院で待機とかお疲れ様でしたですよ。

『ひとまずもう大丈夫だし時間も遅いから帰って寝なよ』

頭もまだボーっとして会話らしい会話も記憶に無い時に出たせめてもの感謝と!労いのつもりで出た言葉だったけど、多分、これだけ待ったのに素っ気ないとか思われただろうな...(笑)

執刀してくれた外科の先生が

「取り切れるだけは全部取りきりました。経過とかは今日はもう遅いのでゆっくり休んで、明日また来ますからその時にお話しますね」

表情と言葉から全力を尽くしてもらえたと。

外科としてやれるだけの事はやりましたって感じられる言葉を頂き感謝しかありませんでした

安心したのか麻酔で18時間も寝てたくせに次に目を開けた時には時計は7:00を回っていました。

《違和感と大洪水》

朝一番で泌尿器科の先生が来て

「ちょっとお腹をエコー撮りますね。昨日からこれだけ点滴入れてるのにオシッコのバッグが全然出てないんだよね」

そうそう、今回の手術で膀胱を削った影響で前立腺やら尿路を取ってしまった事でお腹に穴を開けて直接膀胱から管を通して排尿する膀胱瘻(ぼうこうろう)という形態になったので、排尿されている量が外部のバッグ見るとすぐにわかるんです

「んー....膀胱空っぽだなぁ....排尿される尿自体が無いや...」

「これだけ点滴で水分入れてるんだけどなぁ...少し様子見てまた検査しましょう」

そう言って先生が場を離れていったんですが、自分の中で何か違和感が2つあったんです。

どんな違和感かと言うと、まず1つ目は、これは個人差があって必ずしも全ての点滴経験者の人がそうなのかは分かりませんが、点滴をしていると水分を身体に入れるので当然尿意も来ますし、今までの自分の経験では長時間口から水分を入れなくてもさほど喉の渇きというのも感じないものだったんです

が.....

手術中からICUに来てまでずっと点滴入れっぱなしなのに恐ろしく喉が渇くんです

今まで経験した事の無い、それこそ数日間も水を飲んで無い(そんな経験なんか無いですが)くらいの水を求めたくなる喉の渇き

そして2つ目は自分の手がドラえもんの手みたいにパンパンな浮腫(むく)み...
凄いんです、本当に....針でチョンと刺したらパンッて破裂するんじゃないかってくらいパンパンに浮腫んで膨れ上がってるんです...

けど今は浮腫みよりも喉の渇きを何とかしたくひとまずナースコールを押して看護師さんを呼んで聞いてみる

『凄く喉が渇いてて水飲みたいです』

「お腹手術したばっかりで先生からお口から何かを入れる許可出てないからもう少し我慢してください」

『今までにないくらい点滴してても喉乾いてなんか変なんですけど....』

「辛いと思うけど点滴で水分入れてるから脱水にはならないので我慢してくださいね」

受け答えは凄く優しいんだが.....この違和感自体が伝わってない感じ(汗)

そんなやり取りしてた時にナイスタイミングで外科の先生登場!!!

『先生、先生!!喉乾いたんで水飲みたいんですけどダメですか?』

いやもう飲ませてくれって気持ちが全面に出てたと思うくらいの聞き方してたと思う(笑)

「水かぁ....(そばに居る看護師さんと先生で少しやり取りしてから)少しづつなら良いよ。いっぱいゴクゴクは飲まないでね」

『ありがとうございます(涙)』

「それよりも〇〇さん、浮腫すごいね。なんか破裂しそうなくらい全身パンパンだよ。」

手は自分で見れるので浮腫んでるのはわかったけど、まさか顔含め全身浮腫んでたとは.....

「これ以上浮腫んで皮膚が裂けちゃったり割れちゃったりすると大変だから水分を外に出すお薬の点滴も入れますね」

「それで浮腫みが収まってくれるといいんだけど...尿が出てないから入れてる水分が逃げないで浮腫みになっちゃってると思うんだよね」

そんなやり取りをしている間に看護師さんが小さい紙コップにお水と気を利かせて氷を1つ入れてきてくれて、起き上がれもしないのでストロー挿して口元に持ってきてくれました。

ゴク...ゴク....ゴク.....

ゆっくりとごく普通の水を味わう....

いやぁ生き返った(笑)

何の変哲もないただの水だけど、この時の水はどんな天然水よりも美味しかった(笑)

「お腹痛くなったりしてませんか?」

『大丈夫です』

「最初なんでこれくらいでやめておきましょう。お腹痛くなったりしたらすぐに言ってくださいね」

って飲み切る前に5口くらいで没収....

「痛み止めはどんどん使えるから傷口とか痛くなったら我慢しないですぐに言ってね。また後で様子見に来ますから」

そう言って外科の先生も退室

その後すぐに浮腫みを抑える薬剤も点滴に追加

それからどれくらいだったかな...多分2時間は経っていなかったと思うけど突然寝ている背中側にヒンヤリとした違和感が....

そっと手で探ってみると....

『なんだこれ??ビショビショじゃんか!!なんで?!』

急いでナースコール

「どうしましたかー?」

『背中がビチョビチョなんですけど、なんでですかね??』

「すぐ伺いますー」

看護師さんがすぐに来てくれて、自分の身体を動かしてベッドを確認すると

「あらら、すごいねこれ。服もベッドも水掛けたくらいビショビショだ」

『ごめんなさい。なんでこんなに濡れてるのか自分でもビックリで....』

「謝らないでいいのよー。どうしたんだろうねこれ。ちょっとお着替えとシーツの交換しながらお身体診てみますね」

ガサゴソ...ガサゴソ....グイッグイッ....
ガサガサゴソゴソ....ガサゴソ....ガサゴソ....

なんせ身体には色んな管とか機械のコードとか付いてるんで自分じゃ動かしようも無くただ大人しく身を委ね....

数人の看護師さん掛りで一通り濡れたシーツや服の交換を終えた辺りで

「おしりの秘弁の一部が穴空いてて、そこから全部尿漏れみたいな感じで水分出て来ちゃってるのかも」

初見で上の事言われてもなんの事言っててどんな状況なのかサッパリ分からん

「予防でオムツにして下に漏れないようにしてみますね。とりあえず今先生呼んだから状況診て貰いましょう」

なんだか急に状況がバタバタで自分の身体がどうなっているのか全然分からない....

ただ、少し口から水を飲み、浮腫みを和らげるお薬を入れた影響なのか分からないけど、今まで全く出てなかった膀胱瘻の管に尿のような水分が出てるのが自分でも確認出来て、思わず

『あ、管からオシッコっぽいの出てきてる』

なんてちょっと嬉しくなって声に出ちゃったけど

「でも全然量が足りないのでこれじゃ安心出来ないです」

ってすごく冷静に切り返されてしまいました.....

程なくして外科の先生と泌尿器科の先生が同時に来て、自分の水浸し事件の検証に入りました...

服を脱がされ、メスを入れた部分を確認して一通り確認した後に先生から

「水分入れてるのに膀胱にオシッコ無くておかしいなぁって思ってたんだけど、きっとそうだろうっていう原因がわかりました。」

その後説明を受けたのですが、内容を以下にまとめると

  1. 今回の手術で膀胱の一部を削って腫瘍と一緒に摘出しているため本来袋状になっている膀胱に穴が空いている状況なので尿が貯まらない

  2. 本来肛門のある部分は前回の手術で摘出していて人工肛門になっているが、前回縫い合わせて塞いだ部分から体内の液体が漏れ出た為、今回の手術で形成外科に秘弁を作り直して新しく塞ぎ直したが、その秘弁の一部が接着しきれていないため中からの水分がその部分から出てしまう

  3. 原因は分からないが、手術後から今まで体内の排出するべき水分が上手く出されず、浮腫みという形で身体中の皮膚の下に溜まってしまっていた

  4. 水分を口から入れた事が原因か浮腫み軽減の薬の影響かは不明だが、浮腫んでいた水分が一気に膀胱へ処理され、かつ一部穴の空いた膀胱な為、本来は管から出るべき尿が穴の空いた部分から一部接着しきれていない秘弁の穴を通り外へ漏れ出た

つまりは術後の後遺症で膀胱が塞がるなり秘弁がちゃんとくっつくまで常におもらし状態になる可能性がある為、オムツやパッドを厳重にして対処して様子見ていくとの事...

なんてこった(泣)

膀胱にも穴が空いててさらにおしりの方にも穴が空いてりゃそりゃダダ漏れじゃないのさ.....

今回の手術が無事に終わって、この後遺症がわかった時点ではまだ7月20日。

この手術の後遺症が年内を病院で過ごす事になるほど厄介だなんて思って無かったのになぁ....

                                                                                                        つづく

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