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事件は現場でも起きてるけど会議室でも起きてる話

事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!
-『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間』(1998年)より

もう20年以上も前(!?)のネタをあえて持ち出す令和2度目の年の瀬。皆さまいかがお過ごしでしょうか。東京もすっかり寒くなってきました。

刻一刻と状況が変わる刑事事件の解決を目指す中、時に本部の置かれる会議室と情報にラグが生じ、解像度が鮮明な現場では明らかに正しいと思われる意思決定がなされないことに苛立つシチュエーション。皆さんも一度は経験があるのではないでしょうか。

しかし時に、会議室が様々な事件の舞台になることもあるのです。今日はそんなお話をできればと思います。

こんちには、キャディの笹口と申します。この記事は、CADDi Advent Calendar 2020の18日目にエントリーしています。昨日はOperation Managementの小嶋さんによる、まさかのキャディ要素ゼロのオペレーションマネジメントの叫びでした。よもやよもや。

普段はキャディでプロダクトマネージャーを務めているのですが、今年9月頃から会議体改善のオーナーも兼務しています。このnoteでは、その中で向き合ってきた課題と、実際の取り組み事例を中心にご紹介できたらと思っています。

1. 会議室でも起きた事件

キャディはつい先日創業3年を迎えたばかりのスタートアップです。おかげさまで事業・組織ともに拡大を続けており、社員数は(正社員のみで)間もなく100人の大台を超えようとしています。

よく「ベンチャーの100人の壁」と言われますが、この規模になってくると従来は問題なかったようなことが組織課題として表出してきます…と言われているのは知っていましたが、なんと本当に表出してきました(驚)

キャディが向き合う製造業・モノづくりは大変に奥深いものでして、きちんとしたモノを作りお届けすること自体が生半可では成り立ちませんので、現場ではそれこそ毎日のように何かしらの事件が起きています。

一方の会議室(というか社内)はというと、これまでは現場のそれと比べれば比較的平和だったのですが、最近の組織の急拡大、そしてコロナ禍によるリモートワーク化に伴って、いくつかの課題が見られるように。

具体的には、以下のような課題が見えてきました。

・BizとTechに距離感が出てきた
・組織のカルチャー、スタンスの浸透や一丸感が弱まっているように感じる
・社内の情報にリーチするコストが上がってきた
・これまでオフラインで自然と満たされていたコミュニケーションの不足
etc...

上記全ての課題が会議の見直しで解決するわけでは当然ないので、複数の観点でオーナーが立って改善にあたることになりました。

そして前述のとおり、私は会議体改善オーナーを拝命し、会議の観点から上記課題をどうにかしていくことになったというわけです。

2. スコープの整理

しかしながら、いきなり会議の観点から組織課題を解決しようと思ってもなかなか取っ掛かりがありませんでした。なんとかしたい思いが先行するものの、会議といっても大小様々。誰がどんな関わり方をするかによってその会議に表れる組織課題も異なってくるはずですが、全ての会議に参加して改善というのは物理的に不可能です。

ということで、まずは、自分が動くスコープを定義することにしました。

図

まず整理するために、会議を【定例かアドホックか】【自分以外にふさわしいMTGオーナーがいるかいないか】の2軸で分けました。改善するなら定例の会議体の方が改善インパクトが大きいし、自分以外にふさわしいオーナーがいるならばその人に任せた方が効率的だと思ったからです(”ふさわしい”の定義は曖昧なのですが、定性的にコンテキスト理解度や参加者のメンツなどから決めました)

その結果、まずアドホックの会議体A, Cはスコープ外。加えて、自分以外にふさわしいオーナーがいる会議体Dはスコープには入れるものの、明確にその人にオーナーに立ってもらうところまでをゴールとしました。

あとはB、定例かつオーナー不在の会議体の改善に集中すべし、ということになります。

このセグメントに該当する会議体は2つありました。リーダーミーティング全社ミーティングの2つです。

■ 全社ミーティング → 全社員が集まる週次のミーティング
■ リーダーミーティング → リーダー以上のマネジメント層が全員集まる週次のミーティング

見るからに重い2つが残りました。どちらも関係者が多く、社内で最もコストが高い部類の会議体です。

しかしそれは、裏を返せばより大きな価値を生む可能性があるということなので、改めてまずはこの2つの会議体に焦点を絞って改善していくことに決めました。

(なお、リーダーミーティングについては絶賛改善中のため、このnoteでは全社ミーティングに絞って書きたいと思います。リーダーミーティングの件はいずれまた書ければいいなと)

3. 解くべき課題はなにか

図 (2)

スコープが決まったので、次は解くべき課題を考えます。

コロナ以前の全社ミーティングは、オフィスのイベントスペースに全社員が集まって、ガヤガヤとした雰囲気の中で質問が飛び交う、大変熱量の高い場で、個人的にもみんなの顔が見れるし、好きな会議でした。たまたま隣に座った他部署の人と話すのはいいものです。

しかし今年の3月以降、コロナ禍による全社フルリモート化を受け、全社ミーティングはZOOMによるオンライン開催を余儀なくされました。当時から、これは不可避の変化と捉え、オンラインでも活発な場にすべく様々な施策を打ってきました。(今でも継続している施策もあります)

それでも、少しずつコンテンツは型化に向かい、開始時間も徐々に遅れが目立つように。質問もほとんど上がらなくなり、いつしか全社ミーティングは、マネジメント層からのブロードキャストが中心の、双方向性を欠いた場になっていきました。全社ミーティングは全社員が集まって事業・戦略理解や組織作りを促進するための場なので、双方向性は大変重要です。

よって、今回の取り組みではオンラインコミュニケーションでどのようにして双方向性を生み出すかという課題に向き合うことになります。

4. 全社ミーティングを双方向化せよ

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ということで、ここからはレインボーブリッジを封鎖、ではなく全社ミーティングを双方向化するために打ったいくつかの施策をご紹介していきたいと思います。

4-1. Ask Me Anything

まず始めたのがこちらのコンテンツです。具体的には、対象者を1~3名程度選び、テーマを絞るか何でもありかを決めた上で、ひたすら質問→回答を繰り返すという企画です。

テーマとして事業やプロダクトのHOT TOPICを設定することで全社で理解度を高めることができますし、何でもあり(通称ガチAMA)にすればその人の人となりを深く知る機会になります。まだまだ改善の余地は大きいですが、個人的にも気に入っているコンテンツです。

大人数のオンラインミーティングで双方向性を生み出すためには、質問というアクションが活発になされることが不可欠だと考えています。

これまでも質問すること自体は推奨されていたものの、全社員が集まるオンライン環境、タイムマネジメント起因で質問時間が確保できないなどの事象が重なり、お世辞にも活発とはいえない状況が生まれてしまっていました。これをどうにかして変えたいと思っていました。

Ask Me Anythingは質問ありきのコンテンツなので、回を重ねるごとに質問量が増えてきています。

質問するためのツールも非常に重要で、色々と試した結果、今はsli.doに落ち着いています。元々コロナ以前も使ってはいたのですが、匿名性が保てることや、質問を上げやすいUXがオンラインの場づくりには一層効果を発揮してくれている感覚があります。もし他にいいツールがあれば是非教えてください!

4-2. Demo Day

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続いてはこちら。Demo Dayです。

Demo Dayというと色々な定義があると思いますが、キャディではBiz/Techに限らず、大きな成果を発表する場として定義しています。大体10~15分で発表、5~10分で質疑応答を行います。例えば、Bizからは大きなアライアンス成功事例のシェア、Techからは画像解析技術の進捗報告などがなされます。

まだ組織が小さかった頃なら他部署の情報は筒抜けだったのでわざわざ情報共有の時間を設けずともよかったのですが、今では社員数も増え、組織もそれなりに大きくなってきたことで、他部署がどういった取り組みをしていて、どんな成果が上がっているのかを知る機会を意図的に作ることにDemo Dayの意義があると考えています。またその過程でナレッジが明文化され、資産として蓄積していくことも重要です。

加えて、Ask Me Anythingと同じ要領で質疑の時間を設けることで、コミュニケーションとしての双方向性の獲得にもしっかりと寄与しています。

また、マネジメントだけではなく成果を上げたメンバーにも発表の機会を設けることで、マネジメント⇔メンバーという役割観点での双方向性の創出も同時に狙っていたりします。ここはまだまだマネジメントからの発表が多いので、メンバー各位にも是非頑張って頂きたいところです(圧)

4-3. 月次OKR進捗振り返り

元々ブロードキャスト感の強いアジェンダだった月次のOKR振り返りについても見直しを行いました。

まず枠組みを見直しました。チーム数も増え、1回の全社ミーティングに納めようとすると各チーム数分の持ち時間での発表にならざるを得ず、質疑応答の時間も確保できない状況だったため、前編後編の2回に分けました。

また、発表フォーマットもシンプルに見直して統一したことで、以前よりも余裕のあるスケジュールで振り返りを行うことができるようになり、質疑応答の時間も十分確保できるようになりました。

まだ振り返り会でsli.doを使えていないので、次回はより活性化するのではないかと期待しています。

4-4. 会議録画の促進

キャプチャ

これは全社ミーティングに限った施策ではないのですが、会議録画を集めるページを作り、誰でも会議ログにアクセスできる環境を整えました。

元々キャディには会議を録画する文化はあまりなく、基本は全員がリアルタイムに参加する前提で動いていました。

しかし、リモートの人やオフィスにいる人、子供の面倒を見ながら参加している人、外回りで運転している人、電車で移動しながら聞いている人、会議中に電話対応が必要な人など…コロナ禍では想像以上に参加者の多様化が進んでいました。

また、急速な人員増加によってオンボーディング整備も必要になってきており、過去の重要な会議の録画が残っていることは、入社者へのコンテキスト共有にも効果的です。どうしても会議にリアルタイム参加できなかった人が後でキャッチアップすることもできます。

取り組みの開始当初はしつこく「この会議、録画しましょう!」と声掛けをしたり、録画したデータのアップをリマインドしたりといった草の根活動を行い、すっかり「会議録画おじさん化」していたのですが、おかげさまで声掛けをしなくてもみんな録画、資料、議事録をアップしてくれるようになり、私もただのお兄さんに戻ることができました。ありがとうございます。

会議のOUTPUTは会社にとって貴重な資産なので、今後もキャディの文化として根付くように推進していきたいと思っています。

5. そして現在地

諸々の施策を一通り打ち、1ヵ月ほど全社ミーティングを回してみた11月末頃にアンケートを実施しました。

201125_全社MTG改善経過報告

アンケート回答の結果をみると、私が狙っていた双方向性の醸成は一定進んできたと言えそうです。

201125_全社MTG改善経過報告 (1)

しかし、点数をみてみるとまだまだなようです。回答数は全体の3割ほどですが、改善提案をたくさん頂いている状況。今後さらに社員数も増えていきますし、より一層の改善に努めていきたいと思います。

6. 会議も組織も…永遠のβ版

そもそも、会議に完成はあるのでしょうか。組織には、会社には、あるのでしょうか。

私は、物事とは常に揺れ動くものであり、変化のない状態とは死であると考えています。変わりたくなくても、変わっていると認識していなくても、人も組織も否応なしに変わり続けていくものです。ずっと同じはありえません。

であればこそ、変化は意図的に起こしていくべきです。変化という事象そのものには本来良いも悪いもなく、自分が向かいたい方向が決まった瞬間に、それを成長と呼ぶか退化と呼ぶかが決まるだけ。変化とは相対的なものです。

そしてキャディは、今後も大きな変化を内外に意図的に起こしていきます。きっとずっと起こし続けていくと思います。

もし、そんなキャディを一緒に変えていってくれる方がいればとてもうれしいです。是非気軽にDMでご連絡ください。

それでは最後に、和久さんの名言をお借りして締めたいと思います。最後までお読み頂き、ありがとうございました!

あきらめるな。願いはきっと実現するから。
まぁ、これからどういう世の中になるのかわからねぇけどよ。
自分の信念貫いて、弱い者の支えになってやれ。
なんてな。





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