「フロムB」企画書
〇キャッチコピー
働きたくない。マジで
〇あらすじ
「働きたくない人募集!!」そんな奇妙な文字が躍る謎の求人情報誌「フロムB」。無職の男性、人戸高史(ひとどたかし)はある日偶然その雑誌を手に入れ働きたくない一心から応募してしまう。そこで紹介されるのは奇妙なアルバイトばかり。軍手の片方を道に落とす。平日の昼間から中年のおじさんと公園で紙相撲の対戦をする。などなど仕事とは思えないものばかり。しかも何故だか報酬がいい。一日数時間、一回アルバイトをこなすだけで10万円以上の高額報酬が貰えてしまう。こうして、月2日働くだけで生計が立ってしまう限りなくニートに近い夢のような生活を手に入れた人戸。だがその生活は、本当に楽園なのか……?
○第1話のストーリー
「あー…… 働きたくねぇ…」とボヤく主人公の人戸高史。20代半ばの男性。
ゴミの散らかった薄汚い部屋で、ぼんやりした表情で天井を見つめている。
その後ハローワークに向かう人戸。
仕事が嫌で辞めた人戸は失業給付を貰うために働く気がないにも関わらずハロワに通っていたのだ。そんな態度を見透かされハロワ職員に説教される人戸。
意気消沈の人戸は電車に乗って家へと帰る。そこで偶然「フロムB」を発見する。
何気なく中を開くとそこには「働きたくない人募集!!」の文字。
まさに自分のことと興奮し帰宅する人戸。載っている番号に電話をかける。
「働きたくないんです」
そう告げる人戸。しかし言ってしまってから「ただの誤植」「非常識な電話」「何やってんだ俺」などの思いが駆け巡る。
しかし電話の相手は「そういう人をお待ちしておりました」と歓迎ムード。
働きたくない人向けに特別な仕事を斡旋するサービスなのだという。
後日、指定された場所に向かう人戸。
そこは都内にあるなんの変哲もないマンション。
しかし指定された部屋へと向かうと、その部屋のドアには硬いものでひっかいた様な痕があり「私たちは幸せ」と書かれている。
ヤバい雰囲気を感じつつもインターフォンを押す人戸。
すると中から、190cmくらいある長身長髪の女性(所謂でかい貞子)が現れる。(寿都子:ことぶきみやこ)
「あ、間違えました」と誤魔化し逃げようとする人戸。
しかし部屋から飛び出してきた寿に首を絞められてしまう。
「どこから来たの? 誰に頼まれたの? 言いなさい!!」
辛うじて「フ…フロムB…」と漏らす人戸。
首にかかる手からフッと力が抜ける。「どうぞ」と部屋の中へ案内する寿。
事務所のように使われているらしいマンションの中。
ソファーとテーブルが並んだ応接セットに座って人戸が待っていると、奥から寿がやってきて地図と袋を渡してくる。
その後、住宅地の路上を歩きながら地図を確認し、袋から軍手を取り出し投げ捨てる人戸。
回想で、寿から説明された仕事内容を思い出す。
地図に書き込まれた指定のポイントに軍手を落としてくるというもの。
その仕事をこなす人戸。夕暮れまで街を歩き回り軍手を落とし続ける。
仕事を終えマンションに戻る人戸。ハーブティーで労う寿。
寿から、報酬として封筒が手渡される。
帰宅途中、夜道を歩きながら封筒の中身を確認する。
すると中には、結構な数の万札(14万円)が入っている。
驚く人戸。
〇第2話以降のストーリー
軍手落としのアルバイト報酬があまりに高額なことに驚く人戸。
これは何かの間違いなのか。それともそういうものなのか。
確かめるためもう一度「フロムB」に応募する。
指定された場所に向かうと、そこは公園。
待っているとタンクトップに恵比須顔のハゲた壮年男性が満面の笑みを浮かべて走ってくる。(ゆでがえるさん:本名不詳。会う度にゆでがえるの話をするので人戸がそう呼んでいる)
軽い自己紹介の後、公園の隅にあるベンチとテーブルで紙相撲をし始める人戸とその男性。
平日の昼間、子連れの主婦達で賑わう公園に、トントントントンと紙相撲の音が響く。
怪訝な表情で見る人々。
興味深げに近寄ってくる子供を「あっちで遊びましょうね~」と連れて行く母親。
そんなこんなで紙相撲を続けていると公園には人戸と男性以外誰もいなくなる。
「じゃ」
数時間の紙相撲の後、そう言って去っていく男性。
報酬は支払われず。と思ったら、後日銀行振込がある。
ATMの前で通帳を見つめ、驚愕顔で鼻水を垂らしている人戸。
カミズモウタイセンリョウとして12万5330円が支払われている。
つまり「フロムB」とはそういうものなのだ。と理解する人戸。
なんだかわからないが不思議なバイトをすれば、ものすごい高額報酬が貰えてしまうというシステム。
そして月に2回も働けば、あとはずっとだらだらしてられるということに思い至る人戸。
人戸の体に電流が走る。憧れのニート生活をついに手に入れたぞっ!
思わず体が震えだす人戸。
というのが2話の主な内容です。
その後は、
・「フロムB」から紹介される奇妙なアルバイトの数々
・人戸がエンジョイするだらだらした無職ライフ
・「フロムB」とは一体なんなのか?という謎
を中心にお話が進んでいきます。
例えば、
「フロムB」に紹介されて向かうとそこは高級住宅地にある豪邸。
そこに引きこもっている女子高生の少女(耳見禰々:みみみねね)の前でただテレビゲームを遊んで欲しいという依頼。
学校に通わないにも関わらず耳見は制服姿で現れる。彼女は制服マニアであり日本全国の女子高生の制服を持っており日替わりでそれを着こなしている。
彼女の部屋でテレビゲームを遊ぶ人戸。
その姿を後ろからじっと見る耳見。
何も話さない時もあればぽつりぽつりと会話することもある。
その他には自販機のランプの明滅を審査するバイトなどもある。
自動販売機が使われていないアイドリング状態の時、押しボタンのランプが光って複雑なパターンで明滅を繰り返しているのを見た事があるかと思いますが、あれの審査員になる。
駅や道端に置いてある自動販売機の前に行っては、それを見る。
光の明滅が右の端から左の端に移動したり、チェッカー柄に赤や緑に光ったり、
そんな様子を見ながら、手にしたバインダーに挟まっている審査用紙の「芸術点(1 2 3 4 5)」などという項目に記入していく。
人戸は基本どうしようもない人物で、「働きたくねぇ…」が口癖の自堕落な人間です。
「フロムB」のバイトを月2回ほどこなしては後の時間は無意味にだらだらと過ごしています。
家の中で寝転んでぼーっと考え事をするのにも飽きると、外に行ってたまたま見つけたアリの生態を観察し始め、気が付いたら既に夕方になっていて、一日をアリの観察だけで終えてしまったという事実に愕然とし、アラサーの男がいったい何やっているんだろうとひどく落ち込む。といった日々を過ごしています。
けれどもそんな生活をどこか気に入ってもいる人戸。
他にも、図書館で時間を潰したり、意味もなく山手線に乗って何周もしてみたり、
平日昼間に人気の少ない住宅街を散歩しては、家の表札が英字の筆記体で書かれている家を発見しては「やっちゃってるねぇ」などとほくそ笑んだり、無職でもできるだけ金を使わないでエンジョイできる生活を模索しつつ楽しんでいます。
そんなだらだらとした日々を過ごしているとたまに母親から電話がかかってくる。
もう仕事は決まったのかと生活を心配する電話。
それと同時に聞かされる地元の話。同級生の誰々はもう結婚したとか家を建てたとか。
電話越しに曖昧な返事を返しながら、やはり定職に就いた方が世間体もいいし親も安心させられるだろうとふと考えたりもする人戸。
更には大学時代の同級生達との飲み会。
久しぶりに会って飲みながら近況を話し合う人戸達。
そこで聞かされるのは大抵仕事の愚痴ばかり。
人戸はそんな話を聞きながら、自分はそうならずに済んだと内心ほくそ笑んでいる。
しかし時間が経つうちに状況が変わってくる。
愚痴りながらも仕事を続けていた奴らはいつの間にか出世して昇進していたり、結婚して家庭を築き始めたりしている。
自分だけがみんなから置いて行かれているような、そんな喪失感を味わい軽い目眩を覚える人戸。
基本的には「フロムB」による奇妙なアルバイトとだらだらした無職生活が中心のギャグみたいな話ですが、たまに「このままでいいのか?」とシリアスに逡巡する場面が挟みこまれる感じです。
そして、そんな生活を送っている人戸の元に取材の依頼が入る。
ファミレスで落ち合い話すことになった相手は、眼鏡をかけた気怠げな表情の女性。
月刊メーという雑誌の編集記者だと自己紹介した彼女は、陸流遠子(おかるとうこ)と名乗り名刺を渡してくる。
「フロムB」という都市伝説を追っているという。
陸流は「フロムB」に纏わる様々な噂を教えてくれる。
働きたくない人向けに妙なアルバイトを紹介し、しかも法外な報酬を支払う謎の求人情報誌。
一般の出版流通にのっていないにも関わらずそれは出回り、何人もの人がこの求人誌経由で仕事を請けている。
なぜそんなものが存在するのか? 高額な報酬を払い続けて赤字にならないのか? そもそも誰がこんなことをしているのか? 政府の実験説、金持ちの道楽説、はたまた宇宙人の陰謀説などなど、様々な噂を教えてくれる。
他にも、高額報酬に気をよくして働きまくって荒稼ぎをすると以降仕事を紹介されなくなるケースがあるらしいなど、「フロムB」に纏わる情報を教えてくれる。
まるで本当に働きたくないだらだらした人間を選別しているかのような「フロムB」。
陸流は別れ際、「フロムB」について知っていることがあったら教えて欲しいと人戸に頼む。
働くべきか働かざるべきか。それを悩む人戸。
このまま「フロムB」のアルバイトをしつつ限りなくニートに近いフリーターを続けるべきか、それとも再就職して真っ当な生活に戻るべきか改めて考える。
そして、過去に会社で働いていた頃のことを回想する人戸。
そこで、どうして働きたくないと思うようになったのかを思い出す。
人戸なりにどう生きていこうか決心がついた頃、偶然大学時代の後輩の女の子と再会する。
ワイシャツの上にカーディガンを羽織ったボブカットの女性。胸元には社員証をぶら下げておりいかにもまともな社会人っぽい風貌。
彼女はかつて人戸と同じサークルに所属し、しかも人戸に淡い恋心を抱いていた。
人戸の境遇を知ると心配し、人戸を就職させ真人間に戻そうと画策し始める彼女。
しかし人戸が「フロムB」のバイトをしなくなると都合が悪くなるキャラクター(陸流など)もいて……。
そんな感じで、フロムBで出会った奇妙な人々やそれ以外の様々な人々との間で、ほぼ働かない人戸の人生が揺れ動いていく。
そんな話になる予定です。
○最後に
現役のアニメ脚本家です。アニメではオリジナルの脚本を担当する機会に恵まれることが難しく、オリジナルの話で仕事をする機会を広げたいと思い漫画原作賞に応募いたしました。
よろしくお願いいたします。