エピローグ




『いーや!一点目でスパーク踏んだときはマジでひっくり返ったわ!!だって追加ターンで佐村のデッキ相手にノートリ条件だぜ?盾4枚残りの!』




浦和での激闘が終わり翌週末、僕らはいつものようにバートンに集まっている。



『たしか佐村さんのデッキってボルバル白でしょ?ホントよく勝ったよなー。
おっボルバル引いたわ。さすがに突撃するぜ。お命頂戴だチャンピオン!』



エノモトが山上からめくった一枚をパスッと盤面に置いた。



『かぁー!それだけはダメだって!山見たときトリガーなかったんだ。負けた!!』



観念したささぼーが勢いよく盤面を畳む。



『けど実際みんなどう思うよ?今回ささぼーは優勝したけどおれは次の横浜はステロイドのままで行かない方がいい気がするわ。
今回は除去コンを狩れて上まで行けたけど次は今回ほど除去いないだろ。』




野津は再来週に横浜で開催のジェネレートリーグ関東B大会に向けて気合充分と見てとれる。

今回のベスト8敗退がよほど悔しかったのだろう。



『野津の言う通り除去コンは相当数減るだろうね!
関東Aの優勝準優勝デッキが両方とも除去コンにバカみたいに強い構築だから。除去コンが減ってボルバル増えたら正直ステロイドは勝てねーよ!』




『エノモトも関東Bは出るんでしょ?一緒にボルバルブラックつかおーぜ。
3決で当たった千歳くんのデッキに入ってたボルメはかなり強そうだった。』



『そうだなあ。ボルバル使うならおれもブラックにすると思う。
けどこいつらも捨てがたいんだよねー。』


エノモトが2枚のカードをピシ!と卓の上に置いた。




ガチャピン。
アクアンとコーライルの上にコイツを乗っけて使い回す開けポンキッキロックというエノモトのオリジナルデッキがあった。実際結構強い。エノモトがこよなく愛す1枚。




ムック。フィニッシャー。



『エノモト、お前がマロルを好きな気持ちはわかる。
しかし今横浜にこれを持ち込むのはお前が竹やり一丁でエイブラムス戦車20台を相手にするのとなんにも変わんねーぞ。』


野津が口早に慰留を試みる。


『それはさすがにいいすぎ。マロルだって回れば・・』

『回んないだろ。バイスとロスチャが1枚づつじゃ。』


『わかったわかった!実際回しまくって検証しようぜ。
エノモトがマロルで野津がボルバル黒の10先やろう!
おれとわたが見て判断する。』



『・・まあそれでいいか。話してても埒が明かねー。負けた方がサイゼ驕りでな。』


『いいけど10先はさすがに長いって。
飯行く時間が無くなっちゃうよ。野津、5にしよ。』



フォッカチオ10枚食ってやるから覚悟しろ、などと言いながら二人がデッキを切り始めるとバタン!と勢いよく入口の扉が開き大柄の男が入店してきた。

ヘヴンユウキだった。



『ささぼー!やっぱ来てたか!浦和のリベンジしに来たぜー!新しくデッキ14個組んできたんだ。練習付き合えよ~。』



『おーユウキ!いいよ!!
わた!エノモトと野津の果し合いの審判は任せたぜ!』





ヤレヤレ・・




まあなんだかんだでいつも通りの週末か。

来週も再来週も日本一決定戦が終わってもおそらく同様にやってくる週末。

いつまで続くかわからないけど、今この日常を過ごせることに感謝してる。



みんなと引きあわせてくれたこのゲームにも。


ありがとう、デュエルマスターズ。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?