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逆転劇の奇跡:罪人ドゥンドゥカーリーの救済

第五話 如何にしてゴーカルナは究極の祝福を得たか

ドゥンドゥカーリーは母親を脅かし「金を出せ、さもないと殴るぞ!」と言った。怯えたドゥンドゥリーは嘆きながら、井戸に身を投げて死んでしまった。神と合一していたゴーカルナは、喜びも悲しみもせず巡礼の旅へ出かけた。

ドゥンドゥカーリーは五人の娼婦と暮らし、彼女たちを喜ばせる為にお金を盗み、略奪を繰り返した。山ほど集まった財産を見て、娼婦たちはドゥンドゥカーリーを殺して奪おうと決意した。彼女たちは眠っているドゥンドゥカーリーを縛り、首を絞め、燃える石炭を口に詰めて殺した。生前の行いのために彼は亡霊となり、あちこちさまよい続けた。
ゴーカルナは人づてにドゥンドゥカーリーの死を聞き、その苦しみを知り、旅先で心をこめて供養をした。

ゴーカルナが故郷に帰ってきた夜中、ドゥンドゥカーリーの霊が現れた。恐ろしい姿で霊は言った。「私は無知のままに罪を重ね、酷い苦しみを味わい殺されました。そのせいでこのように空気中でしか生きられなくなったのです。私を救ってください!」この訴えを聞いたゴーカルナは言った。「聖地ガヤーでシュラーッダ(供養)をしても救われないなら、どうすることもできません。どうか詳しく話してください。」霊は答えた。「聖地で何百回と供養をしても救われない。他の方法を考えてください。」ゴーカルナは頭を抱え、人々に相談した。学者、ヨーガに熟達した者、悟りを得た者、ヴェーダの解説者が聖典を調べたが、霊を解放する方法は見つからなかった。

彼ら全員が太陽神に助けを求めることにした。ゴーカルナの苦行の力により太陽神の動きを止め、「ドゥンドゥカーリーを救う方法を教えてください!」と祈った。すると、太陽神は大空の遥か彼方から答えた。「シュリーマド・バーガヴァタを七日間で全て語りなさい!」太陽神の言葉を聞いたゴーカルナは、講話をすることを決心した。

ヴァーガバタを聞き罪を軽くしようと、多くの人が集まった。ドゥンドゥカーリーの霊もやって来て、そこに立っている竹の七つの節の一番下に入った。ゴーカルナは第一巻から話し始め、日が暮れると竹の一番下の節が音を立てて割れた。二日目の日暮には下から二番目の節が、三日目の終わりには三番目の節が割れた。こうして七日の間で七つの節のすべてが割れた。バーガヴァタの全十二巻を聞き終えた時、ドゥンドゥカーリーの霊は恐ろしい亡霊の姿から解放された。

ドゥンドゥカーリーは神々しい姿に変わり、ゴーカルナに言った。「七日間にわたるこの講話は賞賛すべきものでした。講話を聞くことで、人はクリシュナの世界に住むことが約束されます。罪の大小に関わらず、また心や言葉、行為のいずれで犯したものだろうと、このシュリーマド・バーガヴァタを聞くなら全て消されてしまうのです。」

ドゥンドゥカーリーが話し終えると、ヴァイクンタの住人たちが乗る輝く天界の車がやってきた。彼はその車に乗った。ゴーカルナは車の中のヴィシュヌの従者に尋ねた。「私の話を聞き終えた者は他にも大勢いるのに、彼らにも天界の車が送られないのはなぜでしょう?」従者は答えた。「この不平等は、物語を聞く人の姿勢の違いによるものです。あの霊は七日間に渡り一滴の水も食事も口にせず、一心に講話だけに耳を傾け、熱心にその意味を考えました。講話者が話す言葉への信念、自分の愚かさを知ること、自分の心を制御すること、シュリーマド・バーガヴァタを熱心に聞くこと。これらを全て実践してこそ実りあるものとなるのです。」こうして語り終えると、彼らはヴァイクンタへと昇っていった。

シュラーヴァナ月(7月から8月頃)に、ゴーカルナは再び七日間に渡るバーガヴァタの講話を行った。そして、聞いていた全員の前に天界の車とともにクリシュナが現われた。クリシュナはゴーカルナを抱きしめ、その場にいた全員を天界の車に乗せた。彼ら全員は、ヨギーの最終目的地であるヴァイクンタへと連れていかれた。

「シュリーマド・バーガヴァタを毎日注意深く読むなら、サンサーラ(輪廻転生)からの解放は確実でしょう!」と、吟誦者ウグラシュラヴァスは語った。

※※※
ゴーカルナは茫然としてたよね。神と合一している自分より、罪の限りを尽くしたドゥンドゥカーリーがゴールインするなんて、笑
インドのお話を読んでいると、こんな逆転劇に出くわしたりする。私も精進せずにこのままダラダラと生きて、最後の最後に一発逆転本塁打みたいなことが起きないかしら?
いや、私の人生にもバーガヴァタの奇跡が欲しいわ。

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