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全力で襟を正す覚悟の一週間

第六話 バーガヴァタを七日間で聞く方法

サナカ兄弟は、バーガヴァタを七日間で聴講する手順を次のように語った。「まず、占星術師に吉祥な日時を確認し、講話会を告知してヴィシュヌの信者に知らせるべきです。」会場についても説明し、「屋根を天蓋で覆い、七つの段を設け、ブラーフマナや執着を放棄した人々に座ってもらいます。演者には素晴らしい席を用意し、配置は演者が北を向けば聴講者は東、演者が東を向けば聴講者は北を向くようにします。そうできない場合は、演者と聴講者の間の空間が東側となるように考えられるべきです。」

続けて、演者の条件についても触れ、「ヴィシュヌの信者で執着を捨て、ヴェーダや聖典に精通し、真理を説明できる洞察力のあるブラーフマナを選び、その補佐役も同程度に学識のある者を置くことが大切です。」
さらに次にように説明した。演者は前日に頭髪や髭を剃り、夜明けに用を済ませた後、沐浴を行う。聴講者は朝夕の祈り(サンディヤー)を行い、障害が発生しないようにガネーシャ神を礼拝する。さらに、祖霊に水を捧げ、自己を浄化する贖罪の儀式を行う。神を招くために神秘的な紋様を描き、その上にヴィシュヌ神像かシャーラグラーマの石(ヴィシュヌの化身)を置く。マントラを唱えながら、クリシュナ像に対して時計回りに回り(プラダクシニャー)、16種の礼拝を行い祈りを捧げる。その後、お香や灯りを用いてバーガヴァタの聖典を礼拝する。
講話会での障害を除く為に12音節のマントラ(オーム ナモー バガヴァテー ヴァースデーヴァーヤ)を唱え続ける。演者は正確に日の出から約10時間30分間(3.5プラハラ)講話を続けるようにする。食事は一日に一回とし、果物や野菜だけを摂るか、一種類の穀物だけを食べるのも良い。

サナカ兄弟はナーラダ仙に、バーガヴァタを七日間で聞く誓いを立てた者の守るべきことを伝えた。「ヴィシュヌ信仰を知らず、師からマントラを教えられていない者は聴講に相応しくありません。その期間には自己を制御し、不浄な食べ物を避け、色欲、怒り、傲慢、自負心、妬み、貪欲、偽善、誤謬、憎しみを捨てなければなりません。また、真実、心身の清浄、慈悲、沈黙、正直、謙遜、寛大、これらのダルマ(法)を守ることが必要です。七日間の講話が終わったら、聖典と演者に深い敬意を払い、神に捧げられた食事の残り物(プラサーダ)を配り、太鼓やシンバルで主の栄光を讃えます。」

サナカ兄弟たちは、プルショーッタマ(ヴィシュヌ神)を讃美し、若さと活気を取り戻したジュニヤーナ、ヴァイラーギャ、バクティをうっとりと見つめた。それを見たナーラダ仙は感極まった。そこへ、自己実現の喜びに満ち、十六歳のように若々しい外見の聖仙シュカが、バーガヴァタを唱えながらやって来た。ナーラダ仙から礼拝を受け最高の席に座ると、シュカは言った。
「このシュリーマド・バーガヴァタは、ヴェーダの、願望を叶える樹に実った果実であり、オウムの様に話す私の口から地に落ちたものです。このバーガヴァタは、プラーナの宝であり、ヴァイシュナヴァ(ヴィシュヌ信仰)の財産です。唯一の至高の実在が讃美され、不純なものを含まず、パラマハンサ(究極の真理を体現する者)だけが目標とするものです。ジュニヤーナ、ヴァイラーギャ、バクティとともに、すべての活動からの撤退(物質的な欲望を手放す)を目指す道が詳述されています。これを熱心に聞き、注意深く読み、その意味をよく考える者は、必ず解放されるでしょう。このアムリタ(不死の霊薬)は、天国やサティヤローカ(ブラフマー神の住む最高天)、カイラーサ(シヴァ神の住む世界)、ヴァイクンタ(ヴィシュヌ神の世界)にも存在しません。」

ヴィヤーサの息子シュカが語る中、クリシュナがプラフラーダ(悪魔王ヒラニヤカシプの息子)、バリ(プラフラーダの孫の悪魔族の王)、ウッダヴァ(クリシュナの親友)、アルジュナ(『マハーバーラタ』の中心人物、クリシュナの弟子)を伴って現れた。さらに、シヴァは女神パールヴァティーとともに、カマラーサナ(蓮の上に座る神・ブラフマー神)もその場にやって来た。主は彼らが楽器を奏で、歌い踊りながら主を讃える姿に喜んだ。人々は感動し、「七日間の講話が行われる時、未来永劫、必ずこの方々と来てください」と願った。すると主は「そうなるでしょう(タタストゥ)」と言い、その場から消えていった。

ナーラダ仙は主の御足の方向と主の従者たち、聖仙シュカや修行者に向かって深く頭を垂れた。そして、バーガヴァタによって迷いを消された人々は帰っていった。
聖仙シュカはバクティとその二人の息子をバーガヴァタ・プラーナの中に封印した。ヴィシュヌの信者(ヴァイシュナヴァ)がこの聖典を頼りとしたため、シュリー・ハリ(クリシュナ)は彼らの心に宿った。このシュリーマド・バーガヴァタは、貧困に苦しむ者、マーヤー(幻想)に迷う者、サンサーラ(輪廻)の海に投げ込まれた者をも救うと、信者らは宣言している。

シャウナカは吟誦詩人ウグラシュラヴァスに尋ねた。「聖仙シュカがバーガヴァタをパリークシット王に語ったのはいつだったのでしょうか?またゴーカルナが人々に語ったり、サナカ兄弟がナーラダ仙に説いたのはいつの時代だったのでしょう?」
ウグラシュラヴァスは次のように答えた。
「聖仙シュカが講話を始めたのは、クリシュナが地上を去りカリ・ユガが始まって30年後の、バードラパダ月(8月頃)の白分九日目のことです。
ゴーカルナはその200年後、アーシャーダ月(6月頃)の白分九日目に講話を始め、さらに30年後のカールティカ月(10月頃)の白分九日目に、サナカ兄弟たちがこの物語を語り始めました。
この無常の世界で、毒のような感官(感覚器官) の喜びに惑わされずに、たとえ一瞬でもバーガヴァタのアムリタを味わってください。バーガヴァタを耳にすれば、必ずムクティ(解放)が訪れるとパリークシット王が証明しています。

この深遠な神理を伝えました。あまたの聖典をすべて調べた結果、聖シュカが語った十二巻の聖典に勝るものは存在しません。どうか至福のために、その教えを味わってください。」

※※※
あ〜、もう疲れた〜!まるで精神的マラソンを走りきった感じ。今までで一番、体力と気力をすり減らすお話だったよ。物語の中でバーガヴァタがあのガーヤトリー・マントラと同じくらい重要だって書かれてて、心の中で「え、マジで?」って驚きの声が漏れたし、インド暦のことが山ほど出てきて、「うわ、これ復習しなきゃ」って一瞬で占星術師モードに切り替わったよ。読んでるうちに、なんだか襟を正さなきゃって気分にもなったし、まるで先生が後ろに立ってる気分だったね。

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