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七日間トライアルのお誘い

第三話 バクティの苦しみの終わり

ナーラダ仙はサナカ兄弟に尋ねた。「バーガヴァタの講話は何日かけて行うのか教えて下さい」。サナカ兄弟は答えた。「ガンジス河のほとりにあるアーナンダという土地で行えば、多くのリシ(聖仙)が集まり、神々やシッダ(神秘力を持つ半神)も訪れる。そこでバーガヴァタの講話を行えば、バクティとその息子たちも若さを取り戻すだろう。」

サナカ兄弟とナーラダ仙はガンガーの岸辺へ向い、多くの聖仙や神々が集まった。集まったのはブリグ、ヴァシシュタ、チャヴァナ、ガウタマ、メーダーティティ、デーヴァラ、デーヴァラータ、パラシュラーマ、ヴィシュワーミトラ、シャーカラ、マールカンデーヤ、ダッタトレーヤ、ヴィヤーサとその父パラーシャラ、チャーヤーシュカなどで、ジャージャリやジャフヌは妻や子ども、弟子を連れてきた。また、ウパニシャッド、ヴェーダ、マントラ、タントラ、17のプラーナと6つのシャーストラ、ガンガー河、プシュカラ湖、聖地(ティールタ)、四方位、ダンダカの森も人間の姿で集まった。聖仙ブリグの導きで聖なる山々や神々、ガンダルヴァ、悪魔もやってきた。

サナカ兄弟はシュリーマド・バーガヴァタの素晴らしさを語り、「カリの時代には、七日間物語を聞くだけで、苦行や心の集中、サマーディの成果を完全に得られる」と述べた。この七日間の聴講は、祭祀、断食、苦行、聖地巡礼、ヨーガや瞑想、ジュニヤーナをも凌駕する。

シャウナカはサナカ兄弟とナーラダ仙の話を聞いて、「なぜこの時代にはジュニヤーナよりも優れた解脱の手段があるのですか?」と尋ねた。吟誦詩人(ウグラシュラヴァス)は答えた。「クリシュナが地上を離れる際、ウッタヴァは属性を持たない神を信じる難しさを訴えました。クリシュナは信者のためにバーガヴァタに全ての力を注ぎ、その中に姿を消したのです。したがって、この物語はクリシュナが言葉として顕れたもので、七日間で聞くことが唯一の正しき道です。」

サナカ兄弟が読書法を語っている最中、若さを取戻したジュニヤーナとヴァイラーギャを伴い、輝くバクティがシュリーマド・バーガヴァタから出現した。バクティはサナカ兄弟に尋ねた。「バーガヴァタを聞いて蘇ることができました。これから私はどこに留まるべきでしょうか?」サナカ兄弟は「永遠に信者の心に住みなさい。」と答えた。 

【注】物語は以下のような三重の入子構造になっています。
①ナイミシャの森に聖仙たちが集まり、吟誦詩人ウグラシュラヴァスの話を聞く。
ウグラシュラヴァスは物語を語るが、それは、以前、聖仙シュカがパリークシット王に語った
「シュリーマド・バーガヴァタ」(クリシュナ神の物語)である。
③ナイミシャの森に住む聖仙シャウナカウグラシュラヴァスに色々と質問をする。
(ウグラシュラヴァスとシャウナカの会話が物語の外枠となっています)

※※※ ふ〜ん、現代って色々な病気に苦しんでいるだろうし、また誘惑だらけでルールを守るのも、良いことを続けるのも難しいだろうからって、「せめて七日間だけはこの話を聞いてよ!」ってことなんだね。話の中で聖仙シュカが、「マーガ月(1月〜2月)に読むといいよ。」って言ってるけど、この秘密は占星術師なら知ってるよ。この時期は、瞑想や勉強を決意するのに良い時だからね。

ところで、物語を聞くのにベストな場所として勧められている、ガンジス河のほとりのアーナンダって一体どこ?
ただの物語の中の楽園?
それとも、清められた心の中にあるのかな。


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