フィードワン

フィードワンを買い集めています。
この会社はトウモロコシなどの飼料原料を輸入して、飼料に加工して、畜産農家に売る仕事をしています。
基本的には原材料価格を四半期ごとに販売価格に転嫁する構造のため、中長期的には市況の影響は受けにくいです。
ではなぜ23.3では減益になっているかと言うと、配合飼料価格安定制度積立金のためです。

詳しくは省略しますが、直近1年の平均飼料価格に対して、飼料価格が上昇するとこの基金から支払われる仕組みで、基金には畜産農家と飼料メーカーが積み立てをしています。

ちなみに異常補填(ものすごい急騰)となる部分については国も拠出しているので、実質的にはテールリスクは国が取っています。
今回のウクライナ危機では異常補填金として積み立てていたお金がゼロになったので、国が足りなくなった分のケツを拭きました。

これのポイントは変動率で、電気やガスの上限はインフレ抵抗力がないため、廃止されない限りはなかなか投資しづらい状況であったと思いますが、飼料はあくまで直近に対する変動率なので、急変動の場合は積立金を多く要求されますが、緩やかに上昇する場合はあまり多く要求されません。
つまり意外なことに決してインフレに弱いわけではないのです。
(と書いたけど、デフレ傾向の方が有利であることは間違いないので、普通にインフレに弱いですね。なので、高騰後の下落局面が買いといえるでしょうが、長期的なインフレレジーム転換で不利になったことは間違いないと思われます。)

また現在は積立金が尽きてしまったため、多く積み立てることを要求されますが、貯まると積立金は減額されます。
この辺については飼料価格コールオプションを常に売っているようなものなのです。
ある意味保険会社としての性質を持っているわけで、当然その分は飼料価格に織り込んでいますし、ウクライナショックのようなことがあると、よりしっかりと飼料価格に織り込むことになると思います。

今期飼料事業では15億円の増益を予想していますが、積立金は6億円程増額となっています。(空になった基金に積み立てるため)
実質的に21億円程の増益予想であり、雰囲気としてはこの予想は保守的に出してるんだろうなと言う印象を受けます。
おそらく原料価格下落局面において、それほど値下げをしないことで利幅が出ることと、四半期ごとの改定ではない水産飼料の価格改定を行うこと。
そして本来のグロース(年間数%程度だが、装置産業なので緩やかな数量増下では利益は伸びやすい。)が寄与するのだと思われます。
また全体のパイが伸びない中で数%程度でも数量が伸びている点が気に入ってる点でもあります。

基金について何度も言及してきましたが、今期50億円程積み立てる配合飼料価格安定制度積立金は、おそらく今後の相場変動にもよりますが、未来の平均値よりはだいぶ大きいと思われます。つまりこれら基金の額が平均20-30億円程度で推移するのであれば、本来の実力はもう少し上ということになると思います。
そうなると結構よい投資対象なのではと考え、直近のトウモロコシ価格下落を見ながら準主力に据えている次第です。

また財務に関しても、価格高騰によって運転資金が増加していることから、CFが悪化するというダブルパンチを受けており、飼料価格が落ち着くことで、増えた短期借入が落ち着くのではないかと思っています。

とはいえ、すぐに配当が倍増するとかもないでしょう。
どちらかというと新規工場の建設や老朽化設備の更新など設備投資に回したいようです。
上記の要因により、実力の営業利益は数十億上であること、
数%の数量増とそれに伴う10%程度の増益があるであろうこと。

格別に魅力とは言えないかもしれません。どちらかというと下値がないような感じがしてきたという程度のアイデアかもしれません。

ただ単に割安というだけでなく、なぜ買われないのかという理由があり、それが解消されるであろうことも考慮すると、需給としても悪くならないのではないか?と考えています。

決算は思い通りであったが、上方修正がないのはおそらく儲かってるアピールを顧客にしないためだと思う。

とはいえ、ここを買うよりももっと良い会社があったように思う。
過去に(結果として)いいタイミングで大きな投資をしていて芽が出ているところ、もちろん株価にも反映されている。

おそらく避けたほうが良かった理由としては増配意向が弱いところだろう。
BSを見て、儲かりだしたら増配できるかどうかを判断することは大事だと思う。ここはまだしばらく足を貯めるフェイズだったかなと。

直近下がってきたが、例えばイフジ産業なんかは設備投資が一巡して、それでいて無借金になっていて、業績向上がそのまま増配につながる状況だったからはねたのだと思う。

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