テスト最強メソッド

働き方改革を進める上で、最も大きな成果を生む実践の一つが、テスト最強メソッドです。45分という授業時間内に『テスト→採点→返却→直し』というサイクルを回しきるというものです。

そこで『45分という授業の中で全てを完結させることはできるのではないか?』という仮説を基に、試行錯誤をするうちに可能であることが実証できましたので、そのメソッドを紹介します。


❶ テスト

机をテスト隊形にし、準備が整ったらテストスタート。この際、教師がやっておくべきことは、教卓のテスト受け入れ態勢を完璧に整えること。A3サイズの市販テストは面積が大きいので、戦略的に机の上のレイアウトをシステム化しておかないと、直接的な価値を生まない付随作業が発生し、効率低下を招きます。テストの答え、採点中のテスト、採点済みのテスト、未採点のテスト、得点記録用のファイルを置くと、一般的なデスクのサイズではキャパオーバーになります。そのため、自分なりのルールを作って、毎回それ通りに作業をすることを心がけることが大切になってきます。作業はルーティン化することで高質化・高速化されます。

テストが出来て、見直しをした子から持ってこさせます。ちなみに、見直しをしたというサインに、問題番号に鉛筆で黒丸をつけさせることをしています。これが意外と効果大。もし、極端なイージーミスや問題のやり忘れが有った際には、個別で注意をすることができます。別に厳しく叱る必要はありません。「これ見直しマーク入っているけど、本当に見直ししたの?」って聞くだけで大丈夫です。これによって形だけの見直しサインはダメだという認識がクラスへと広がって行きます。

得点率を上げることは、子どもの自己肯定感向上、業務効率化へと直結します。そのために効果的な見直しをさせる指導をするのは、価値のある時間の投資だと言えます。


❷ 採点・記録(点付け✖️得点速記)

一人目の子が提出したら、いざ採点スタート!基本的に丸はつけません。正解は点、間違った箇所は✔️、そして100点だったらグルっと大きく赤丸をつけます。点付けは、教師にとっての『時短』、子どもにとっての『見やすい』というメリットが双方に有ります。間違いが多い子は、テスト用紙が赤ペンだらけになり、もはやどこが間違っているか分からないという状態に・・・

そうなると、その子にとって直しは相当なストレスになります。このことから、丸付けならぬ点付けは合理的配慮という側面も有していると言えます。諸外国では、むしろこちらの方法がベーシックだとか。

そして、技能や思考といった観点ごとに得点を、以下の速記法で記録していきます。満点は『ー』、40点の場合は『4』、35点の場合は『3ー』。とにかくゼロと5を書く回数を減らすと記録の時間が短縮されます。短縮時間✖️作業回数=カイゼン度。チリも積もれば何とやらです。細かなカイゼンの積み重ねは、ジャブのように徐々に、そして確実に効いてきます。

また、早く終わった子は、どんどん読書をしてもらいます。早く終わって満点を取るような子にとっては、本の世界に入り、新しい言葉を獲得したり、新たな価値観に触れたりするこの時間の方が学びの質は高いはずです。読書は学力自動向上装置としての機能を有しています。『賢い子は本読んでる⇄本読んでる子は賢い』これには、強烈な相関関係があります。読書教育は最も生産性の高い学力向上の手段、「読む子は育つ」というのが僕の哲学です。


❸ 返却

最後の1人の採点が終わったら返却に移ります。ただし、どうしても解説がいる問題があれば、少しだけその時間を取ります。記憶が新しいので、解説の効果は非常に高くなります。


❹ 直し

なかなか自力で全て直すことが出来ない子も、やっぱりいます。満点で直しがない子には、そういった子のフォローに回ってもらいます。算数の場合、「答えをそのまま教えるのはやめてね」というルールをはじめに作っておくのが大切です。そして、教え手に回ってくれた子どもには最大限の感謝を伝えます!「本当にありがとう!助かりました!」


まとめ 〜WIN-WINサイクルを回せ〜

テストをして、すぐに直すことで、子どもの学びの成果は最大化されます。休み時間も遊べます。また、その場で全てを終わらせることにより、教師の時間的余裕も生まれます。まさしくWIN-WIN。授業時間内に全てを終わらせることは、教師の大切なミッションの一つなのです。