けさのまにえふしふ93
人言(ひとこと)の讒(よこ)すを聞きて玉鉾(たまほこ)の道にも逢はじと言へりし吾妹(わぎも)(12-2871)
人言之 讒乎聞而 玉桙之 道毛不相常 云吾妹
けさのまにえふ。「他人の言う悪口を聞いて、玉鉾の道の行きずりにも逢うまいといっている吾妹よ。」
正述心緒。あのー、あれですよ。お互いを意識しているけどまだ付き合ってない二人が、友達に「この人だれ?」と訊かれて「ただの友達です」って答えたもんだから、相手までひそかにダメージ受けちゃって、友達去ってから「友達って何だよ」「何よ、しょうがないでしょ」(以下略
ちょっとシチュエーション違うんだけど、ほどよくこじれてゆくさまが正述心緒されてていいよね。
この男、噂どおりに悪いやつかもしれないし、まあ、誤解として、それを真に受ける彼女を批判しているわけでもない。西洋のように、「I can explain!(これには訳があるんだ)」と浮気現場でも説得を試みるメンタルは、美意識として、ない。
下の句の「言へりし吾妹」という体言止めがうまい。もう会いたくないと言っている彼女をそれでも「吾妹」って言うのもかっこいい。
照屋へんかん。
教科書の確率の章を読むきみよわが確率をそろそろ決めて(照屋conv.)
(20161209)
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