けさのまにえふしふ95

妹と言はば無礼(なめ)し恐(かしこ)ししかすがに懸(か)けまく欲しき言(こと)にあるかも(12-2915)

 妹登曰者 無礼恐 然為蟹 懸巻欲 言尓有鴨

けさのまにえふ。「『妹』というと無礼で恐れ多い。しかし、口にかけたいことばだなあ」

正述心緒。現代的には、「彼女」とか「恋人」って呼びたいなあ、という読みだろうし、まあ実際そうなのだろう。

ただ、ここにきて、妹って、明らかな条件のようなものがある言葉だったのか、という驚きがいなめない。検索してみると、妹は「親しみを込めて呼ぶ呼び方」から「妻を直接呼ぶ呼び方」まで、グラデーションがある。

古語というのは大概そういうもので、それは時代のレンジが広いのもあるけれど、そもそも言語というのを、外から眺める時に、当事者にとって当たり前過ぎる区別は、定義されないという傾向がある。それに、恋にまつわる言葉は、例外ばかりなのだ。

現代だって「付き合う」を定義すると、グラデーションを含めざるをえない。 

この歌は、正述心緒だが、ポイントは、相手にこれを贈ったかどうかで、これを贈れるほどの関係なら、それもう付き合ってんじゃん! だし、ただのつぶやき短歌なら、部屋で悶絶する高校生っぽくて、それもいいよね! 不義の誘惑をしかける男の歌っていうのも、ありか。

照屋へんかん。

呼び捨てがさん付けになったお前らを置いておいらはエアコンを診(み)る(照屋conv.)

(20161216)


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