けさのまにえふしふ82

言(こと)にいへば耳にたやすし少(すくな)くも心のうちにわが思(おも)はなくに(11-2581)

 言云者 三々二田八酢四 小九毛 心中二 我念羽奈九二

けさのまにえふ。「ことばでいってみると大した事でもないように聞かれるだろう。心の中では少々の事とは思っていないものを」

正述心緒。♪なんでもないようなことが〜。ちょっと違う。心がアメーバのように不定形で、言葉は豆腐を切るようにすべてを伝えることができない。普遍的かもしれない、心と言葉のテーマだ。

言文一致が話し言葉と書き言葉の距離を取り戻す運動であったように、短歌もまた、定期的に言文一致の潮がある。ただ、万葉時代は、まだ心と言葉がまだそれほど離れていない時代なのだが、それでもこういう歌は、生まれている。

詠み人知らずの歌と思うが(人麿説あり)、この歌は表記が面白い歌だ。数字が多用されてる。

ここで数字を使うということは、他の意味を極力排して音に徹するということだ。言葉は心を伝えきれない、という歌を、漢字の意味を落としながら伝えようとする、意味と表記が響いていて面白い。

平仮名、片仮名の萌芽といえるかもしれない。

照屋へんかん。

やがて言葉のない世界の日、飼い主に愛を一から教えてあげる(照屋conv.)

(20161122)

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