けさのまにえふしふ13

情(こころ)ぐく思ほゆるかも春霞たなびく時に言(こと)の通へば(4-789大伴家持)

 情八十一 所念可聞 春霞 軽引時二 事之通者

けさのまにえふ。「春霞のたなびく時に求婚されても、気持ちが霞んでくぐもってしまいますわ」

藤原久須麿が、家持さんの娘に求婚するんだけど、なぜか(笑)父の家持さんが娘に代わって返信してるんだよね。しかもやんわり拒否。

久須麿さんは軍人で、道鏡という僧侶が台頭するにつれて権威から離れて、反旗を翻して射殺される生涯なんだけど、栄華の頃か傾きはじめた頃かによって歌の意味が変わりそうだ。

家持さんの他の歌(代筆)にも、まだ梅の花も咲いてないよ、と歌ってるから、娘はとても若かったかもしれない。あまり若いとそれはたぶんに政治的なものだ。

軍人だったから歌もあまり上手くなかったかもしれない。求婚の際のうたは削られていて、諦めた歌はかろうじて載ってる。

そりゃあ、歌人の娘に歌で告白したら、親のチェックは厳しいよね(笑)。

巻4の相聞はこれにて。プレイボーイ家持さんが、娘への求婚に拒否っておわり。物語性あるよねー。

あ、そうそう、「情ぐく」(気持ちがはっきりしない)の表記を「情八十一」と書いてるんだよね。かけ算の九九(くく)=八十一って。これは娘の子供っぽさを表しているようだけど、中身おっさんやでー、という意味かもしれない。

照屋変換。

父さんは求婚されてないけれどお前もああいうのは嫌だろう?(照屋conv.)

(20160725)

 

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