けさのまにえふしふ94
うたがたも言ひつつもあるかわれならば地(つち)には落(ふ)らず空に消(け)なまし(12-2896)
歌方毛 曰管毛有鹿 吾有者 地庭不落 空消生
けさのまにえふ。「きまったようにも言いつづけていらっしゃるよ。いいえ、私なら、地に無残に落ちたりせず空中で消えましょう」
正述心緒。この歌はよく分からないよね。「うたがた」からして定説がないらしい。いちおう「未必」の意味らしいが、「はっきりしない」ようなもので、方丈記の「泡沫(うたかた)」へとつながっている、らしい。
で、下の句も分からない。「私だったら地に落ちずに空で消えましょう」どういうこと?
これ、問答の片われであるとする説もあるけど、うなづける。相聞の、「私は潔く死ぬ」みたいな苦し紛れの意味にするより、何かの会話の答えとした方が無難だ。
問答となると、これは正述心緒も疑いたい。テルヤが新説を出すならば、これは鳥だ。彼が「君が鳥だったらなあ」と言ったので、「じゃあ私は空に消えます」と断った歌であるという説はどうだろう?
今回のへんかん。は、問答の片われを想定してみる。1000年越しの問答。
照屋へんかん。
鳥のような君だひとつの口ぶえで降りて来るのを待ちおりわれは(照屋conv.)
(20161212)
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