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あしひきの木(こ)の間(ま)立ち潜(く)く霍公鳥(ほととぎす)かく聞きそめて後(のち)恋ひむかも(8-1495大伴家持) 足引乃 許乃間立八十一 霍公鳥 如此聞始而 後将戀可聞 けさのまにえふ。「木の間をくぐっては鳴く霍公鳥よ。このように快く聞きはじめても、後にはかえって恋しくて苦しく思うだろうか」 夏の雑歌。万葉の夏はこの鳥の鳴き声からはじまりますね。ホトトギスともカッコウとも言われてますが、四月のはじめに正確に鳴くので、春告鳥ならぬ夏告鳥的な位置づけでしょう。
情(こころ)ぐく思ほゆるかも春霞たなびく時に言(こと)の通へば(4-789大伴家持) 情八十一 所念可聞 春霞 軽引時二 事之通者 けさのまにえふ。「春霞のたなびく時に求婚されても、気持ちが霞んでくぐもってしまいますわ」 藤原久須麿が、家持さんの娘に求婚するんだけど、なぜか(笑)父の家持さんが娘に代わって返信してるんだよね。しかもやんわり拒否。 久須麿さんは軍人で、道鏡という僧侶が台頭するにつれて権威から離れて、反旗を翻して射殺される生涯なんだけど、栄華の頃か傾き