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地方DX推進の取り組み~愛媛県~

国や都市部でのDXが進んでいく中、地方ではどのようになっているのでしょうか。
私の地元である愛媛県では、どのような取り組みがあるのか気になり、調査を行いました。
その調査結果を紹介します。


愛媛県のDXの具体的な取り組み

①プロモーション戦略としてのデジタル活用

2018年にプロモーション戦略の一環として、デジタルの活用を開始しています。
また同年4月、全都道府県で初の取り組み、県庁内にプロモーション戦略室デジタルマーケティンググループを設置しています。
 
当初県庁内では、デジタルに懐疑的な方もいたため、具体的な事例を作り、理解を広げていくことを目標としており、2019年度からは全庁的なセミナーや推進会議を定期的に開催していたそうです。
将来的には県庁全体で皆が当たり前にデジタルを使えるようになることが理想だそうで、今も取り組みが続けられています。

行政が関連したデジタルプロモーションは以下の内容がありました。(一部抜粋)
・愛媛百科選
https://ehime-hyakka.com/
 
ECとデジタルマーケティングによる県産品の販売促進を目的に、県産品をアピール・販売するサイトとして作られ、個人に加えBtoB取引の活性化も目標としています。
サイト内には、地域産品のブランディング施策の一環として動画が公開されていますが、2020年2月までに約691万回視聴されています。
 
 
・その時は、愛媛で。
https://sonotoki-ehime.com/
 
平成30年7月豪雨災害からの復興支援のため、災害に負けずに頑張る愛媛県民の「今」を伝え、全国に広く発信することを目的として復興支援動画、その動画をまとめた特設サイトとしてつくられました。
 
 
・Visit Ehime Japan
https://www.visitehimejapan.com/en/
 
インバウンド誘客のために作られたサイトで、初年度には「サイクリング」や「お遍路」の動画、次年度には「フィッシング」や「祭り」の動画の新規配信などを行い、ターゲット7カ国・地域で1年間で、4,000万回の視聴されています。
 
 
・CYCLING EHIME
https://cycling-ehime.com/
 
外国人の趣味・関心に訴求するサイクリスト誘客のためのサイト。サイクリストの聖地「しまなみ海道」を中心にコンテンツを揃え、日本を含む8カ国・地域への動画配信では、1,400万回を超えて視聴されています。


②愛媛県デジタル総合戦略策定プロジェクト

愛媛県では、昭和37年12月より、「愛媛県長期経済計画」を策定しており、これまで、第五次まで長期計画を据えて、高速交通系の重点的整備、水資源プロジェクト、産業開発プロジェクト、生活・文化関連プロジェクト等の取り組みを積極的に行っています。
 
そして、第六次愛媛県長期計画では、『「愛のくに愛顔(えがお)あふれる愛媛県」を基本理念に掲げ、前向きな気持ちと思いやりの心が結集した「愛顔(えがお)」の輪を、県内一円に大きく広げることにより、県民一人ひとりが愛媛ならではの幸せのかたちを見つけ、それを創ることができる愛媛を目指し』、「愛媛の未来づくりプラン」として作成されています。
 
 
この愛媛の未来づくりプランには、DXにまつわる目標が具体的に掲げられており、実際に「愛媛県デジタル総合戦略策定プロジェクト」として、企画・実行が推進されています。

■戦略の目的
社会全体でデジタル化の推進が求められている中、全国に先駆けてデジタル化を推進し、デジタル技術を地域課題の解決に効果的に活用すること。
 
■戦略の方針
戦略的なデジタル化により、愛媛県が目指すミッション・ビジョンを実現するため、以下の3つの視点で策定すること。

(引用元:愛媛県庁公式ホームページ)


■戦略の目指す姿

戦略策定にあたり、以下のの3つのシフトを目指し、新たな社会Society5.0に即応した総合戦略を策定すること。

(引用元:愛媛県庁公式ホームページ)

愛媛県庁公式ホームページに全文版・概要版の文書が掲載されています。
以下では、愛媛県庁公式ホームページ文書より抜粋し、簡易的にまとめてみました。

(愛媛県庁公式ホームページを参考に作成)

この策定を基に、2021年3月25日には2つの施策のリリースがされています。

愛媛県のDXのこれから

①愛媛県官民共創デジタルプラットフォーム「エールラボえひめ」を公開


https://yell-lab.ehime.jp/
県民生活の質の向上や地域経済の活性化等のプロジェクトを具体化させるオンライン上の基盤として作られました。具体的には、サイト上から愛媛県の「なんとかしたい課題」を同じ課題意識や関心を持つ会員が集まる場(=コミュニティ)を中心に、実際にアクションを起こす活動(=プロジェクト)に取り組み、それに対し行政がPRや公的組織との連携を支援するプラットフォームです。

(引用元:エールラボえひめ)


②愛媛県・市町DX協働宣言

自治体が一体となって取り組むことを県内外にアピールするため、県や市町が、県内事業者などのDXを積極的に支援する姿勢を明らかにするために、県と20市町が協働してDXを推進していくという宣言を行っています。
 
また、2021年5月には、官民それぞれの所属機関におけるDX推進リーダーとして、デジタル技術を効果的に活用し、課題解決や価値創造に資する企画立案等を実行できるデジタル人材を育成する事を目的に、DX推進リーダー育成研修を開催しています。
 
■目的・育成方針
「正しいDXの導入方法」から、「具体的なHOWTO」まで、理論と実践双方を網羅したプログラムを構築・実践し、「デジタルを理解し、ヒト目線で活用できる人材」を育成します。
 
■研修概要
・DXをけん引する外部人材と連携し、DX推進リーダー育成に資する本県オリジナルの育成プログラム(6講座)を構築・実践
・研修講師とファシリテーターによるきめ細かなアフターフォローを実施し、理解促進と実践力向上をサポート
・県・市町・民間の受講者でチームを編成し、受講者同士が支え合いながら個人のアイデアをチームでブラッシュアップ

まとめ

2021年9月、国政にデジタル庁が発足し、国をあげて、体系的なDXを推進が始まりました。
それ以前から、真剣に愛媛県の良さを伝えるため、愛媛県民にとって良い未来をつくっていくため、DXを推進していることを知ることができ、自身の出身として、誇らしくもあり、さらに他の都道府県ではどのような取り組みがなされているのか気になりました。
 
地元愛媛県を離れ、9年が経ちましたが、大学卒業後デジタルマーケティング業界に所属したからこそ、気づくことができた取り組みだと思います。デジタルマーケティングに携わっていなければ、愛媛県に住んでいたとしても、あまり気に留めず生活していたと思います。
 
この記事を読んでくださった方に愛媛県の取り組み・魅力が少しでも伝わっていると嬉しいです。
引き続き、故郷のDX推進に注目していくとともに、デジタルマーケティングに関わる者として、今後、活動を何かしらの形で、応援・支援できればと思っております。
 
最後までお読みくださりありがとうございました。